クリプター
カルデアのマスター候補生でありながら、汎人類史ではなく異聞帯の側に立った者たち―― クリプターを主題とする礼装です。
シナリオ本編では敵対者として現れる彼らですが、 礼装のプロフィールでは、その内面――才能への劣等感、 失った世界と失った相手への執着――が一人称で語られることがあります。
カドック・ゼムルプス
雪花なき夜の先へ(No.1410 / ★5)
イラスト: 荒野
いつだって自分の歩く先は夜の闇だった。
魔術師としての才覚は並程度、家柄も平凡で、
やっと見出せたマスター適性の高さを活かす機会は、
棺の中で虚空に消えた。あるのはただ、
何かを成せるはずだったという、後悔だけ。それでも。あの世界の夜には光があった。
陽の光ほど強くはなく、月の光ほど優しくもない、
夜に降る雪のような、幽かな光。だから、生きなければならない。
奮い立て。膝を折るな。何度でも立ち上がれ。
数え切れないほどの後悔を抱えていても、前を向け。このカドック・ゼムルプスは、
もう無くなってしまったあの世界で、
雪花のように消えてしまった彼女にとって、
ただ一人のマスターなのだから。
読み取れる設定
- 「魔術師としての才覚は並程度、家柄も平凡で、やっと見出せたマスター適性の高さを活かす機会は、棺の中で虚空に消えた」――カルデアのコフィン(棺)で機会を失った、という来歴が本人の言葉で語られる。
- 残ったものが「何かを成せるはずだったという、後悔だけ」だと明言される。クリプターの動機を、野心ではなく喪失と後悔として描いている。
- 「あの世界の夜には光があった。陽の光ほど強くはなく、月の光ほど優しくもない、夜に降る雪のような、幽かな光」――異聞帯を「あの世界」と呼び、そこで得たものを雪明かりに喩える。
- 結びで自らフルネームを名乗り、「もう無くなってしまったあの世界で、雪花のように消えてしまった彼女にとって、ただ一人のマスターなのだから」と誓う。【推測】「彼女」の同定は本文からはできない。異聞帯そのものが既に失われた後の独白であることだけが確定する。
関連
- Lostbelt No.6 妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ
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- 異聞帯(本カテゴリ)
- カドック・ゼムルプス — プロフィール本文が主題として言及する人物
それは光の片隅で(No.1890 / ★3)
イラスト: 鈴木ツタ
目を背けて無視するほどの強かさはない。
かといって競争相手を目指すほどの自惚れもない。
諦めが悪いのか、
自分という器の限界を知りたくないのか。
逃げ出す事も戦う事もできない自分が、
みっともなくてたまらない。「ん? そう腐るなよカドック。
天才に劣等感を持てるのも才能だ。
残酷な現実を見ていながら、まっとうにやる気を持て
るなんざ、まさに凡人の才能だ。
みっともない? まさか。そりゃしつこいって言うん
だ。天才なんぞよりそっちの方が生き延びるもんさ。
仕事柄、イヤというほど見てきたからな!」陽気に語る自称・兄貴分のお喋りが、
この日だけは胸に響いた。
そうだ。
誰しもに知れ渡る才や肩書や結果がなかろうと。
誇るものがなくても、だからといって腐る必要もない。
自分は自分にしかなれない。
どれほど場違いでも最期まで足掻いてやるとも。
読み取れる設定
- 冒頭は劣等感の自己分析。「目を背けて無視するほどの強かさはない。かといって競争相手を目指すほどの自惚れもない」――逃げることも戦うこともできない自分がみっともない、という認識。
- 会話文の中で「そう腐るなよカドック」と名指しされ、語り手が特定される。
- 励ましの論理が特徴的で、「天才に劣等感を持てるのも才能だ」「残酷な現実を見ていながら、まっとうにやる気を持てるなんざ、まさに凡人の才能だ」と、劣等感そのものを資質として肯定する。
- 【推測】語りかける「自称・兄貴分」の同定は本文からはできない。「仕事柄、イヤというほど見てきた」という一言だけが手がかりとして残る。
- 結びの「自分は自分にしかなれない。どれほど場違いでも最期まで足掻いてやるとも」は、後の行動原理の宣言として読める。
関連
名を伏せられた願い
個人名は現れないものの、異聞帯の側に立った者たちの動機と主題を共有する礼装です。
注釈上の重要度は minor ですが、他のどのカテゴリの収録条件にも当てはまらないため、
本ページに主たる掲載を置いています。
茨の種(No.1278 / ★4)
イラスト: 遠藤花織(ufotable)
プロフィール(ゲーム内テキスト全文)
救いたいと思った。
救われたいと思った。
救われるべきだと思った。たとえ目の前の命を磨り潰し、それを積み上げ、
幾粒もの涙を注ぐことでしか咲かぬ願いだとしても。
読み取れる設定
- 願いが三段で言い換えられる。「救いたい」(他者へ向かう意志)→「救われたい」(自分へ向かう渇望)→「救われるべきだ」(当為への転化)。利他から自己正当化へ滑っていく順序そのものが主題になっている。
- 後段はその願いの代償を書く。「目の前の命を磨り潰し、それを積み上げ、幾粒もの涙を注ぐことでしか咲かぬ願い」――救済が、犠牲を積み上げた上にしか咲かないものとして規定される。
- 題名の「茨の種」は、咲かせるものが花ではなく茨であることを示す。願いの成就そのものが傷を伴うという構図が、題と本文の両方で二重に置かれている。
- 【推測】本文に固有名はない。ただし「救うために犠牲を積み上げる」という定式は、異聞帯を存続させるために汎人類史を切り捨てたクリプターたちの立場、および異聞帯の王たちの統治原理に重なる。注釈でもテーマとして「クリプター」「異聞帯」が挙げられているが、特定の人物への同定はできない。
関連
関連礼装の所在
クリプターに関わる礼装のうち、本ページに主たる掲載を置いていないものです。
| No. | 礼装名 | 掲載カテゴリ | 理由 |
|---|---|---|---|
| 2401 | いまは過ぎし星見の証 | 絆礼装 | U-オルガマリーの絆礼装 |