英霊召喚システム
TYPE-MOON世界における「英霊召喚」には、その目的や実行者によって複数の形式が存在する。 本来、英霊(Heroic Spirit)は「英霊の座」にある高次の存在であり、人間がそのまま扱えるものではない。 それを現世に呼び出すために、目的に応じた「器(クラス)」と「格落ち(デグレード)」させて召喚する仕組みが考案された。
1. 決戦術式・英霊召喚(グランド召喚)
「本来の」英霊召喚。 魔術師たちが聖杯戦争で行っているものは、このシステムを人間用にダウングレードして模倣したものである。
- 実行者: 世界(抑止力・アラヤ)。
- 目的: 人類を滅ぼす「七つの人類悪(ビースト)」を討伐するため。
- 召喚対象: **冠位(グランド)**のクラス資格を持つ英霊。
- 特徴: 通常のサーヴァントよりも遥かに強力な霊基(出力)を持ち、ビーストに対抗しうる権能を行使できる。ただし、その力を行使すると冠位の資格を返上しなければならない場合がある(例:キングハサン、オリオン)。
2. 冬木の聖杯戦争システム
御三家(アインツベルン、遠坂、間桐)が構築した、第三魔法に至るための儀式。
- 実行者: 大聖杯(システム)とマスター(魔術師)。
- 目的: 7騎の英霊の魂を燃焼させ、根源への孔を穿つこと。
- 構造:
- 大聖杯: 地脈の魔力を吸い上げ、サーヴァントを実体化させるリソースを提供する。
- 小聖杯: 倒されたサーヴァントの魂を回収する器。
- 令呪: 間桐臓硯が考案した、サーヴァントを縛る強制命令権。
- クラス: セイバー、アーチャー、ランサー、ライダー、キャスター、アサシン、バーサーカーの基本7クラス。
- 特徴: アヴェンジャー(アンリマユ)が混入したことでシステムが汚染され、「願いを歪んで叶える」呪いの装置と化してしまった。
3. カルデア式召喚システム (FATE)
人理継続保障機関カルデアが使用する召喚システム。 正式名称は「守護英霊召喚システム・フェイト」。
- 目的: 人理焼却・人理漂白といった脅威に対抗するため、戦力を確保する。
- 特徴:
- 盾の概念: 聖杯の代わりに、マシュ・キリエライトの持つ「円卓(シールダーの盾)」を触媒として召喚を行う。
- 魔力供給: サーヴァントの維持魔力の一部をカルデアの発電施設(魔力炉)で肩代わりしている。
- 縁(えにし): マスター(藤丸立香)が旅の中で結んだ「縁」を触媒として召喚されることが多い。
- 特異性: 本来召喚不可能な「神霊」や「反英霊」、別側面の「オルタ」なども、特異点の影響や縁によって召喚可能になっている。
4. ムーンセルの召喚
月の電脳世界(SE.RA.PH)における召喚。
- 正体: 英霊のデータを元に構築された再現体。魂そのものではないが、人格や記憶はオリジナルに近い。
- クラス: 基本的に冬木と同じだが、ムーンセル独自の調整が入る。
- 特徴: 電脳空間であるため、情報(スキルや宝具)の開示が勝敗に直結する。
5. 亜種聖杯戦争・その他
冬木のシステムのデータ流出により、世界各地で行われた劣化した聖杯戦争。
- 大聖杯戦争(Apocrypha): 「黒の陣営」vs「赤の陣営」の7対7。ルーラー(裁定者)が召喚される。
- 偽りの聖杯戦争(strange Fake): アメリカで行われた欠陥だらけの儀式。「セイバーが入っていない」「ウォッチャー(番人)などのイレギュラークラス」「疫病(ペイルライダー)」など異常事態が多発。
- クラスカード(プリズマ☆イリヤ): 英霊を召喚して自律させるのではなく、術者がカードを使って英霊の力を身に纏う(インストール)、あるいは武器のみを具現化する(インクルード)。
6. 英霊剣豪・幻霊
- 英霊剣豪七番勝負: 妖術師によって、魂を魔術的に加工され、埋め込まれた存在。
- 幻霊: 英霊としての格に満たない存在(都市伝説や創作の登場人物など)。複数の幻霊を融合させることで、サーヴァントとして成立させることがある(新宿のアーチャーなど)。
7. 幕間の物語で確認されたカルデア召喚の特殊事例
幕間の物語(インタールード)で語られた、カルデア召喚式の特殊な側面。
記憶継続英霊
通常の召喚ではサーヴァントは過去の現界記録を持たないが、稀に例外が存在する。
(ジキル幕間「今も、追い続けるもの」より)「カルデア召喚式はそのあたりが特殊らしくてね、ごく稀に、記録を保持した英霊も存在するらしい」
確認されている記憶継続英霊:
- スカサハ=スカディ: ロシア異聞帯での経験の記憶を継続保有(スカサハ=スカディ幕間より明言)
守護者の召喚
抑止の剣(守護者・カウンターガーディアン)のような特殊な存在も召喚可能。
(エミヤ幕間「夜回り!ジャガ村先生!」より)「この召喚式はろくでもない。僕のような存在さえサーヴァントとして喚んでしまう」
特殊な成立過程の英霊
カルデア召喚式では以下のような通常の英霊とは異なる成立過程の存在も召喚されている:
| サーヴァント | 成立の特殊性 |
|---|---|
| ジナコ=カリギリ(ムーンキャンサー) | BBがカルデアを助けるために霊基成立に介入(ジナコ幕間より) |
| ヴァン・ゴッホ(フォーリナー) | クリュティエという少女の肉体にゴッホの記憶を与えた「捏造された英霊」 |
| 煉獄(沖田オルタ幕間) | 「人理の轍を補正するためにずっと戦い続けた名も無き英霊」 |
| アシュヴァッターマン | 「放浪し摩耗し気付けば英霊になっていた」超長命者の自然的英霊化 |
未完成宝具
英霊の宝具は通常「常に完成されているもの」だが、稀に未完成の宝具も存在する。
(アヴィケブロン幕間より)「生前には果たすことのできなかった宝具、祈りの再現だから。他の同型宝具と戦うことで未完成の宝具を洗練することができる」
疑似サーヴァントの成立過程
バレンタイン2022(War ID: 8366)では、疑似サーヴァントの成立に関する詳細な言及がある。
「神霊がサーヴァントとして現界するには、依り代となる人間が必要となる筈です。」
「神霊マナナンと、依り代であるバゼット。神と人とが出会う事で、この人格は生まれました。」
疑似サーヴァントとは、神霊が単独でサーヴァントとして現界するのではなく、「依り代となる人間(魔術師など)」と「神霊の霊基」が融合した形態のこと。依り代となる人間の個性が疑似サーヴァントの人格に影響を与える。
例:マナナン・マク・リール〔バゼット〕では「バゼットの魂を守るかたちで疑似サーヴァントとなっていた」と語られており、依り代の人間(バゼット)の精神が疑似サーヴァントの人格に強く反映されている。
疑似サーヴァントの特殊な霊基構造として、二重の霊基を持つ場合がある。幻想蒐集領域 パッチワーク・ロンドン(War ID: 9058)では、孔明(諸葛亮)がウェイバー・ベルベットを器とした疑似サーヴァント「ロード・エルメロイII世」について、以下が語られている:
「私は、孔明がエルメロイII世を器とした疑似サーヴァントだ。」
「私にはふたつの霊基がある。あの死体は、孔明としての霊基を加工したものだ。」
これにより、疑似サーヴァントは神霊・英霊の霊基と人間(依り代)の霊基が共存しており、特定の条件下でそれらを分離・利用できることが示される。
ハイ・サーヴァント
複数の神話エッセンスを合成して作られた人工サーヴァント。BBが生み出したアルターエゴたち(メルトリリス、パッションリップ等)がこれにあたる。
「複数の神話エッセンスを合成して作られた人工サーヴァント。アルテミス、リヴァイアサン、サラスヴァティの要素を持つ。」(メルトリリスプロフィールより)
疑似サーヴァントが「人間+神霊」の融合であるのに対し、ハイ・サーヴァントは「複数の神霊要素の人工的合成」という異なる方向性を持つ。