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英霊召喚システム

TYPE-MOON世界における「英霊召喚」には、その目的や実行者によって複数の形式が存在する。 本来、英霊(Heroic Spirit)は「英霊の座」にある高次の存在であり、人間がそのまま扱えるものではない。 それを現世に呼び出すために、目的に応じた「器(クラス)」と「格落ち(デグレード)」させて召喚する仕組みが考案された。

Fate/Grand Order 本編は、この「格落ち」の構造を段階的に暴いていく物語でもある。第四特異点でアンデルセンとソロモンが「聖杯戦争は模倣であり、原型は別にある」と言い当て、第二部では召喚設備そのものを失ったカルデアが、盾一枚と霊基グラフから召喚を組み立て直す。以下ではまず形式ごとの分類を置き、末尾の「章別に見る召喚システムの変質」で、章ごとに何が壊れ、何が付け加わったのかを追う。

形式の比較

形式実行者起動に要るもの位置づけ
決戦魔術・英霊召喚(グランド召喚)世界(抑止力作中で明示されない冠位七騎対クラス・ビースト用の原型
冬木の聖杯戦争大聖杯とマスター大聖杯・令呪・(任意で触媒)基本七クラス原型を人間用に格落ちさせた模倣
カルデア式召喚(フェイト)カルデアとマスターマシュの盾/霊基グラフ・霊脈・電力規約上は七騎まで冬木の儀式の解読・改良版
ムーンセルの召喚ムーンセル(SE.RA.PH)電脳世界の演算資源冬木準拠+独自調整英霊データの再現体
亜種聖杯戦争流出した聖杯システム亜種の聖杯七クラス+イレギュラー劣化・欠陥をともなう派生
幻霊融合・魂の加工個々の術者幻霊・妖術・依り代定型なし英霊未満を人為的にサーヴァント化

1. 決戦術式・英霊召喚(グランド召喚)

「本来の」英霊召喚。 魔術師たちが聖杯戦争で行っているものは、このシステムを人間用にダウングレードして模倣したものである。

  • 実行者: 世界(抑止力・アラヤ)。
  • 目的: 人類を滅ぼす「七つの人類悪(ビースト)」を討伐するため。
  • 召喚対象: **冠位(グランド)**のクラス資格を持つ英霊。
  • 特徴: 通常のサーヴァントよりも遥かに強力な霊基(出力)を持ち、ビーストに対抗しうる権能を行使できる。ただし、その力を行使すると冠位の資格を返上しなければならない場合がある(例:キングハサン、オリオン)。

作中でこの形式に与えられた名は「決戦魔術」である。第四特異点でソロモンは、聖杯戦争の側こそが派生物だと明言した。アンデルセンが魔術協会の資料から「本来は七騎で一つの敵を討つ儀式だった」と推理したところへ、当のソロモン本人が現れて肯定してみせる、という順序で明かされる。

  • 〔死せる魔術協会〕アンデルセン —「降霊儀式・英霊召喚とは、 もともと七つの力を一つにぶつける儀式らしい。」「『儀式・英霊召喚』と『儀式・聖杯戦争』は 同じシステムだが、違うジャンルのものだと言える。」 (この場面を読む
  • 〔そして、霧の彼方にて〕ソロモン —「もともと降霊儀式・英霊召喚とは、 霊長の世を救う為の決戦魔術だった。」「それを人間の都合で使えるよう格落ちさせたものが おまえたちの使う召喚システム―――聖杯戦争である。」 (この場面を読む

アンデルセンはここで、格の差は英雄の優劣ではなく「器・権限の問題」だと整理する。冠位とは強い英霊の称号ではなく、世界に対して振るわれる兵器の枠である、という定義がこの場面で確定した。

  • 〔そして、霧の彼方にて〕アンデルセン —「我らが個人に対する英霊(へいき)なら、 アレは世界に対する英霊(へいき)―――」「即ち、冠位(グランド)の器を持つサーヴァント―――」 (この場面を読む

冠位が返上できることは二度、実演される。第七特異点でカルデアと契約した山の翁は、既に冠位の銘を手放した状態で現れる。第二部5章前半ではオリオンが、女神アルテミスを撃つという一点のためにその場で冠位を返上した。

  • 〔絶対魔獣戦線メソポタミア(Ⅱ)〕山の翁 —「冠位の銘(な)は原初の海への手向けとしたが、 我が暗殺術に些(いささ)かの衰えもなし。」 (この場面を読む
  • 〔其は、女神を穿つ狩人(下)〕オリオン —「我、月の女神アルテミスを真に撃ち落とすため、 己(おの)が冠位(かんい)をここに返上する!」 (この場面を読む

逆に、冠位英霊が現界したという事実そのものが「そこが決戦の場である」という指標になる。オリュンポスで召喚されたグランドランサー・ロムルス=クィリヌスは、自分が呼ばれた意味をそう説明して退去した。

  • 〔神を撃ち落とす日〕ロムルス・クィリヌス —「冠位を受けた英霊が顕(あらわ)れるという事は、 その戦場……その刻が決戦の場である事を示す。」 (この場面を読む
  • 〔其は、女神を穿つ狩人(下)〕オリオン —「冠位のサーヴァントが召喚されるのには、 大体の場合、きちんとした意味がある。」 (この場面を読む

なお「冠位」は英霊の座だけでなく魔術師の階梯を指す語でもあり、さらにカルデアの標語「冠位指定(グランドオーダー)」とも同じ字を使う。区別は冠位(グランドクラス)グランドオーダー(冠位指定)を参照。

2. 冬木の聖杯戦争システム

御三家(アインツベルン、遠坂、間桐)が構築した、第三魔法に至るための儀式。

  • 実行者: 大聖杯(システム)とマスター(魔術師)。
  • 目的: 7騎の英霊の魂を燃焼させ、根源への孔を穿つこと。
  • 構造:
    • 大聖杯: 地脈の魔力を吸い上げ、サーヴァントを実体化させるリソースを提供する。
    • 小聖杯: 倒されたサーヴァントの魂を回収する器。
    • 令呪: 間桐臓硯が考案した、サーヴァントを縛る強制命令権。
  • クラス: セイバー、アーチャー、ランサー、ライダー、キャスター、アサシン、バーサーカーの基本7クラス。
  • 特徴: アヴェンジャーアンリマユ)が混入したことでシステムが汚染され、「願いを歪んで叶える」呪いの装置と化してしまった。

FGO の視点から見たとき、冬木のシステムには二つの役割がある。ひとつは特異点Fの舞台そのものであること。もうひとつはカルデア召喚式の設計図になったことである。オルガマリーは、カルデアが2010年に冬木の記録を入手し、それを元に召喚式を作ったと説明する。

  • 〔港跡を調べる〕オルガマリー —「カルデアがこの事実を知ったのは2010年。お父さ…… いえ、前所長はこのデータを元に召喚式を作った。」「それがカルデアの英霊召喚システム・フェイト。 ラプラス、カルデアスに続く第三の発明ね。」 (この場面を読む

令呪は FGO でも機能しているが、原作の聖杯戦争における使われ方は「安全装置」だとエミヤが解説する。手に負えない英霊を自害させる権限を含む、という説明はカルデアのマスターにとって前提知識ではなく、あくまで外部の作法として語られている点に注意。

  • 〔マスターの条件〕エミヤ —「令呪で睨みをきかせ、悪心を持つようなら これを諫(いさ)めるか、対決するという事だよ。」「用済みになったサーヴァントを令呪で自害させる マスターも多いが、あれはあれで安全装置なんだ。」 (この場面を読む

冬木式の中核である「七騎」という数え方は、第一部を通じて次々と破られていく。特異点Fの時点で既に、マスターを失ったサーヴァントや、正規召喚ではないシャドウサーヴァントが街に溢れている状態だった。

  • Dr.ロマン —「本来なら冬木で召喚された七騎による殺し合いだけど、 そこはもう“何かが狂った”状況なんだ!」 (この場面を読む

3. カルデア式召喚システム (FATE)

人理継続保障機関カルデアが使用する召喚システム。 正式名称は「守護英霊召喚システム・フェイト」。

  • 目的: 人理焼却・人理漂白といった脅威に対抗するため、戦力を確保する。
  • 特徴:
    • 盾の概念: 聖杯の代わりに、マシュ・キリエライトの持つ「円卓(シールダーの盾)」を触媒として召喚を行う。
    • 魔力供給: サーヴァントの維持魔力の一部をカルデアの発電施設(魔力炉)で肩代わりしている。
    • 縁(えにし): マスター(藤丸立香)が旅の中で結んだ「縁」を触媒として召喚されることが多い。
    • 特異性: 本来召喚不可能な「神霊」や「反英霊」、別側面の「オルタ」なども、特異点の影響や縁によって召喚可能になっている。

成立の経緯

フェイトはカルデアの三番目の発明であり、レイシフトの中枢を担う設備として前所長マリスビリー・アニムスフィアが構築した。基地には専用の「召喚実験場」があり、藤丸立香が最初に触れたのもそのシステムである(プロローグの模擬戦)。ただし基地稼働時点での成功例は極端に少なく、オルガマリーは「三体」しか記録がないと語る。

  • 〔プロローグ〕アナウンス —「英霊召喚システム フェイト 起動します。」 (この場面を読む
  • 〔港跡を調べる〕オルガマリー —「もちろんしました。 でもうまくいかなくて、成功例は数えるほどです。」「資料では三体だけ呼び出せたらしいけど、 わたしは二体しか知りません。」 (この場面を読む

その「第二号」がマシュに融合した英霊、「第三号」がレオナルド・ダ・ヴィンチである。第四特異点では、ダ・ヴィンチ自身が完全な成功例は第三号(自分)からであり、システムの基礎は第二号の協力で実証されたと口を滑らせる。第一号のデータは前所長が秘匿しており、その死にはレフ・ライノールが関与した疑いが示唆される。

  • ダ・ヴィンチ —「カルデアにおいて、 英霊召喚の完全な成功は第三号である私からだ。」「なぜならフェイト……英霊召喚システムの基礎は、 第二号の協力でようやく実証―――」

盾を触媒にする

特異点Fで召喚陣を敷いたのはオルガマリーであり、そのとき触媒に指定されたのがマシュの盾(宝具)だった。マシュはこの陣を「カルデアにあった召喚実験場と同じ」と証言しており、盾を触媒にする手順が現地即席の代用ではなく、本来の設備の可搬版であることが分かる。

  • 〔霊脈地へ〕オルガマリー —「マシュ。貴方の盾を地面に置きなさい。 宝具を触媒にして召喚サークルを設置するから。」 (この場面を読む
  • 〔霊脈地へ〕マシュ —「これは……カルデアにあった召喚実験場と同じ……」 (この場面を読む

第二部の冒頭でこの依存関係が明言される。カルデアが襲撃を受けた際、マシュは「この盾以外での英霊召喚は不可能」とドクターから聞かされていたと述べ、だからこそ敵の召喚したサーヴァントが理解不能な事態として扱われる。

  • マシュ —「カルデア以外で、いえ、この盾以外での英霊召喚は 不可能だとドクターが……!」 (この場面を読む

縁を触媒にする

「縁」を触媒とする発想については、第四特異点でモードレッドが気づいて口にしている。彼女は誰の発案かも見当がつくと言い添えており、この方式が円卓/ブリテン由来の人物と結びつけられていることを示唆する。

  • モードレッド —「その使い方なら確かに英霊召喚の難易度は下がる。 誰が言い出した事かは想像つくな。」 (この場面を読む

第一部終了時、カルデアはこの「縁」をデータとして保存していた。ダ・ヴィンチが持ち出したトランクには、契約済み英霊の霊基情報=縁の記録が複製されており、これが第二部の召喚基盤となる。

  • 〔序/2017年 12月31日〕ダ・ヴィンチ —「これとマシュさえいれば再び英霊召喚が可能になる。 もっとも、起動するには相応の霊脈と電力が必要だ。」 (この場面を読む

魔力供給と契約の特殊性

カルデアの契約は、冬木式の「マスターが全魔力を負担する」形とは異なる。魔力の一部を施設側が肩代わりするため、本来なら単騎維持も難しい神霊クラスや複数騎の同時運用が成り立つ。逆に言えば、施設を失った第二部序盤では召喚数が電力と霊脈に直接制約される。

契約そのものの性質も特殊で、「英霊は現界ごとに記録を引き継がない」という原則に例外を作る。この点は本ページ第7節で扱う。また、カルデアで召喚された英霊は自分がどのように喚ばれたかを認識しており、エミヤは召喚され頼られること自体を肯定的に語り、アンリマユは自分の使いどころのなさを自嘲する、といった温度差もそのまま描かれる。

  • 〔マスターの条件〕エミヤ —「ようは、こうして召喚され、頼りにされるのは 英霊にとってそう悪い事ではない、という事だ。」 (この場面を読む
  • アンリマユ —「カルデアに戻ったら、また役立たずとして 隠れていますので、召喚は少なめでよろしく。」 (この場面を読む

なお、同一英霊の別側面を同時に扱えるのはこのシステムの長所であり短所でもある、とDr.ロマンが特異点Fの直後にまとめている。アルトリアは「召喚された時点で元のカタチとは独立したもの」と説明し、黒く堕ちた自分は別人だと断言した。

  • 〔戦う理由〕アルトリア —「サーヴァントとして召喚された英霊は、 その時点で元のカタチとは独立したもの。」 (この場面を読む
  • 〔戦う理由〕Dr.ロマン —「うん。そこが英霊召喚システムの 長所でもあり短所でもある。」「ひとりの英霊の様々な側面を利用できる反面、 同じ英霊で争う事も起こりえるんだ。」 (この場面を読む

→ 関連: カルデア霊基グラフ魔力供給デミ・サーヴァント/疑似サーヴァント

4. ムーンセルの召喚

月の電脳世界(SE.RA.PH)における召喚。

  • 正体: 英霊のデータを元に構築された再現体。魂そのものではないが、人格や記憶はオリジナルに近い。
  • クラス: 基本的に冬木と同じだが、ムーンセル独自の調整が入る。
  • 特徴: 電脳空間であるため、情報(スキルや宝具)の開示が勝敗に直結する。

FGO 本編では、この系統の技術が**BBによる霊基への介入**という形で顔を出す。ムーンセル由来の存在は、カルデア召喚式では本来成立しないはずの霊基を成立させる側に回ることがあり、ジナコ=カリギリムーンキャンサー化がその例として語られる(第7節の表を参照)。

→ 関連: ムーンセルムーンキャンサーアルターエゴ

5. 亜種聖杯戦争・その他

冬木のシステムのデータ流出により、世界各地で行われた劣化した聖杯戦争。

  • 大聖杯戦争(Apocrypha): 「黒の陣営」vs「赤の陣営」の7対7。ルーラー裁定者)が召喚される。
  • 偽りの聖杯戦争(strange Fake): アメリカで行われた欠陥だらけの儀式。「セイバーが入っていない」「ウォッチャー(番人)などのイレギュラークラス」「疫病(ペイルライダー)」など異常事態が多発。
  • クラスカード(プリズマ☆イリヤ): 英霊を召喚して自律させるのではなく、術者がカードを使って英霊の力を身に纏う(インストール)、あるいは武器のみを具現化する(インクルード)。

FGO 内部でも、聖杯が単独で召喚機能を持ち出す事例が起きる。第四特異点では、聖杯を組み込んだ巨大蒸気機関アングルボダによって魔霧そのものに召喚機能が付与され、魔霧が魔法陣と詠唱の欠落分を肩代わりした。儀式の手順が省略できてしまう、という意味で亜種化の極端な例である。

  • 〔アングルボダ〕マシュ —「聖杯を機械に組み込むことで、 英霊召喚の機能が魔霧に付与されてしまった、と。」 (この場面を読む
  • 〔アングルボダ〕Dr.ロマン —「彼が発していたのは完全な呪文ではなかったが、 魔霧が魔法陣や残りの呪文の肩代わりをしたらしい。」 (この場面を読む

→ 関連: 亜種聖杯戦争聖杯戦争のルール聖杯戦争の変種イレギュラー事例

6. 英霊剣豪・幻霊

  • 英霊剣豪七番勝負: 妖術師によって、魂を魔術的に加工され、埋め込まれた存在。
  • 幻霊: 英霊としての格に満たない存在(都市伝説や創作の登場人物など)。複数の幻霊を融合させることで、サーヴァントとして成立させることがある(新宿のアーチャーなど)。

英霊剣豪(下総国)

英霊剣豪は「聖杯によって喚ばれた英霊」に妖術を掛け合わせ、「一切鏖殺の宿業」を埋め込んで作られた七騎である。妖術師自身が、彼らは英霊ですらないと明言している点が重要で、これは正規の召喚に後段の加工工程を足した派生形にあたる。

  • 妖術師 —「人理に刻まれしモノどもの影法師。 亡霊にあらず、悪霊にあらず、怨霊にあらず。」「無論英霊にもあらず。」「人の世を切り裂く刃を携えし、英霊剣豪七騎である!」 (この場面を読む
  • キャスター・リンボ —「然り。然り。聖杯によって喚ばれし英霊に 貴殿の妖術を掛け合わせ……」「我が“一切鏖殺(いっさいおうさつ)”の宿業を埋め込んだ稀有なる七騎。」 (この場面を読む

幻霊(新宿)

幻霊の定義は新宿のアーチャー(モリアーティ)が与えている。霊基数値が足りず、英雄にも反英雄にもなれない虚構——都市伝説程度の概念がそれにあたる。彼はこれを「魔術師にとっての礼装」に喩え、サーヴァントの能力を飛躍させる部品として移植する技術を持っていた。

  • 〔国道蹂躙モンスター〕新宿のアーチャー —「霊基数値が満たない虚構、精々が都市伝説程度の概念。 英雄にも反英雄にもなれぬ、朽ちて消えるだけの存在。」「我らはそれを“幻霊”と呼ぶ。」 (この場面を読む
  • 〔世紀末トラップ〕新宿のアーチャー —「そして幻霊は、あくまで能力を飛躍向上させるもの。 言うなれば魔術師にとっての礼装に過ぎんよ。」 (この場面を読む

モリアーティ自身が幻霊を融合した複合サーヴァントであり、彼がアーチャークラスで現界した理由も、取り込んだ幻霊「魔弾の射手」に由来する。幻霊がクラス適性そのものを書き換えうることを示す事例である。

  • 〔名探偵ペネトレイト〕モリアーティ —「我が名はジェームズ・モリアーティ。 幻霊を融合した複合サーヴァントとして、ここに現界した。」 (この場面を読む
  • 〔名探偵ペネトレイト〕ホームズ —「モリアーティが付属させた幻霊こそは魔弾の射手(デア・フライシュッツ)。」 (この場面を読む

逆に、霊基数値が足りないまま召喚されて壊れた例もある。新宿のクリスティーヌについて、ダ・ヴィンチは人形に封じられた状態での召喚だと推測した。

  • 〔女帝クリスティーヌ〕ダ・ヴィンチ —「つまり、クリスティーヌは霊基数値が足らぬままに 召喚され、人形に封じられた……?」 (この場面を読む

→ 関連: 幻霊反英霊霊基


7. 幕間の物語で確認されたカルデア召喚の特殊事例

幕間の物語(インタールード)で語られた、カルデア召喚式の特殊な側面。

記憶継続英霊

通常の召喚ではサーヴァントは過去の現界記録を持たないが、稀に例外が存在する。

(ジキル幕間「今も、追い続けるもの」より)「カルデア召喚式はそのあたりが特殊らしくてね、ごく稀に、記録を保持した英霊も存在するらしい」

  • 〔今も、追い続けるもの〕ジキル —「カルデア召喚式はそのあたりが特殊らしくてね、 ごく稀に、記録を保持した英霊も存在するらしい。」 (この場面を読む

パラケルススは、この例外が発生する条件を「特異点やカルデア召喚式などの特殊例」に限ると整理している。通常の召喚では断片的な引き継ぎさえ起こらない、というのが原則側の言明である。

  • パラケルスス —「特異点やカルデア召喚式などの特殊例でなければ、 我々にも、記録の断片的な引き継ぎ等は発生し得ない。」 (この場面を読む

確認されている記憶継続英霊:

ただし本人は、記憶が続くことと生き返ることは違うと突き放している。カルデア召喚式が特殊であっても、それは復活ではないという線引きが本人の口から示された場面である。

  • 〔夢のあとさき〕スカサハ=スカディ —「カルデア召喚式による希有(けう)なる現界であろうとも、 真の再生、復活とは意味が違う。この私は死んでいる。」 (この場面を読む

なお、英霊召喚そのものが常識外の難度であることは、ダ・ヴィンチとホームズが改めて確認している。低位の魔獣や亡霊の召喚とは格が違い、そこにエーテルの実体と人格まで与えるのが英霊召喚だ、という位置づけである。

  • ダ・ヴィンチ —「ソレがそもそも奇跡なんだ。まあ、それを言うなら カルデア召喚式による英霊召喚も稀有(けう)なものなんだけど。」 (この場面を読む

守護者の召喚

抑止の剣(守護者・カウンターガーディアン)のような特殊な存在も召喚可能。

(エミヤ幕間「夜回り!ジャガ村先生!」より)「この召喚式はろくでもない。僕のような存在さえサーヴァントとして喚んでしまう」

特殊な成立過程の英霊

カルデア召喚式では以下のような通常の英霊とは異なる成立過程の存在も召喚されている:

サーヴァント成立の特殊性
ジナコ=カリギリ(ムーンキャンサー)BBがカルデアを助けるために霊基成立に介入(ジナコ幕間より)
ヴァン・ゴッホフォーリナークリュティエという少女の肉体にゴッホの記憶を与えた「捏造された英霊」
煉獄(沖田オルタ幕間)「人理の轍を補正するためにずっと戦い続けた名も無き英霊」
アシュヴァッターマン「放浪し摩耗し気付けば英霊になっていた」超長命者の自然的英霊化

未完成宝具

英霊の宝具は通常「常に完成されているもの」だが、稀に未完成の宝具も存在する。

(アヴィケブロン幕間より)「生前には果たすことのできなかった宝具、祈りの再現だから。他の同型宝具と戦うことで未完成の宝具を洗練することができる」

疑似サーヴァントの成立過程

バレンタイン2022(War ID: 8366)では、疑似サーヴァントの成立に関する詳細な言及がある。

「神霊がサーヴァントとして現界するには、依り代となる人間が必要となる筈です。」

「神霊マナナンと、依り代であるバゼット。神と人とが出会う事で、この人格は生まれました。」

疑似サーヴァントとは、神霊が単独でサーヴァントとして現界するのではなく、「依り代となる人間(魔術師など)」と「神霊の霊基」が融合した形態のこと。依り代となる人間の個性が疑似サーヴァントの人格に影響を与える。

例:マナナン・マク・リール〔バゼット〕では「バゼットの魂を守るかたちで疑似サーヴァントとなっていた」と語られており、依り代の人間(バゼット)の精神が疑似サーヴァントの人格に強く反映されている。

疑似サーヴァントの特殊な霊基構造として、二重の霊基を持つ場合がある。幻想蒐集領域 パッチワーク・ロンドン(War ID: 9058)では、孔明(諸葛亮)がウェイバー・ベルベットを器とした疑似サーヴァント「ロード・エルメロイII世」について、以下が語られている:

「私は、孔明がエルメロイII世を器とした疑似サーヴァントだ。」

「私にはふたつの霊基がある。あの死体は、孔明としての霊基を加工したものだ。」

これにより、疑似サーヴァントは神霊・英霊の霊基と人間(依り代)の霊基が共存しており、特定の条件下でそれらを分離・利用できることが示される。

「依り代が死体でも成立しうるのか」という問いは、第二部1章でも検討された。言峰綺礼と名乗る人物を前に、ホームズは死体を依り代とする疑似サーヴァントの可能性を否定しきれないと述べる。

  • ホームズ —「…………死体を依り代にしてなら召喚されてもいい、 なんて英霊はいない、と断言したいところだがね。」「特例として、依り代が死体だからこそ 疑似サーヴァントとして成立する英霊がいるかもしれない。」 (この場面を読む

ハイ・サーヴァント

複数の神話エッセンスを合成して作られた人工サーヴァント。BBが生み出したアルターエゴたち(メルトリリスパッションリップ等)がこれにあたる。

「複数の神話エッセンスを合成して作られた人工サーヴァント。アルテミス、リヴァイアサン、サラスヴァティの要素を持つ。」(メルトリリスプロフィールより)

疑似サーヴァントが「人間+神霊」の融合であるのに対し、ハイ・サーヴァントは「複数の神霊要素の人工的合成」という異なる方向性を持つ。

8. 章別に見る召喚システムの変質

以下は、召喚システムが章ごとにどう説明され、どう壊され、何が付け加わったかの追跡である。

特異点F 炎上汚染都市 冬木 — 起動と、七騎の崩壊

物語はフェイトの起動アナウンスから始まる。入館手続きの待ち時間に流される模擬戦のためのシステム起動、という扱いで、召喚は最初「日常の設備」として提示される。ところが爆破によって管制室と発電所が失われ、藤丸立香だけがレイシフトに成功する。現地でマシュを救ったのは正規の召喚ではなく、消滅寸前のサーヴァントが持ちかけた契約——デミ・サーヴァントという「カルデア六つ目の実験」だった。

続いて霊脈地で、オルガマリーがマシュの盾を触媒に召喚サークルを設置する。これが以降の全編を支える手順になるが、この時点では通信確保のための応急処置として扱われている。オルガマリーはここで、英霊召喚とは何かという定義も与えている。

  • オルガマリー —「英霊召喚とは、この星に蓄えられた情報を 人類の利益となるカタチに変換すること。」 (この場面を読む

この章で「七騎で競い合う」という冬木のルールは既に崩れている。マスターのいないサーヴァントが徘徊し、シャドウサーヴァントが無尽蔵に湧く。クー・フーリンは「ランサーとして召喚されていれば」とぼやき、英霊が複数のクラス適性を持つこと、召喚時にどの器を得るかで戦力が変わることが、実例として提示される。

→ 章別解説: 特異点F 炎上汚染都市 冬木

第四特異点 死界魔霧都市 ロンドン — 「聖杯戦争は模倣である」

召喚システムの正体が本編で初めて解剖される章。アンデルセンが魔術協会の資料を漁り、「英霊同士に戦わせるというコンセプトに瑕がある」という違和感から、原型の存在を突き止める。Dr.ロマンは、カルデアも一からシステムを作れたわけではなく、冬木の儀式を解読・改良して安定させたにすぎないと認める。

  • 〔死せる魔術協会〕Dr.ロマン —「カルデアも一から英霊召喚システムを 作りあげる事はできなかった。」「フユキの儀式を解読、改良して安定させたけど、 そのオリジナルがある事までは考慮していなかった。」 (この場面を読む

終盤、アンデルセンはソロモンに向けて「英霊召喚とは抑止力の召喚であり」「彼等は七つの器を以て現界し、ただひとつの敵を討つ」と結論を突きつけ、ソロモンがそれを肯定する。冠位=世界に対する兵器という定義と、聖杯戦争がその格落ち版であるという系譜が、この一場面で確定した。

同じ章では、聖杯を機械に組み込んだ結果として魔霧が召喚機能を代行するという逆方向の逸脱も起きている(第5節参照)。「正しく詠唱しなくても喚べてしまう」状況が、システムの劣化と暴走の両方を示す。

→ 章別解説: 第四特異点 死界魔霧都市 ロンドン

第七特異点 絶対魔獣戦線 バビロニア — 神代なら、王でも喚べる

ギルガメッシュがマーリンをはじめ複数の英霊を自力で召喚していたことが判明する章。マーリンは、神秘の濃い神代であれば召喚の難易度は低く、逆に神秘の薄れた二十一世紀では魔術による英霊召喚は困難だと説明する。カルデアの召喚術が「神域の才が成したもの」と評価されるのは、この難易度差を踏まえた発言である。

  • 〔ギルガメッシュの災難〕ギルガメッシュ —「カルデアの召喚術とは違う、 正真正銘の英霊召喚というヤツよ。」 (この場面を読む
  • 〔ギルガメッシュの災難〕マーリン —「そこはそれ、ここは神代の終わりだからね。 西暦に比べれば英霊召喚の難易度は低いのさ。」「逆に神秘が薄れた二十一世紀であれば、王様だろうと 私だろうと、魔術による英霊召喚は困難だ。」 (この場面を読む

ただし神代でも制約はある。マーリンは、ギルガメッシュが「では我もあと七人呼ぼう」と言い出したせいで枯渇死しかねなかったと語り、王が前線に出られない理由が魔力消費の未回復にあると明かす。魔力供給の負担という論点が、カルデアの発電施設による肩代わりと対比される形で示される章でもある。

この章の終盤、ギルガメッシュは英霊召喚の存在理由を人類悪と結びつけて説明する。第1節の「決戦魔術」という位置づけが、ここで対ビースト戦の文脈と接続される。

  • 〔終焉〕ギルガメッシュ —「今は人類史を脅かす災害、と覚えておけ。 英霊召喚の元になった、人類の自滅機構と安全装置とな。」 (この場面を読む

さらに、冠位を返上した山の翁がカルデアと契約する場面が置かれる。「冠位の銘は手放したが暗殺術に衰えはない」という自己申告は、冠位が戦闘力ではなく権限の位であるというロンドンでの定義を裏づける。

→ 章別解説: 第七特異点 絶対魔獣戦線 バビロニア

終局特異点 冠位時間神殿 ソロモン — 冠位指定の出自

召喚そのものより、「冠位指定(グランドオーダー)」という語の出所が明かされる章。レフ・ライノールは、冠位指定が魔術王ソロモンが人理焼却のために用意したルールだと告げる。カルデアが掲げてきた標語が敵側の設計だった、という反転である。

  • 〔獣の宙域〕レフ —「冠位指定(かんいしてい)、グランドオーダー。 それは魔術の王がこの時の為に作り上げたルールだ。」 (この場面を読む

なお終章では、ソロモン本人がこの経緯を別角度から語り直す。天から授かった人理補正式は自分の死とともに停止し、その願いが「冠位指定」として一握りの魔術師に伝わった、という説明である。

  • 〔原初特異点 冬木〕ソロモン —「私の死後、その願いは冠位指定として残り、 一握りの魔術師たちに命題として伝わった。」 (この場面を読む

→ 章別解説: 終局特異点 冠位時間神殿 ソロモン

序/2017年 12月26日 — 契約解除、そして盾だけが残る

第一部の終了とともに、カルデアの召喚システムは正式に停止する。レイシフトは凍結され、契約サーヴァントは役目を終えたものとして退去した。ダ・ヴィンチを除き、サーヴァントは地上から消える。

  • 〔序/2017年 12月26日〕(地の文) —「カルデアに召喚されたサーヴァントも、 その役目を終えたものとして契約を解除し、退去。」 (この場面を読む

この章では、カルデアの召喚運用が魔術協会の規約違反であったことも明かされる。「七騎までの制限付き」という枠を大幅に超えて召喚を続けていたことが、査問団に問われる罪状の一つに数えられる。冬木由来の「七騎」という数字が、法規上の上限として残っていたことがここで分かる。

  • 〔序/2017年 12月26日〕ダ・ヴィンチ —「七騎までの制限付きだった サーヴァント召喚の多用。」 (この場面を読む

そして12月31日、カルデアが襲撃を受ける。ダ・ヴィンチが持ち出した霊基グラフのトランクとマシュの盾——この二つだけが、以後の召喚の全てになる。拠点はシャドウ・ボーダーへ移り、召喚は施設の常設機能ではなく、霊脈と電力を毎回調達して行う野外作業へと変わった。

→ 章別解説: 序/2017年 12月26日

Lostbelt No.1 永久凍土帝国 アナスタシア — 凧と落雷

第二部の召喚がどれほど簡略化されたかを実演する章。ホームズは召喚に必要なものを「霊基トランクと電力、更に霊脈」の三点に整理し、電力を落雷から調達するという力技を採る。ダ・ヴィンチは「ここまで召喚システムを簡略化したのは、恐らく私だけ」と胸を張る。

  • 〔獣たちの帝国〕ホームズ —「サーヴァント召喚には、 その霊基トランクと電力、更に霊脈が必要だ。」 (この場面を読む
  • 〔ヤガ〕ホームズ —「これは強制召喚だ。キミと契約し、因果を結んだ英霊の いずれかが召喚され、稲妻を魔力変換し、霊基(からだ)を形成する。」 (この場面を読む

ここで重要なのは、マスターの立ち会いそのものが召喚の因子であり、現れた英霊と即座に契約しなければ維持できない、という説明である。マスターは「要石」として位置づけられ、カルデアの設備が肩代わりしていた役割が人間ひとりに戻っている。

そして実際に喚ばれたのは、霊基グラフに記録のないアヴィケブロンだった。ホームズはこれを「マスターとの縁より、土地そのものが求める悲鳴の方が強い」と解釈する。縁を触媒とする召喚が、異聞帯では土地の要請に上書きされうるという、第一部にはなかった挙動である。

  • ホームズ —「ミスターマスターとの縁より、 土地そのものが求める悲鳴の方が強い、という事だね。」「どうやら既存の英霊はこの世界では生半(なまなか)には 成立できないようだ。」 (この場面を読む

同じ章では、汎人類史の霊基グラフを持つカルデアが現れたことで異聞帯側にも連鎖召喚が起きた可能性が示唆され、以後の異聞帯で「呼ばれた側」のサーヴァントが続出する伏線になる。

→ 章別解説: Lostbelt No.1 永久凍土帝国 アナスタシア

Lostbelt No.5 神代巨神海洋 アトランティス — 世界が喚んだ冠位

オリオンが「世界そのものに召喚されたアーチャー」として現れる章。カルデアが喚んだのではなく、世界が喚んだ冠位英霊であり、その現界自体が事態の深刻さを示す指標になる。そして彼は、アルテミスを撃つという目的のために自ら冠位を返上する。冠位が目的に対して差し出せる資格であることが、ここで最も明確に描かれた。

→ 章別解説: Lostbelt No.5 神代巨神海洋 アトランティス

Lostbelt No.5 星間都市山脈 オリュンポス — 冠位を名指しで喚ぶ

召喚システムの側から冠位に手を伸ばした唯一の章。破神同盟が用意したのは「破神術式・冠位英霊(グランドクラス)指定召喚」、通称・大召喚陣である。カルデア式とは別系統の、古今東西の術を寄せ集めた術式だと説明される。

  • 〔汝、星を紊す情動(Ⅰ)〕人工知能 —「―――破神術式・冠位英霊(グランドクラス)指定召喚!」 (この場面を読む
  • 〔汝、星を紊す情動(Ⅰ)〕人工知能 —「元々、異聞帯や特異点は連鎖召喚が起きやすいからな。 そいつに方向性(ベクトル)を与えてやるって考えだ。」「この術式は、都市各地への複数召喚陣設置によって 初めて成立する、大規模な召喚術式となります。」 (この場面を読む

マシュはこの語を、第1節でソロモンが語った「決戦魔術」と結びつけて理解する。冠位がプレイヤー側の手札として初めて計画に組み込まれた瞬間である。

  • 〔汝、星を紊す情動(Ⅰ)〕マシュ —「決戦魔術・英霊召喚で喚(よ)び出されるという、 きわめて強力な英霊……グランドクラス、サーヴァント!」 (この場面を読む

ホームズは同時に、逆方向の推論も立てる。冠位英霊召喚の条件が整っているということは、それに見合う敵——クラス・ビーストが近くにいることを意味する。冠位の召喚可能性が、敵の格を測る計器として使われた場面である。

  • ホームズ —「これらの要素を並べていけばおのずと導かれる。 独立した災害、且つ、冠位英霊の現界が成立するほどの存在。」 (この場面を読む

実際に喚ばれたのはグランドランサー・ロムルス=クィリヌスであり、彼は「大召喚器アイテールによって喚ばれた身」だと自ら述べる。ただし異聞帯という特殊な条件下ゆえに集った冠位は二騎ほどだろう、とも語り、七騎が揃う状況ではないことを示唆した。

→ 章別解説: Lostbelt No.5 星間都市山脈 オリュンポス

Lostbelt No.7 黄金樹海紀行 ナウイ・ミクトラン — 召喚自由区間と、全霊基の投入

召喚の規模が最大化する章。シオンは、四つの冥界線が汎人類史の英霊を許容する「召喚自由区間」であることを突き止め、ストーム・ボーダーのトリトンエンジン三基を召喚術式に回して、カルデアに登録された全英霊の霊基グラフを励起状態に置く作戦を立案する。第一部で「七騎まで」と制限されていたシステムが、ここで英霊部隊の戦術的運用にまで拡張される。

  • 〔ORT〕シオン —「四つの冥界線は汎人類史の英霊を許容する、 『召喚自由区間』です。」「その特性と、英霊たちと縁を結んできた マスター・マスターがいれば、」「大規模な召喚作戦が可能です。」 (この場面を読む
  • 〔ORT〕シオン —「今までカルデアに登録された全ての英霊―――」「全サーヴァントの霊基グラフを 基底状態から励起状態にセットアップ。」 (この場面を読む

この作戦が成立する条件が「英霊たちと縁を結んできたマスターがいること」である点は重要で、第一部から積み上げた縁がそのまま戦力規模の上限になる、という構造がここで明示される。

一方で、冠位の側は既に打撃を受けている。章の冒頭でU-オルガマリーが、人類の最高峰である決戦魔術の七騎をまとめて始末したと宣言する。この発言の真偽については冠位(グランドクラス)に整理があるが、少なくとも「冠位七騎」という枠組みが物語の争点に上がっていることは確かである。

  • 〔死の国へ〕U-オルガマリー —「貴様ら人類の最高峰、決戦魔術とやらの7騎を まとめて始末してきたところだ。」 (この場面を読む

同じ章では「冠位」の別用法——魔術師の階梯としての冠位も説明される。カドックがORTの逸話を語る際、冠位の魔術師を魔術世界の頂点、その一段下を色位(ブランド)の魔術師と位置づけている。

  • 〔オープニング〕カドック —「冠位の魔術師は魔術世界における頂点。 ひとりで一国に匹敵する怪物だ。」 (この場面を読む

→ 章別解説: Lostbelt No.7 黄金樹海紀行 ナウイ・ミクトラン

奏章Ⅳ 人類裁決法廷 トリニティ・メタトロニオス — 存在しない冠位

マシュの盾がなぜ「公平」を要求するのかを説明する場面で、冠位の枠に関する新しい情報が出る。エクストラクラスに冠位は存在しないが、もしあるならギャラハッドこそがそれだ、という言明である。第1節で述べた「七つのクラス」という枠に対する例外の提示にあたる。

  • 〔ワールドエンド〕スタッフ(?) —「エクストラクラスに冠位(グランド)は存在しませんが、 あるとすれば……間違いなく、彼がそうなるでしょう。」「グランドルーラー、ギャラハッド。」 (この場面を読む

エピローグでは、マシュ自身の位置づけも更新される。ダ・ヴィンチは、彼女がもはや「人類史の英霊」ではなく「カルデアの騎士」として数えられており、その第二宝具の正体がレイシフトそのものだと明かす。召喚される側だったマシュが、召喚と時空干渉の担い手として再定義される場面である。

→ 章別解説: 奏章Ⅳ 人類裁決法廷 トリニティ・メタトロニオス

終章 — カルデア式ではない契約

最後に召喚のルールを踏み越えるのはソロモン本人である。彼は「冠位英霊の座が一つ、あいている筈だ」と述べてカルデアに加わろうとするが、その契約方法はカルデア式ではなく、術者が最強の使い魔を喚び、才覚で御するという古い王道の作法だと宣言する。マスターに資格を要求する契約は、本編で唯一この場面にしかない。

  • 〔終章_序 ダイジェスト〕ロマニ・アーキマン —「冠位英霊の座が一つ、あいている筈だ。」 (この場面を読む
  • 〔終章_序 ダイジェスト〕ロマニ・アーキマン —「対等、あるいは上位のものとしか契約できない。 私と契約する魔術師には資格が必要だ。」「なに。カルデア式の契約ではない、 古くから王道とされる契約法だ。」 (この場面を読む

同じ場面で彼は、カルデアが冠位英霊に手を伸ばしたこと自体を「傲慢」と評しつつ、その結果として最後の舞台に立つ資格を得たと認める。第四特異点で「格落ち」と断じられた側が、最終的に冠位の領域まで届いた、という一部からの長い伏線の回収でもある。

  • 〔終章_序 ダイジェスト〕ロマニ・アーキマン —「ビーストに対抗する七つのクラス。 冠位英霊に手を伸ばした傲慢さを今は問うまい。」 (この場面を読む

→ 章別解説: 終章

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