第四特異点 死界魔霧都市 ロンドン
- 時代
- 1888年 / 産業革命期の大英帝国
- 舞台
- 帝国首都ロンドン(ロンディニウム)
- 脅威
- 都市を覆う魔霧と、発生源の巨大蒸気機関アングルボダ
- 聖杯
- アングルボダの動力源として、地下深くに組み込まれていた
発生タイムライン
- 1888年 到着約3日前
- 到着当日 午後2時
- 到着当日
- 到着当日
- 到着当日
- 到着当日
- 到着当日の夜
- 翌日の早朝
- 翌日
- 翌日
- 仮眠の後
- 同日
- 同日
- 同日
- 同日の昼
- 同日
- 同日
- 同日
この章について
1888年のロンドンは、魔力を帯びた霧に覆われている。濃い霧を吸った人間は、ひどければ一時間ほどで死ぬ。生き残った市民は戸と窓を閉ざして屋内に籠もり、外からの救援も霧に阻まれた。ヘンリー・ジキルの試算では死者は数十万単位に上り、イーストエンドはほぼ全滅している。魔術協会の本部にあたる時計塔も、地上の入口ごと瓦礫になっていた。
霧の発生源は、地下鉄よりさらに深い層に据えられた巨大蒸気機関アングルボダだった。動力源として聖杯が組み込まれ、機関が都市へ霧を送り出していた。霧は英霊召喚の働きも帯びており、マスターも儀式もないまま英霊が次々に現界した。モードレッドもアンデルセンも、召喚の手順を一度も踏んでいない。
魔霧計画を率いたのは、「P」「B」「M」の頭文字で呼ばれる三人である。「P」はパラケルスス、「B」は蒸気王チャールズ・バベッジで、二人ともサーヴァントだった。最初の主導者を名乗る「M」はマキリ・ゾォルケンで、モードレッドの勘では人間である。三人とも、人理焼却はもう覆せないと受け止めていた。マキリはこの時代を自らの手で壊し、人理定礎を消そうとする。
時計塔の地下書庫で、アンデルセンは聖杯戦争の出所を突き止めた。英霊召喚の原型は、一つの巨大な敵に人類最強の七騎をぶつける儀式だった。英霊同士を競わせる形は、冬木でねじ曲げられた部分にあたる。カルデアの召喚式も、冬木の儀式を解読して改良したものだった。
黒幕は、終盤に自分からロンドンへ降りてきた。名はソロモン、七つの冠位の一角を名乗るグランドキャスターである。出発前のブリーフィングで、カルデアはソロモン王の時代に異変がないことから、魔神と王を無関係と見ていた。その見立ては外れ、カルデアは追うべき敵の名を知って帰還する。ソロモンは一行を殺さずに去り、ロンドンで共に戦った英霊たちは特異点の修正とともに消えた。
章の流れ
魔霧の都
午後二時のロンドンにレイシフトすると、往来には馬車も歩行者もなかった。カルデアは霧を異常な魔力反応として捉え、普通の人間が深く吸えば命に関わると判断する。マスターが平気な理由は分からない。Dr.ロマンはマシュに融合した英霊の加護を疑い、毒耐性スキル(仮)と呼んだ。霧の中で出会ったモードレッドは、一行を科学者ジキルのアパルトメントへ連れていく。二人はすでに手を組んでおり、実働はモードレッド、調査と解析はジキルの受け持ちだった。
ジキルの話で、霧の始まりがおよそ三日前だと分かる。政府の機能は麻痺しつつあり、閉じこもった市民も水と食糧が尽きれば保たない。マシュは、二十世紀に起きるはずの死の霧の事件に似ていると指摘した。Dr.ロマンは一世紀ずれているのかと疑っている(この場面を読む)。出来事が本来の年代から動いていると取れる。
アパルトメントは霊脈の上にあり、カルデアはここに召喚サークルを確立した。モードレッドは道中でマシュに問われ、自分以外の誰かがブリテンを穢すのは許さないと打ち明ける。見つけた聖杯は一行に渡す、とも約束した。
三つの頭文字
ジキルの依頼で、一行は連絡の途絶えた魔術師ヴィクター・フランケンシュタインの屋敷を訪ねた。屋敷の前にいたキャスターのメフィストフェレスは、計画への参加を拒んだヴィクターを殺していた。メフィストフェレスを倒したあと、マシュはヴィクターが書きかけのまま遺したメモを見つける。計画の名は魔霧計画、主導者は「P」「B」「M」の三名とあった。屋敷の棺には、ヴィクターの祖父が作った人造人間が入っていた。一行は彼女をフランと呼び、アパルトメントへ連れ帰る。
次の依頼は、ソーホーで市民を醒めない眠りに落とす魔本だった。古書店で待っていた少年が、作家の英霊アンデルセンである。アンデルセンは、魔本をマスターを探す魔力の塊だと見抜き、名を与えて実体化させた。現れたのはナーサリー・ライムで、この時代には彼女のマスターがいないとアンデルセンは見る(この場面を読む)。霧から現れた英霊は、マスターを得ないまま動いていると分かる。
アンデルセンは協力を渋っていたが、モードレッドの悪口を聞いて気を変え、拠点に加わった。マシュの側にも変化があった。ソーホーへ向かう途中、モードレッドは本気を装った模擬戦でマシュに剣を受けさせる。自分の力を抑えこむ癖を崩す荒療治で、マシュは心の枷が一つ外れた気がすると答えた。モードレッドはマシュを誰かと比べる口ぶりを見せ、問われると口が滑ったと話を打ち切っている。
霧から現れる英霊
拠点に戻ると、ジャック・ザ・リッパーがスコットランドヤードを襲っていた。駆けつけたときには署内は全滅しており、そばにいた男が主導者の一人「P」と名乗る。ヤードには封印つきで保管された品があり、それを奪うための襲撃だった。一行はジャックを倒したが、「P」は転移で姿を消す。戻った「P」は「M」に損害を報告し、自分たちはサーヴァントとして従うまでだと告げた。
その夜の哨戒で、一行はシェイクスピアが霧の中から現界する場面に立ち会った。直後に現れた「P」は、魔霧から現界した英霊を順に確保し、霧を広げる働き手に調整していると認める(この場面を読む)。主導者たちは、必要な英霊がロンドンに現れるのを待っていたと分かる。「P」はこのとき移送すべき触媒もないと口にしており、ヤードで奪った品は触媒だったと取れる。
「P」は真名をヴァン・ホーエンハイム・パラケルススと明かし、一行に敗れて消えた。翌日の早朝から、街にはヘルタースケルターの群れがあふれる。ジキルはこれを、主導者の一角を倒したカルデアを敵が脅威と見た結果だと読んだ。
時計塔の地下書庫
ヘルタースケルターとの連戦で、屋外に長くとどまるのは難しくなった。アンデルセンは、自分の疑問を確かめる資料を時計塔で探そうと持ちかける。大英博物館の跡地は瓦礫の山だったが、本の姿の敵が現れた拍子に地下への入口が開いた。通路の先には、魔術で封じられた書庫が残っていた。蔵書は部屋の外へ持ち出せない仕掛けになっており、読み終えるまで扉を守る戦いになる。魔力の尽きたシェイクスピアに代わって、ジキルが霊薬でハイドに変わり前へ出た。
アンデルセンの疑問は、英霊を使い魔にする術が人間の力だけで成り立つのかという点にあった。書庫の記述によると、英霊召喚の原型は一つの巨大な敵に七騎を投入する儀式である。聖杯戦争は、それを人間が利己的に使えるよう作り替えた派生にあたる(この場面を読む)。冬木の儀式を解読して召喚式を組んだカルデアは、派生の側から出発していたと分かる。
Dr.ロマンは、カルデアも原型の存在までは考えていなかったと認めた。アンデルセンは、散逸しているはずの資料が一カ所に集めてあった点も見逃さない。訪問を予期した何者かがいると見たが、魔術師ともサーヴァントとも決めきれず、この件は棚上げになった。
蒸気王
解析の結果、ヘルタースケルターは魔力で編まれた機械で、宝具の一種だと分かった。操る遠隔操作機を壊せば全機が止まり、その魔力を辿れたのはフランだけだった。宝具と聞いたマシュは、自分の宝具を使いこなせないことに落ちこむ。モードレッドは三分の一しか引き出せていないと見立てたうえで、それでも元の英霊より強いと言い切った。一行はウェストミンスターで遠隔操作機を壊し、残骸の銘からチャールズ・バベッジの名とAD.1888の年号を見つける。
仮眠のあと、停止していたヘルタースケルターが全機再起動した。止めに出ると、フランの案内が乱れ始める。フランはバベッジと会ったことがあり、こんなことをする人ではないと庇っていた。モードレッドは、バベッジは強要されていると説いて彼女を前に進ませる。シティの中心で待っていたのは、蒸気王を名乗るバベッジ本人だった。魔霧から現れたサーヴァントで、「B」の正体でもある。フランの声に応えかけたところで、バベッジはアングルボダの介入を受けて襲いかかってきた。
マシュの記録では、バベッジはこの時代の十年以上前に死んでいる。ジキルの手元の新聞では、1791年生まれのバベッジが存命の碩学として載っていた。Dr.ロマンは事象のずれで故人が生きている可能性を挙げる(この場面を読む)。霧だけでなく人の生死まで、本来の歴史から動いていると取れる。介入の瞬間にバベッジは「M」の名を口にしており、マキリが聖杯を通じて仲間さえ縛ったと分かる(この場面を読む)。
倒れる間際、バベッジは地下深くのアングルボダと、動力源にされた聖杯の在処を伝えた。自分の夢を叶えなかった世界でも、隣人の世界を終わらせたくはないと言い残して消える。一行の行き先は、シティの地下に決まった。
アングルボダ
フランを拠点に戻し、一行はシティの地下へ降りた。地下鉄よりさらに深い層に迷宮が続き、四層目は地下数百メートルに達する。最奥には、冬木の大聖杯に酷似した巨大な魔術炉心があった。北欧神話でフェンリルや世界蛇を生んだ女巨人の名を持つ、巨大蒸気機関アングルボダである。その前で待っていた「M」は、魔霧計画の最初の主導者マキリ・ゾォルケンと名乗った。
マキリの狙いはロンドン一都市ではなく、霧で英国全土を浸してこの時代を壊すことにあった。救済を望んで抗ったが、世界はすでに焼却されていると知った、と彼は言う。過去も現在も未来も、王が存在を許さないと決めたからだという(この場面を読む)。マキリの悪逆は勝ち目のない現実への諦めから出ており、その上に彼らの王がいると分かる。モードレッドは勘で、彼をサーヴァントでなく人間だと見抜いている。
マキリが喚んだ七十二柱の魔神の一柱バルバトスを、一行は倒した。それでも息のあったマキリは、英霊召喚の呪文に狂化の一文を加えて唱える。詠唱は不完全だったが、魔霧が魔法陣と残りの呪文を肩代わりした。命と引き換えに喚ばれたのは、星の開拓者の一人ニコラ・テスラである。
雷電と聖槍
テスラは狂化に似た縛りを受け、活性化した魔霧をまとって地上へ向かった。活性魔霧はサーヴァントの魔力も吸い、近づく者を寄せつけない。モードレッドの宝具で霧を一時割ったものの、霧はすぐに戻り、一行は退くしかなかった。地上に出たテスラは雷電の階段を上り、バッキンガム宮殿の上空を目指す。その前に立ったのは、雷電を触媒に霧から現れた坂田金時だった。召喚に相乗りした玉藻の前の援護を受け、金時は活性魔霧を剥がす。追いついた一行は、階段の上でテスラを倒した。
テスラは地下で戦ったあと、自分の行き先をマスターに告げていた。止めたければ追ってこいと言い、思考と行動が切り離されていると自分を責めてもいる(この場面を読む)。縛られた行動とは別に、本人は止められることを望んでいたと取れる。倒れたテスラは、世界の存続は電気文明の存続だと言って座へ戻った。
決着の直後、Dr.ロマンはアングルボダから聖杯を外していないと気づいた。引き返そうとした矢先、残る魔霧の大半を吸ってアルトリアが現界する。手にした槍は、カムランの丘でモードレッドを貫いた聖槍ロンゴミニアドだった。Dr.ロマンは撤退を勧めたが、モードレッドは父王に背を向けず、再び叛逆を選ぶ。一行はこのアルトリアを倒し、地下のアングルボダから聖杯を外した。
魔術王ソロモン
聖杯を外した直後、地下空間の一部が歪んだ。サーヴァントの現界とは違い、むしろレイシフトに近い現象だった。歩いてきた男は、ジル・ド・レェとロムルスとイアソンとテスラを小間使いにもならないと切り捨てる。男はソロモンと名乗り、死後に自らの力で蘇って英霊になった生者だと言った。上に立つマスターはおらず、自分の意思で人類の一掃を始めたと語る。
あらゆる時代の空にあった光の輪は、ソロモンの第三宝具だった。一条ごとに聖剣ほどの熱線で、それを幾億も重ねた対人理宝具である。七十二柱の魔神は受肉して新生し、そのためにあらゆる時代へ投錨できるという(この場面を読む)。これまでの特異点で見た光の輪と魔神は、同じ一人の仕業だったと分かる。カルデアが生き延びているのは、時間軸から外れてソロモンの眼にも見えにくいからだった。
戦いは一方的で、マシュが全滅を口にするほどだった。Dr.ロマンはソロモンの力場に阻まれ、レイシフトで一行を引き戻せない。アンデルセンは一度だけモードレッドへの攻撃を防ぎ、時計塔で読んだ記述を突きつけた。英霊召喚は抑止力の召喚で、七つの器を持つ英霊が霊長の世を阻む大災害を討つ。ソロモンはこれを認め、聖杯戦争は決戦魔術を人間の都合で格落ちさせたものだと言った。
アンデルセンは、格ではなく器と権限の差だと言い返す。自分たちが個人に対する英霊なら、ソロモンは世界に対する英霊である。ソロモンはこれを肯定してグランドキャスターを名乗り、アンデルセンを焼いた。四つの聖杯を奪われたこともマスターの存在も、彼には些事だった。七つの特異点をすべて消せば、そのとき解決すべき案件として考えると言い残して去った。
帰還
ソロモンが去ると、モードレッドの体が消え始めた。聖杯の霧で喚ばれた身で、特異点が消えれば寄る辺もない。英霊は喚ばれなければ戦えず、時代を築くのはその時代を生きる人間だと彼女は言う。魔術王を追いつめる仕事をマスターに託し、モードレッドは消えた。一行を引き上げたのはダ・ヴィンチで、Dr.ロマンはソロモンの出現に打ちのめされていた。
ソロモンは、死を克服できないまま死を恐れ続けた人類を無様だと言い切った。救いのない未来と知りながら生き続けようとする理由を、マスターに問いもしている(この場面を読む)。人類を有効利用できるのは自分だけだという言い分は、この見方から出ていると取れる。
マシュは、強制レイシフトの遅れを悔やむDr.ロマンを励ました。爆破の炎の中で電源を戻し、生存者を救って指揮を執ったのはあなただと本人に伝えている。部屋に戻ると、彼女はソロモンの言葉を否定できなかったと打ち明ける。命は無意味で未来に救いがないという悲観を、彼は希望のように語っていたという。マシュは戦いはこれからだと詫び、答えを出さないまま話を終えた。
得たもの/失ったもの
マシュ
ソロモン
アンデルセン
マシュ
モードレッド
モードレッド
バベッジ
フラン
アンデルセン
モードレッド
シェイクスピア
マシュ魔霧の死者と被害は、時代の修正とともに無かったことになる。マシュは到着した日に、聖杯を手に入れれば霧の死者も屋内の市民も含めて被害そのものが消えると話していた。消えるのは、共に戦った側の記憶も同じである。ジキルは、サーヴァントがすべて消えて自分たちの記憶も修正されると見ていた。フランの声に応えて、少し寂しいと漏らしている(この場面を読む)。
出発前のブリーフィングでは、先代所長の死も話題になった。Dr.ロマンは事故でなく殺人だと見て、英霊召喚システムを快く思わないレフが殺めた可能性が高いと言う。ダ・ヴィンチは自分を召喚成功例の第三号と名乗り、第一号と第二号は機密扱いだったと話した。第二号は、マシュに力を預けた英霊である。
関連
用語集の該当ページ。
- 聖杯 / 大聖杯 / 聖杯戦争 / 英霊召喚 / 英霊召喚システム
- 冠位(グランドクラス) / 抑止力 / 魔術王 / 七十二柱の魔神
- 人理焼却 / 人理定礎 / 特異点 / 霊脈
- 魔術協会 / 時計塔 / カルデア / レイシフト
- 現界 / 宝具 / 令呪 / 人造人間
中心人物。
- モードレッド / ハンス・クリスチャン・アンデルセン / ウィリアム・シェイクスピア
- ヘンリー・ジキル&ハイド / フランケンシュタイン / ナーサリー・ライム
- チャールズ・バベッジ / ヴァン・ホーエンハイム・パラケルスス / 間桐臓硯
- ニコラ・テスラ / ジャック・ザ・リッパー / メフィストフェレス
- 坂田金時 / 玉藻の前 / アルトリア・ペンドラゴン〔オルタ〕
- ソロモン / マシュ・キリエライト / ロマニ・アーキマン / レオナルド・ダ・ヴィンチ
前後の章。
出典: ゲーム内シナリオ全文コンコーダンス(tools/data/concordance/lines.jsonl、war 104 の本編スクリプト 0100040110〜0100041351)。章前ブリーフィング(スクリプト 0100040010)は /story 再生データが無いため、先代所長の死と召喚成功例の番号に関する記述にはリンクを張っていない。








