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第七特異点 絶対魔獣戦線 バビロニア

時代
紀元前2655年 / 神代の末期。シュメル初期王朝の時代
舞台
古代メソポタミア、城塞都市ウルクとその周辺
脅威
三女神同盟の侵攻と、その後に目覚める原初の母ティアマト
聖杯
眠るティアマトがキングゥに与え、彼の心臓として動いていた
勢力
ウルクとカルデア
王が召喚した英霊と市民が半年戦い続ける城塞都市。カルデアは客人として加わる
三女神同盟
ウルク王の聖杯を先に得た女神が、焼却後の世界を支配するという契約で結ばれる
ティアマトとその仔
虚数世界から呼び戻された原初の母。キングゥを作り、ラフムを生む
ティアマトキングゥ

発生タイムライン​

  1. 到着の約半年前
    聖杯が届いた時点で、王はウルクの滅亡を視て民に告げる
    ギルガメッシュ
    変化マーリンと七騎の英霊を呼び、バビロンを崩して北壁を築く
  2. 紀元前2655年
    廃都バビロンの上空に放り出され、エルキドゥを名乗る少年に救われる
    マシュキングゥ
    変化少年は一行を森へ誘い込む。マーリンとアナが罠から救い出す
  3. レイシフト3日目
    ウルクに入り王に謁見する。王は協力を断り、下働きから始めよと命じる
    ギルガメッシュシドゥリ
    変化王の手元の聖杯反応は、別の宝ウルクの大杯だったと後に分かる
  4. ウルク着から20日
    老人ジウスドゥラが、ウルクに三度の嵐が来ると告げる
    ジウスドゥラ
    変化王は城外の任務を許し、ウルと密林の調査に送り出す
  5. クタで天命の粘土板を見つけ、襲ってきた女神イシュタルを縛り上げる
    イシュタルアナ
    変化同盟の狙いはウルク王の聖杯。粘土板は魔術王の玉座を映す
  6. 侵攻まで10日
    ニップル救出が罠に終わり、現れたゴルゴーンの前でレオニダスが倒れる
    レオニダスゴルゴーン
    変化女神は十の夜明けの後の侵攻を告げ、少年はキングゥと名乗る
  7. 侵攻まで9日
    エビフ山へ向かい、宝石を対価にイシュタルと仮契約を結ぶ
    イシュタル
    変化王の狙いは、女神が従える天の牡牛グガランナにあった
  8. 侵攻まで5日
    エリドゥの神殿で、マスターがケツァル・コアトルめがけて飛び降りる
    ケツァル・コアトルジャガーマン
    変化女神は同盟を抜けて契約し、マルドゥークの斧を翼竜で運ばせる
  9. 侵攻まで2日
    急死した王の魂を追って冥界に下り、エレシュキガルを破る
    エレシュキガルギルガメッシュ
    変化ジウスドゥラが同盟の契りを断ち、冥界の女神も手を引く
  10. 侵攻予定の前日
    鮮血神殿本編を読む
    斧で鮮血神殿を割り、アナがゴルゴーンと共に崩れる玉座へ消える
    アナゴルゴーン
    変化ゴルゴーンの死が眠る本体に届き、ペルシア湾からラフムが湧く
  11. 同日
    ラフムがウルクを襲い、シドゥリが市民を庇って連れ去られる
    ギルガメッシュシドゥリ
    変化王は猶予を二日と見て、残る市民を北壁の向こうへ逃がす
  12. 同日夜
    エリドゥでラフムがキングゥを襲い、体内の聖杯を奪って飛び去る
    キングゥ
    変化キングゥの心臓が聖杯だった。聖杯はペルシア湾の中心へ届く
  13. 翌日
    海上の頭脳体を倒した直後、海中から本体が現れてウルクへ進む
    ティアマト
    変化メソポタミアのどの手段でも傷一つ付かない、と女神が断じる
  14. 翌日夜
    冥界落とし本編を読む
    地上に命がある限り死なない母を、冥界へ落とす策が決まる
    ギルガメッシュエレシュキガル
    変化門の準備に三日、母の到着まで二日。シュメルの生存者は五百人
  15. 翌日夜
    王が天の丘でキングゥを見つけ、ウルクの大杯を心臓として与える
    ギルガメッシュキングゥ
    変化母でも生まれでもなく、自分の望みで動いてよいと王が告げる
  16. 決戦当日の朝
    黒泥に染まった牛若丸を弁慶が抱え込み、宝具で共に消える
    弁慶牛若丸
    変化近衛が消え、ケツァル・コアトルが太陽石で足元の泥を焼く
  17. 決戦当日
    飛ぼうとするティアマトに、ケツァル・コアトルとゴルゴーンが挑む
    ケツァル・コアトルゴルゴーン
    変化ゴルゴーンが右角を砕いて消え、母の飛翔は封じられる
  18. 出撃から半日後
    キングゥが天の鎖で母を縛り、王は囮としてジグラットに残る
    キングゥギルガメッシュ
    変化イシュタルがウルクの足元を撃ち抜き、母を冥界へ落とす
  19. 同日
    死の付与本編を読む
    冠位を捨てた山の翁が角翼を断ち、母に死の概念を与える
    山の翁マーリン
    変化英雄王の姿で戻った王と共に頭部を討ち、母は冥界の底へ落ちる
  20. 帰還直後
    七つ目の聖杯を持ち帰り、解析で魔術王の特異点の座標が出る
    マシュロマニ・アーキマン
    変化同じ瞬間にカルデアの座標も知られ、引き寄せが始まる

この章について​

舞台は紀元前2655年の古代メソポタミアで、シュメル初期王朝の時代にあたる。カルデアのブリーフィングでは、大づかみに紀元前2600年と呼ばれていた。神代の末期で、大気の魔力は第六特異点のエジプト領より濃い。任務は七つ目の聖杯の回収である。この一つだけは魔術王が自ら過去へ送ったと、獅子王の証言から分かっていた。

カルデアの時計で2016年が残りわずかになった朝、最後の探索が始まる。その明け方、マシュはDr.ロマンの姿をした何者かの夢を見ていた。相手はマシュの命が尽きかけていると告げ、聖杯は高次元から落ちた影で、魔力の結晶にすぎないと言う。人類史に価値は無いと説く声を、マシュはDr.ロマンとは正反対の何者かだと退けた。

到着した城塞都市ウルクは、魔獣の群れと半年戦い続けていた。聖杯が届いた時点で、王ギルガメッシュは千里眼でウルクの滅びを視ている。王は民に「ウルクは半年の後に滅びる」と告げ、逃げるか戦うかを民に任せた。民は戦うと答え、王は廃都バビロンを崩して北の城壁を築く。神代は英霊召喚が西暦より易しく、王はマーリンに続けて七騎の英霊を自力で呼んだ。

攻めてくるのは三女神同盟である。ウルク王が隠し持つ聖杯を先に手にした女神が、人理焼却後の世界を支配する。これが魔術王の示した唯一の契約で、手段は女神それぞれに任された。ゴルゴーンは北で魔獣を産み、ケツァル・コアトルは南を密林で覆う。エレシュキガルは冥界から、人が眠るように死ぬ病をウルクに広げた。

同盟の陰では、虚数世界から呼び戻された原初の母ティアマトが眠っていた。ゴルゴーンは眠る母と感覚を共有し、自分をティアマトだと思い込んでいる。女神たちが奪い合ったのは王の持つウルクの大杯で、魔術王の聖杯は母の息子キングゥの心臓になっていた。ゴルゴーンが倒れると母は目を覚まし、海から湧いたラフムがシュメルの都市を呑んでいく。最後に残ったシュメルの民は五百人である。

章の流れ​

廃都バビロンと偽のエルキドゥ​

レイシフトの直後、一行はウルクの防御結界に弾かれ、廃都バビロンの上空二百メートルに放り出された。廃墟は見たことのない魔獣の巣で、空からは女神イシュタルが落ちてくる。女神は落とし物を探していると言い、一行を連れ出さずに飛び去った。包囲を破ったのは、エルキドゥを名乗る少年である。少年はメソポタミアが三女神同盟に大地を奪われていると話し、ウルクへの案内を申し出た。

案内された先は、ウルクとは逆方向の杉の森だった。そこで出会ったローブの男が、今のウルク王は不老不死の探索から戻った後だと口にする。エルキドゥはその探索の前に死んでいるはずで、少年は正体を隠したまま襲いかかった。男の夢の術と少女の加勢で一行は逃げのび、男はマーリン、少女はアナと名乗る。

少年は道中、聖杯は誰の手にも渡っていないと断言していた(この場面を読む)。その聖杯は少年自身の心臓に収まっていたと、後で分かる。一行が落ちてくる直前にも、少年は同盟の会合で女神の一柱を母上と呼び、最後の魔術師の到来を告げていた。カルデアは初日から、敵の案内で動かされていたと取れる。

マーリンはウルク王に召喚された宮廷魔術師で、アナは聖杯の影響で呼ばれたマスターのいないサーヴァントだった。アナは女神を倒すためにマーリンと組んでいて、人間には近寄るなと言う。一行は二人に連れられ、レイシフトから三日目にウルクへ着いた。

戦闘都市ウルクの二十日​

王は政務の合間にジグラットで一行と戦い、天命を帯びた者の器を量った。王はカルデアも英霊召喚も承知していて、今の一行に用は無いと突き放す。マシュが聖杯の話を出したとき、カルデアは王の手元に聖杯の反応を捉えた。王は自分の宝を渡す気はないと言い、一行を祭祀長シドゥリに預けて下働きから始めさせる。

王は宝物庫の鍵を封じて魔杖に持ち替え、魔術師としてこの国を守っていた。召喚した七騎のうち、巴御前は魔獣の将ギルタブリルと相打ちになっている。天草四郎と風魔小太郎は南の密林から戻らず、茨木童子は離反して姿を消した。残るレオニダス一世が北壁を指揮し、牛若丸と武蔵坊弁慶が市と戦線を行き来する。

王の手元の反応は、王が元から持っていた宝、ウルクの大杯だった。牛若丸の話からDr.ロマンはそれに気づき、王もマーリンも誤認を正さなかったと見る(この場面を読む)。回収すべき聖杯はウルクの外にある、と一行は考えを改めた。

一行は与えられた宿舎を大使館と呼んで住み、市民の依頼をこなして暮らす。ウルクに来て二十日目の休日、物乞いと見られていた老人ジウスドゥラが、ウルクに三度の嵐が来ると告げた。忠告は、憎しみ・楽しみ・苦しみを持つ者に心を寄せるなという中身だった。その後、王はマスターの名を初めて呼び、城外の任務を言い渡す。

三女神の輪郭​

最初の城外任務は、密林に呑まれた南のウル市の調査だった。ウルの市民は森の女神の掟に従い、毎日一人をエリドゥへ差し出して生き延びていた。行く手には神霊のジャガーマンが現れ、一行は撤退する。次の任務では王が身分を隠して同行し、ペルシア湾の観測所で海水の瓶を取り替えさせた。そこを狙ってエルキドゥを名乗る少年が襲い、王が姿を見せると動きを止めて退く。

王は少年の出力が以前より上がっていると見て、よほど良い魔力炉心を得たのだろうと言った(この場面を読む)。その炉心こそ魔術王の聖杯だったと、後になって分かる。観測所で集めた海水も、後に黒い海の正体を調べる手がかりになった。

三つ目の任務はクタ市での天命の粘土板の回収で、王が冥界からの帰りに瞑想して記したものだった。クタは同盟の出現後、住民が傷一つなく眠るように死んだ市である。マスターはそこで生きたまま冥界に落ち、ジウスドゥラに地上へ戻された。続いて、聞き込みを怒ったイシュタルが襲ってくる。アナが屋根伝いに背後を取って女神を墜とし、一行は女神を縛り上げた。

夜に目覚めた女神は、同盟の狙いは王の聖杯で、自分はウルクの巫女に呼ばれたと答える。北と南の女神は聖杯に引き寄せられた神霊で、その真名は戒律で明かせないという。持ち帰った粘土板にマスターが触れると、千里眼で全ての悲劇を知りながら笑う王への憤りが見えた。その声は神殿と光帯を築けと命じ、終局の特異点にある魔術王の玉座を示す(この場面を読む)。王はこれを、魔術王を探る数少ない手がかりと呼んだ。

ニップルの罠​

次の任務は、魔獣に囲まれたニップル市の住民を北壁まで連れ帰る作戦だった。成功すれば、王はカルデアを不要と言った言葉を改めるという。牛若丸と弁慶が東で魔獣を引きつけ、一行が西門から入る手はずである。ところがニップルに住民はおらず、エルキドゥを名乗る少年が待ち構えていた。

少年は前夜のうちに二百人を連れ去り、魔獣の巣に運んでいた。続いて地下から長い蛇身の女神が現れ、自らをティアマトと名乗る。足止めに出た牛若丸は尾に打ち倒された。城門から駆けつけたレオニダスは、宝具で女神の熱線を跳ね返して倒れる。その最期に、レオニダスは女神を複合神性ゴルゴーンと呼んだ。

少年は、魔獣がまだ一度もウルクへ侵攻していないと明かした(この場面を読む)。兵の最大の死因は未帰還で、連れ去られた人間は次の世代の魔獣の材料にされていた。北壁が半年もちこたえた理由の一つは、敵が壁を人の集まる狩り場と見ていた点にあったと分かる。

ゴルゴーンは十の夜明けの後にウルクを滅ぼすと告げて退き、少年はティアマトに作られた新人類キングゥと名乗った。少年の不意打ちで深手を負ったアナは、フォウの力で転移して逃れている。主君を一人で死地へ行かせた弁慶は、戦う意義を失ったと言って去った。生け捕りにされた牛若丸を、キングゥは母の泥の海へ送ると告げる。その泥は魔術世界で聖杯の泥と呼ばれ、魔術王はケイオスタイドと名付けていた。

金星の女神と太陽の女神​

王は女神の攻略順を決め、まずイシュタルを味方に付けよと命じた。牧場主の証言では、イシュタルの爆撃は魔獣を巻き込むときに限られ、女神は守った報酬に宝石を取り立てていた。一行は王の宝物庫の鉱石を対価に交渉し、エビフ山の神殿でイシュタルと仮契約を結ぶ。女神はある少女の体に降ろされた疑似サーヴァントだった。王の狙いは女神本人ではなく、女神が従える天の牡牛グガランナにある。

ウルクに戻った日、ケツァル・コアトルが素手で南門を砕いて乗り込み、兵を一人ずつ投げ倒して去った。女神は一日に百人と決めて、人間と一対一で戦うと言う。一行はマルドゥークの斧が保管されたエリドゥへ向かい、寝返ったジャガーマンの案内で密林を抜けた。神殿の頂で、マスターは女神の宝具である太陽石を砕かなかった。代わりにイシュタルに上空へ運ばれ、ケツァル・コアトルめがけて飛び降りる。女神はそれを受け止めて負けを認め、同盟を抜けてマスターと契約した。

ケツァル・コアトルに倒された兵は即死の瞬間に蘇生され、エリドゥで鍛え直されていた。ジャガーマンは後に、女神が他の女神を止めるために同盟へ入ったと明かす(この場面を読む)。ウルクの聖杯を先に取れば、ほかの女神は人類を絶やせないという計算だった。

砕かれずに残った太陽石は、決戦の日にティアマトの泥を焼く手段になる。マルドゥークの斧は、ケツァル・コアトルの翼竜の編隊がウルクまで運ぶ。

冥界下りと三柱目の女神​

エリドゥから戻ると、王は玉座で眠るように息を引き取っていた。市内では衰弱死が続き、ケツァル・コアトルはそれを冥界の女神の仕業と見る。女神はイシュタルが初めから同盟の外にいたと指摘し、三柱目はエレシュキガルだと明かした。マーリンは、巫女長がイシュタルを呼んだときに半身のエレシュキガルも呼ばれたと推し量る。

一行はイシュタルの砲撃でクタの地面に穴を開け、冥界へ下りた。神代の冥界は地上と地続きの土地で、イシュタルは門をくぐるたびに神性を削られて縮んでいく。岩陰に隠れていた王と合流し、七つの門を越えた荒野でエレシュキガルを破る。女神はゴルゴーンより先にウルクを落とし、大杯を手に入れるつもりだった。

エレシュキガルは、ひとりで魂を管理してきた努力を誰も褒めないと訴えた。王は、逃げずに務めを果たした偉業は称えるべきだが、苦しみを称賛するのは本人への侮辱だと返す(この場面を読む)。苦しみを持つ者に賞賛を示すな、というジウスドゥラの忠告と同じ考え方と取れる。女神は、夜にマスターと話していたのはイシュタルではなく自分だとも認めた。クタで縛られた夜に同盟の一柱として答えたのも、エビフ山の夜に今のメソポタミアを許さないと語ったのも、彼女だったと取れる。

そこへジウスドゥラが現れ、エレシュキガルの命ではなく同盟の契りだけを斬った。老人は、女神が魂を集めたのは死すべき人間を愛していたからだと言い当てる。王は衰弱死した千二百人の遺体を保管していて、魂が槍檻から解かれれば皆生き返る。エレシュキガルはウルクを襲わないと誓い、恩を返すまでは契約しないと言って冥界に残った。

鮮血神殿​

ゴルゴーンが告げた期限の前日、マルドゥークの斧を使う電撃作戦が始まった。北壁の兵が魔獣を誘い出し、ケツァル・コアトルは先頭のキングゥを足止めする。合図を上げた直後、マーリンは手が滑ったと言って杖を神殿の方へ放り、斧は鮮血神殿に突き刺さった。同盟の契りに触れたケツァル・コアトルは、神罰で神性の半分を失っている。

神殿の壁には繭が並び、中では作り変えられた人間がまだ生きていた。アナの正体は、ゴルゴーンになる前のメドゥーサである。ゴルゴーンにはアナが醜い怪物にしか見えず、視界から消せと叫んだ。アナの鎌は傷を再生させない不死殺しの宝具で、その一撃がゴルゴーンの不死を破る。崩れる玉座で、アナはゴルゴーンと共に消えた。

ゴルゴーンは、復讐に理を感じるなら頷けとマスターに迫っていた。マスターはその理を認めず、マシュはその姿こそ心そのものだと言い返す(この場面を読む)。憎しみを持つ者に理解を示すな、という一つ目の忠告に沿う場面と取れる。

ゴルゴーンが倒れても、聖杯の反応は出なかった。マーリンは、聖杯の恩恵はあったが所持はしていなかったと整理する。駆けつけたキングゥは、予定より一日早い決着だったと漏らした。ゴルゴーンは眠る本物のティアマトと感覚を共有していて、その死が母を眠りから引き上げた。

原初の母の目覚め​

目覚めた母は、夢の中で眠りを引き延ばしていたマーリンを握り潰した。マーリンは消える前に、母を七つの人類悪の一つ、原罪のビーストと呼んでいる。ペルシア湾は黒く染まり、海から湧いたラフムは一億を超えて増えていった。ラフムはエリドゥとウルを襲い、ウルクの市も燃えた。シドゥリは市民を庇って連れ去られ、王は残る市民を北壁の向こうへ逃がす。

王の命でエリドゥへ向かった一行は、捕らえた人間同士を殺し合わせるラフムを見る。止めに入ったキングゥは、自分の体がエルキドゥの遺体だとマシュに指摘された。キングゥはそれでも母の息子だと答え、その姿をラフムに笑われて体内の聖杯を奪われる。聖杯を飲んだラフムは翼を得てペルシア湾へ飛び、海辺では黒泥に染まった牛若丸が追撃を阻んだ。

ラフムには消化器官がなく、生きるために他の命を襲う理由がない。それでもウルの市民を家の中で殺し、何も食べずに残していた。ラフムは、母に人間らしさを学べと命じられ、人間を殺すのは楽しいという結論を出したと自ら語る(この場面を読む)。新しい人類として産まれた仔が人間から学んだのは、殺す愉しみだったと取れる。

浜辺で追い詰められたキングゥを、一体のラフムが庇って逃がした。そのラフムはウルクの民としてエルキドゥに礼を言い、キングゥは知らないはずの名と顔を思い出して泣く。前日に連れ去られた者だという点と王の言葉から、それはシドゥリだったと取れる(この場面を読む)。

海上に浮かんだ母の頭脳体は倒せたが、海中から巨大な本体が現れてウルクへ進み始めた。ケツァル・コアトルは、今のメソポタミアのどの手段でもこの母には傷一つ付かないと断じる。

最後の夜​

シュメルに残った人間は、ウルク市と北壁を合わせて五百人になった。Dr.ロマンは、地上に生きた命がある限りティアマトに死は訪れないと見る。王は逆に、生者のいない冥界に落とせば母は最後の命になると考えた。エレシュキガルはウルクの真下に冥界の門を開ける準備に三日を求め、母の到着までは二日しかない。足止めに頼るはずのグガランナは、イシュタルがどこかで失くしていた。

イシュタルは、北部で落としてバビロンまで探したと白状する(この場面を読む)。到着の日にバビロンで女神が探していた落とし物は、この牡牛だったと取れる。ケツァル・コアトルはこの夜、ゴルゴーンが偽のティアマトだと知っていたと打ち明けた。人間に本気でゴルゴーンと向き合ってほしくて、真の脅威を伏せていたという。

同じ夜、王はウルクで一か月を過ごしたマスターに、特異点を修復しても死んだ者は戻らないと語った。変わるのは死の解釈だけで、ウルクの滅びも人類史から消えない。王の千里眼では、この局面でウルクに残るのは王ひとりだった。だから五百人が残ったのは、カルデアが本当に救った命だと王は言う(この場面を読む)。

王はその夜、天の丘で倒れていたキングゥに、ウルクの大杯を心臓として与えた。母でも生まれでもなく、自分のやりたいことをやってよいと告げて王は去る。

冥界の底の決着​

夜明け、王とカルデアは、母が黒泥の上しか歩けないと見て泥の除去に狙いを変えた。母に近づく一行の前に、黒泥に染まった牛若丸が立ちふさがる。そこへ弁慶が戻って主君を抱え込み、宝具を放って共に消えた。牛若丸は最期の場面で彼を常陸坊と呼んでいて、弁慶その人ではなかったと分かる。続いてケツァル・コアトルが太陽石の宝具で母の足元の泥を焼き、マスターは魔力を送り続けた。

母が角を翼に変えて飛ぼうとすると、ケツァル・コアトルは燃える岩となって突っ込んだ。角は折れず、ナピュシテムの牙も崩れて黒泥がウルクへ流れ出す。そこへ黒い蛇の群れを連れたゴルゴーンが現れ、母の右角を砕いて消えた。消える前の言葉から、それはアナだったと取れる(この場面を読む)。王は、二柱の女神が母の飛翔を封じたことを考え得る最大の戦果と呼んだ。

ウルクに戻ると、市内で生きているのは王と城壁の兵八人だけだった。王は城壁のディンギル三百六十機を一人で撃ち続け、母の光線を受けて致命傷を負う。ラフムの群れがジグラットに体当たりした直後、大杯を心臓にしたキングゥが戻り、天の鎖で母を一刻縛り上げた。王は、特異点の基点である自分も母と共に消えるべきだと言い、最後の囮としてジグラットに残る。イシュタルの宝具がジグラットの根元を撃ち抜き、ウルクごと母を冥界へ落とした。

王は別れ際、異邦人の一行はこの時代の余分なものだったと言う。その余分なものこそが、時代の全てを動員しても覆せない滅びに最後の手を打てると告げた(この場面を読む)。初対面で一行を不要とした言葉は、ここで別の意味に置き換わったと取れる。

冥界では刑罰の光とガルラ霊の総攻撃が母を焼いたが、母は泥で冥界を侵し、より古い神の体へ戻っていく。アヴァロンから走ってきた本物のマーリンが、花で泥の力を枯らした。続いてジウスドゥラが冠位を捨てた山の翁として名乗り、母の角翼を断って死の概念を与える。マーリンによれば、翁を呼んだのは礼を返す相手であるマスター自身だった。最後は英雄王の姿で一時だけ戻った王が加わり、頭部の霊基核を討って母を冥界の底へ落とした。

落ちる母の喉からこぼれた聖杯をマーリンが受け止め、七つ目の聖杯は回収された。ジャガーマンに救われていたケツァル・コアトルは、母の消滅とともにジャガーマンと退去する。イシュタルは初期王朝が終わるまでこの時代に残り、生者に力を貸す禁を破ったエレシュキガルは冥界で休んでいると伝えられた。帰還したカルデアは、シバによる聖杯の解析で魔術王の特異点の座標を得る。同じ瞬間に魔術王もカルデアの座標を知り、カルデアは相手の特異点へ引き寄せられ始めた。

得たもの/失ったもの​

得たもの
人理
七つ目の聖杯を回収した。落ちる母の喉からマーリンが受け止めた
マーリン
人理
冥界に落としたビーストⅡに死を与え、特異点の原因を除いた
山の翁
人理
シュメルの民五百人が生き残った。王の千里眼では王ひとりだった
ギルガメッシュ
カルデア
聖杯の解析で、魔術王が潜む特異点の座標が出た
ロマニ・アーキマン
カルデア
天命の粘土板で、魔術王の玉座へ続く光景を垣間見た
ギルガメッシュ
人物
山の翁が契約に応じ、告死の剣をマスターに預けた
山の翁
人物
イシュタルは初期王朝が終わったらカルデアへ行くと約束した
イシュタル
人物
キングゥは王に自由を許され、天の鎖で母を縛った
キングゥ
失ったもの
人理
第五王の治世のウルクは滅びた。第六王以降の時代は残る
ギルガメッシュ
人理
ラフムの襲撃と黒泥の侵食で、シュメルの民の大半が死んだ
カルデア
座標を知った瞬間、カルデアの座標も魔術王に知られた
ロマニ・アーキマン
人物
ギルガメッシュは囮としてジグラットに残り、命を落とした
ギルガメッシュ
人物
シドゥリは市民を庇い、ラフムに連れ去られた
シドゥリ
人物
レオニダスはニップルで女神の熱線を返して戦死した
レオニダス
人物
アナはゴルゴーンと共に消えた。それが呼ばれた理由だった
アナゴルゴーン
人物
牛若丸は黒泥に呑まれ、弁慶が抱えて共に消えた
牛若丸弁慶
人物
エレシュキガルは生者に力を貸す禁を破り、全てを投げ出した
エレシュキガル
人物
ケツァル・コアトルとジャガーマンは母の消滅と共に退去した
ケツァル・コアトルジャガーマン

ウルクの損失は、人理修復の後も消えない。王の言う辻褄合わせで変わるのは、死の理由と滅びの解釈である。王とティアマトが消えたことで、ウルクの滅びは第五王の治世の終わりとして人類史に収まり、第六王以降のウルクは残る。救われた五百人も、救えなかった多くの命も、そのまま歴史に残っていく。

関連​

用語集の該当ページ。

中心人物。

前後の章。

出典: ゲーム内シナリオ全文コンコーダンス(tools/data/concordance/lines.jsonl、war 107 の本編スクリプト 0100070110〜0100072210、126 本)。冒頭の夢とブリーフィング(スクリプト 0100070010)は /story 再生データが無いため、本文で場面リンクを張っていない。