第五特異点 北米神話大戦 イ・プルーリバス・ウナム
- 時代
- 1783年 / アメリカ独立戦争が終わる年
- 舞台
- 北米大陸。東部のケルト領と西部合衆国に分かれる
- 脅威
- 永遠王の国。聖杯を持つ女王から無限に湧くケルトの戦士
- 聖杯
- 女王メイヴが所持。消える間際にクー・フーリン・オルタへ託す
発生タイムライン
- 到着前
- 到着前
- 1783年・到着当日
- 到着当日
- 脱出後、仮眠3時間
- 野営の夜
- 同じ頃
- 出陣の日
- 決戦当日
- 決戦当日
- ワシントン突入後
- ワシントン突入後
- 帰還当日
この章について
1783年の北米大陸は、東西に割れて戦争の最中にある。東部を押さえたのは女王メイヴとクー・フーリン・オルタが率いるケルトの軍で、首都ワシントンを拠点にしていた。西部では大統王を名乗るトーマス・エジソンが西部合衆国を立て、機械化兵団で抗戦している。独立戦争が終わるはずの年に、アメリカ合衆国はまだ生まれていない。Dr.ロマンは、この国が成立しなければ世界に重大な誤りが生じると見た。
東西の王は、どちらも本人の願いで王になったのではない。クー・フーリンを王に変えたのは、聖杯に願ったメイヴである。エジソンには歴代大統領の力が集められ、自国だけを守る王として振る舞っていた。カルデアは東西の両方と戦い、西の王だけを味方に変えている。
カルデアに手を貸したのは、この地に呼ばれたはぐれのサーヴァントたちだった。ジェロニモは彼らを、英雄であって英雄でない者たちと呼ぶ。中心にいたのは看護師のフローレンス・ナイチンゲールで、敵味方の王をどちらも病人として診た。
第五の聖杯は回収され、時代は修正に入った。その途中で倒れたサーヴァントは多い。暗殺に向かった四騎のうち戻ったのは一騎だけで、カルナも宿敵との一騎討ちの最中に討たれた。北部戦線には、魔神柱が一度に二十八体現れている。
章の流れ
字義通りの戦争
レイシフトの先は、1783年の北米の森だった。着いてすぐ、マシュとマスターは機械化兵団とケルトの戦士がぶつかる荒野に出る。機械化兵は、ロンドンで見たチャールズ・バベッジの量産型と同じ姿だった。マスターは砲撃を受け、アメリカ軍の後方基地に運ばれる。そこで負傷兵を看ていたナイチンゲールは、目の前の患者を理由に協力の頼みを退けた。根を断たないかぎり患者は増え続ける、とマシュが説くと、彼女は基地の防衛に加わった。
基地を襲ったのはフィン・マックールとディルムッド・オディナだった。退く間際、フィンはこの聖杯戦争が字義どおりの戦争だとマシュに告げる。ケルトの兵は女王を母体とする無限の怪物で、数千を失っても困らないという(この場面を読む)。七騎が競う儀式ではなく、補充の利く兵で土地を奪い合う戦いだと分かる。
直後に会ったエレナ・ブラヴァツキーは、この国が東西に分かれた内戦の最中だと説明した。西部合衆国に付く彼女によれば、この世界ではアメリカ以外の主要国家がすでに滅んでいる。ナイチンゲールを連れて去ろうとした一行に、ブラヴァツキーはカルナを差し向けた。マシュが宝具を防いだものの、その余波で全員が気を失う。
大統王の条件
一行は西部合衆国の城塞に運ばれ、獅子の頭をしたエジソンに会う。エジソンは、四つの時代を修正した力でケルトを駆逐せよと共闘を求めた。カルデアの戦歴は、のちに北部戦線へ現れるニコラ・テスラからの便りで知っていた。西部の兵は市民を工場で働かせて作る機械化歩兵で、サーヴァントは自分を含めて三騎しかいない。
割れたのは聖杯の使い道である。エジソンは聖杯を改良し、アメリカだけを別の時間軸に残すつもりでいた。ほかの時代は滅びると認めたうえで、王はまず自国を守るべきだと言う(この場面を読む)。Dr.ロマンは、エジソンも人理の復元そのものは否定していないと見た。見ている世界の範囲が、カルデアより狭いと取れる。
マスターは共闘を断り、一行は機械化歩兵の数に押されて地下の牢に封じられた。牢を開けて連れ出したのは、アパッチの戦士ジェロニモである。時代が直れば、ジェロニモはふたたびこの国に敗れた戦士に戻る。それでも、自分たちの流した血を無かったことにはしないと答えた。
アルカトラズのシータ
ジェロニモの隠れ家には、クー・フーリンと戦って心臓を抉られたラーマが匿われていた。傷は魔槍の呪いで、ナイチンゲールが治しても壊死が進む。Dr.ロマンは、生前のラーマを知る者がいれば治療が効くと見立てた。ラーマが名を挙げたのは、同じ時代から召喚されているはずの妻シータである。
方針もここで固まった。ケルトの兵は無限に湧くので、数を減らす戦い方は通じない。Dr.ロマンは王と女王の暗殺を進言し、ジェロニモが受け入れた(この場面を読む)。消耗戦は相手の思うつぼで、首魁を討つほかに勝ち筋がないと分かる。
一行は西部に散ったはぐれのサーヴァントを集めた。ロビンフッドとビリー・ザ・キッドに続き、エリザベートとネロ・ブライドが加わる。ネロを狙ったフェルグスは一行に敗れ、シータはアルカトラズ島にいるかもしれないと教えて消えた。その夜、一行は二手に分かれると決めた。翌朝、ジェロニモ・ロビン・ビリー・ネロの四騎が東のワシントンへ向かい、残りは島へ向かった。
島の監獄を守っていたのはベオウルフだった。歩けないはずのラーマが不意打ちで宝具を放ち、ベオウルフは負けを認めて道を空ける。シータは自ら申し出て、ナイチンゲールの手でラーマの呪いを引き受けた。二人は猿の妻にかけられた呪いのせいで、同じ聖杯戦争には同時に召喚されない(この場面を読む)。シータはそのまま消え、ラーマは妻の顔を見られないまま癒えた。ラーマはマスターのサーヴァントになると誓う。
暗殺の失敗
ワシントンに入った四騎は、ケルトのパレードを狙った。壇上のメイヴに向けてネロが宝具の劇場を開き、ケルト兵を弱らせる。メイヴが助けを呼ぶと、クー・フーリン・オルタが劇場の中でも衰えない力で現れた。ジェロニモは彼を聖杯の持ち主と見たが、聖杯はメイヴの手にある。
メイヴは聖杯に、クー・フーリンを自分と並ぶほど邪悪な王にしてほしいと願っていた(この場面を読む)。ネロが王としての行き先を問うと、彼はどこも目指していないと答える。王を名乗りながら、治める先にも見返りにも関心がないと分かる。
予備に控えていたアルジュナがジェロニモとビリーを討ち、ネロはクー・フーリンの槍に倒れた。倒れたジェロニモは、カルデアがすでに四つの聖杯を回収したとメイヴに告げている。通信機を託されたロビンフッドだけが逃れた。同じ頃、アルカトラズを出た一行はフィンとディルムッドを破った。ロビンからの通信が届いたのは、二人が消えた直後である。
影の国の女王
ロビンを追うアルジュナを止めたのは、クー・フーリンの師スカサハだった。駆けつけたクー・フーリンは、この場での師との戦いを避けて二人を見逃した。スカサハは人ならざる身のため、ケルトのサーヴァントを従える聖杯の支配を受けていない。人類史とともに自分の国も燃え尽きたので、死者として召喚されたと話した。
スカサハの見立てでは、今のクー・フーリンは王に不要なものを削ぎ落とされた別物で、師の自分でも勝てない(この場面を読む)。メイヴの願いが、弟子の人格まで作り変えたと取れる。ナイチンゲールはこれを強さと認めず、人生を檻に閉じ込めただけだと言った。
優先して倒すべきは、聖杯を持つメイヴだった。スカサハが手を下せばメイヴごと聖杯を斬るので、その役は引き受けない。Dr.ロマンは、聖杯を壊されると人理定礎の修復が難しくなると言い、できれば壊さず回収するよう頼んだ。第一特異点の出発前には、聖杯の入手か破壊を求めていた。ここで回収のほうへ重みを移している。
その後、一行の前に李書文が現れ、マシュと立ち合ってから去った。李書文は去り際に、エジソンは何かに憑かれていると言い残す。ナイチンゲールはこれを病と見てエジソンにもう一度会うよう求め、マスターも同意した。当初は共闘を断ったスカサハも、このころにはマスター専属を名乗っている。
獅子頭の診断
一行はエジソンを診るため、西部の城塞に乗り込んだ。ロビンフッドが捕虜を運ぶ西部軍の少尉になりすまし、途中の検問を抜ける。エジソンは通信に割り込み、一行がケルトに寝返ったと責めた。城内ではカルナが待ち受け、自分に跪いて助けを乞うたのがエジソンだったと戦う理由を話す。玉座の間で一行はエジソンとブラヴァツキー、カルナの三騎を破る。
超人薬に手を伸ばしたエジソンを、カルナが止めた。ナイチンゲールの診断は二つに分かれる。一つは戦い方で、聖杯で無限に兵を生むケルトに数で挑んだのが誤りだった。大量生産はエジソンの得意分野で、そこで負けたくない意地が知性を曇らせていた。
もう一つは獅子の頭である。エジソンが獅子頭だった記録はなく、本人以外の力が働いている。マシュが聖杯かと問うと、ナイチンゲールは聖杯は願いを叶えても願いを生みはしないと退けた(この場面を読む)。エジソン自身が、歴代大統領から力を託されたと認める。大統領たちは全員が召喚されても負けると見て、知名度のある一人に力を集めていた。
ナイチンゲールは国の標語、イ・プルーリバス・ウナムも持ち出した。多くの民族から成る国はあらゆる国の子にあたり、世界を救う義務を負うという。自国だけを救おうとしたことが、エジソンを苦しめていたと分かる。エジソンは王をやめ、マスターを副大統領に据えて自分はそのサーヴァントになった。
南北二軍
エジソンを加えた作戦会議で、南北二軍による正面決戦が決まった。Dr.ロマンは、負けの条件を一定以上の領土を奪われることと推測する。ケルトの支配域が広がるほど、時代は現実とのつながりを失っていく。兵を増やして前線を押し返したエジソンの策は、結果として国を守っていた。
暗殺はすでに一度失敗し、メイヴはいっそう用心しているとスカサハは見た。片方の軍が持ちこたえるあいだに、もう片方が首都へ突破する段取りである。配分を決める役は、エリザベートの推薦でマスターに回った(この場面を読む)。各地でサーヴァントと共に戦ってきた経験が、ここで頼りにされたと分かる。
その夜、ナイチンゲールはマスターの散歩に付き添った。一人で世界の崩壊を止める責任を負うのは、本来なら狂わずには耐えられない重さだと彼女は言う。努力は要るが重荷は要らず、気楽に誠実に選べばいいと伝えた。
編成は北軍がエジソン・ブラヴァツキー・エリザベート・ロビンフッド、南軍がカルナ・ラーマ・ナイチンゲールとカルデアに決まった。スカサハは出陣の際に軍を離れ、ひとりでメイヴとクー・フーリンを抑えに向かう。南軍の指揮はラーマが執った。全軍の激突は三日後の夕暮れになる、とスカサハは見積もっていた。
ケルト側もこの動きを読み、北をベオウルフ、南をアルジュナに任せた。クー・フーリンは、エジソンが自国を守るのをやめて世界を取りに来たと見ている。メイヴは全力の投入に向けた支度に取りかかり、クー・フーリンは南の敵サーヴァントを自ら討つと決めた。
宿敵と横槍
南の荒野で、カルナはアルジュナとの一騎討ちに入った。アルジュナが聖杯に望んだのは、カルナとの決着そのものである。世界の存亡に関心はなく、カルナが善につくなら自分は悪につくと言う。カルナは、自分を討ったならその弓で世界を救えとアルジュナに約束させた(この場面を読む)。宿敵にも英霊としての務めを求めていたと取れる。
勝負はカルナに傾いていた。そこへクー・フーリン・オルタの槍が横から飛び、カルナに致命傷を負わせる。クー・フーリンは、勝負の趨勢が決まる前の一騎討ちを認めなかった。スカサハも、すでに彼に敗れていた。
続く戦いで、クー・フーリンの魔槍がマシュに迫った。それを阻んだのは、うたた寝の夢から迷い込んだマーリンである。直後にカルナが最後の宝具を放ち、クー・フーリンに全身の火傷を負わせて消えた。クー・フーリンはワシントンで待つと言い残して退く。
残ったアルジュナに、ナイチンゲールは治療を持ちかけた。カルナは最後にサーヴァントへ立ち戻り、クー・フーリンを止める道を選んだ。アルジュナはその一線を理解しようとしなかった、と彼女は指摘する(この場面を読む)。アルジュナは決着の代わりにマスターたちと戦い、償いを約束して去った。
スカサハとクー・フーリンの戦いは、南の決戦より先に終わっていた。クー・フーリンは、王になった結果として王であろうとしていると認める。醜くあろうとする理由を問われ、それが自分の見てきた王だと答えた(この場面を読む)。手本にしているのは、生前に見た王たちの姿と取れる。スカサハは自分の門に飛び込んで命をつなぎ、訪ねてきた李書文を北軍へ送った。
二十八の柱
南軍はワシントンに入り、異界と化したホワイトハウスでメイヴとクー・フーリンに挑んだ。ナイチンゲールは、クー・フーリンが王であり続けるために愉悦を自ら封じたと診る。彼女自身も生前、人間らしさを捨てて目的へ進んだ。違うのは行き着く先で、クー・フーリンの支配には先の展望がない。クー・フーリンは病と認めながら、治らない病もあると言って退かなかった。
ラーマの宝具がメイヴを捉えた。倒れたメイヴは、伝説の集合戦士クラン・カラティンの枠に魔神柱を押し込み、北部戦線に二十八体を呼んでいた。Dr.ロマンは、聖杯があれば術式として成り立つが、ソロモンでも試さない手だと驚く。メイヴはクー・フーリンにねぎらわれて満足し、聖杯を託して消えた(この場面を読む)。願った当人が消えて時代の修正力が強まり、勝ち目は0%から3%に上がった。
北部では、李書文がベオウルフを素手の打ち合いで破った直後に魔神柱が現れた。エジソンは一度は勝てないと嘆き、エリザベートとブラヴァツキーに叱られて立ち上がる。仲間が倒れると、エジソンは宝具を暴走させて自爆しようとした。大統王でも発明王でもなく、この土地を奪って住む側の人間として守る責務がある、という理由だった。
そこへテスラが現れ、エジソンと雷を同調させて魔神柱を電気の檻に封じた。とどめはアルジュナが身を犠牲にして放った宝具で、カルナとの約束はここで果たされる。南ではクー・フーリンの霊基が崩れ、最後に聖杯を守る魔神ハルファスを呼んだ。ナイチンゲールの宝具で傷を癒した一行はハルファスを倒し、第五の聖杯を回収した。
別れ際、エジソンは自国だけでもと考えたのが最初のつまずきだったと振り返った。ナイチンゲールはマシュに、人は願いを夢と呼んだとたんに遠いものと思い違えると言い、現実と数字を見て戦うよう伝える。生き延びていたスカサハは、修正の始まった世界で李書文と一合だけ打ち合った。カルデアに戻ったマシュは、旅が楽しいと話したあとで立てなくなる。
得たもの/失ったもの
マシュマスター
ナイチンゲール
エリザベート
エジソン
ラーマ
アルジュナ
メイヴ
ジェロニモ
ビリー
ネロ・ブライド
カルナ
スカサハ
クー・フーリン・オルタ
マシュ失ったものの多くは、時代の修正とともに記録から消える。ジェロニモはそれを承知のうえで、アメリカに借りを作らせるのも愉快だと話していた(この場面を読む)。Dr.ロマンは死に別れたサーヴァントの多さを認め、胸を張って帰ることが彼らへの誠意になると二人に伝えた。
出発前のカルデアで、Dr.ロマンはマシュが前線に出すぎていると休養を勧めた。マシュは先輩が戦う以上は休めないと言い、同行を続けている。帰還した日の別れ際に立てなくなった理由は、この時点では誰も口にしていない。
関連
用語集の該当ページ。
中心人物。
- フローレンス・ナイチンゲール / トーマス・エジソン / ジェロニモ
- 女王メイヴ / クー・フーリン〔オルタ〕 / スカサハ
- カルナ / アルジュナ / ラーマ / シータ
- ロビンフッド / ビリー・ザ・キッド / ニコラ・テスラ
- エレナ・ブラヴァツキー / エリザベート・バートリー / ネロ・クラウディウス〔ブライド〕
- 李書文 / ベオウルフ / フィン・マックール / ディルムッド・オディナ / フェルグス・マック・ロイ
前後の章。
- 前章: 第四特異点 死界魔霧都市 ロンドン
- 次章: 第六特異点 神聖円卓領域 キャメロット
出典: ゲーム内シナリオ全文コンコーダンス(tools/data/concordance/lines.jsonl、war 105 の本編スクリプト 0100050010〜0100052241)。冒頭のブリーフィング(スクリプト 0100050010)は /story 再生データが無いため、本文中でリンクを張っていない。





