特異点F 炎上汚染都市 冬木
- 時代
- 西暦2004年1月30日 / 発端は2015年のカルデア
- 舞台
- 日本・冬木市(見渡すかぎりの焦土)
- 脅威
- 黒い泥に汚染されたサーヴァントと、大聖杯に居座るセイバー
- 聖杯
- 地下大空洞の水晶体。回収の直前にレフが現れ、聖杯の力で時空を繋ぐ
発生タイムライン
- 2015年
- 同日
- 同日 実験直前
- 2004年1月30日
- 2004年
- 2004年
- 2004年
- 2004年
- 2004年
- 2004年
- 2004年
- 2004年
- 2004年
- 帰還後
- 帰還後
- 帰還以後
この章について
西暦2004年1月30日の冬木市は、見渡すかぎり燃えている。住民の痕跡はなく、敗れたサーヴァントが黒い泥に汚染されて街をさまよう。2015年のカルデアはこの街を空間特異点Fと呼び、人類の未来が観測できなくなった原因と仮定していた。実際に転移したのは一般公募枠の48人目、マシュ・キリエライト、所長オルガマリー・アニムスフィアの三人だけだった。街の聖杯戦争を終わらせた直後、一行は人類がすでに焼却されていると知らされる。
舞台は二つの年にまたがる。始まりと終わりは2015年のカルデアで、その間に2004年の冬木が挟まる。カルデアは地球環境モデルカルデアスと近未来観測レンズシバを使い、百年先までの人類史を観測してきた。半年前からカルデアスは変色し、人類の明かりを確認できるのは2016年までになった。現在に理由がないなら原因は過去にある、というのが所長の判断である。ラプラスとトリスメギストスで過去二千年を洗い出し、見つかった観測できない領域が冬木の特異点だった。
冬木はカルデアの技術の出どころでもある。カルデアは2010年に冬木の聖杯戦争を知り、前所長がそのデータから召喚式を組んだ。それが英霊召喚システム・フェイトで、ラプラスとカルデアスに続く三つ目の発明にあたる。所長が冬木をサーヴァント発祥の地と呼ぶのはこのためである。本来の聖杯戦争は七騎が人知れず競い、セイバーの勝利で終わっていた。街が燃えているのは、特異点が生じて結果が変わったからだと所長は見る。
作戦の前提は、説明会の時点では単純だった。特異点は正常な時間軸から切り離された穴で、原因を除けば人類史は元の形に戻る。冬木の異変は解決し、特異点は消えた。それでも未来は戻らず、外れていたのは前提のほうだった。帰還したカルデアで動かせる戦力は、マスター1人とサーヴァントのマシュだけである。指揮はDr.ロマンが引き継ぎ、相手は七つの特異点に広がった。
48人目は事情をほとんど知らないまま冬木に着いた。クラスと真名の仕組みや、マスターが契約相手の情報を解析できることは、所長とマシュが道中で説明する。
章の流れ
48人目の適性者
48人目は着任の日、入館時の模擬戦闘のあとに通路で眠りこんでいた。見つけたのはマシュで、技師のレフ・ライノールが案内に加わる。適性者は48人で、魔術の名門から38人、才能ある一般人から10人が集められた。48人目は数合わせで採った一般公募枠にあたり、訓練期間は数時間しかない。
所長の説明会は中央管制室で開かれた。所長はカルデアの目的を人理の継続と保障だと述べ、人類の明かりが2016年で途絶えると告げる。原因と仮定された空間特異点Fには、成績上位の8名からなるAチームが先に向かう段取りだった。48人目はこの説明会で立ったまま眠り、所長の平手打ちを受けてファーストミッションから外される。
説明会の後半は、冬木の道中でマシュが48人目に思い出させる。所長はこの作戦を、魔術世界で最大級の義務である冠位指定と同じだと進言していた(この場面を読む)。終盤でセイバーがグランドオーダーの語を口にしたとき、所長だけが聞きとがめた理由はここにあると取れる。レフは個室へ向かう48人目を、運が良いと言って送り出している。爆弾を仕掛けたのはレフ自身で、終盤では48人目を善意で見逃したと口にする。運が良いという一言は、管制室で何が起きるかを知る者の言葉だったと分かる。
個室にいたのは医療部門のトップ、ロマニ・アーキマンだった。ロマニも所長に現場から追い出され、時間を持て余していた。爆発の瞬間に二人とも管制室の外にいたので、巻きこまれずに済む。
管制室の爆破
レイシフト開始の直前、中央発電所と中央管制室で爆発が起きた。駆けつけたロマニは管制室を爆心と見て、人為的な破壊工作だと判断する。カルデアの火を止めないため、ロマニは地下の発電所へ向かった。48人目は避難せず、管制室でマシュを見つける。彼女は致命傷を負っていた。
その間にカルデアスは赤く染まり、百年先までの地球から人類の痕跡が消えた。霊子筐体の中のマスターはバイタルが基準値に届かず、システムは定員を満たすため適応番号48をマスターに再設定する。隔壁が閉じた管制室で、48人目はマシュの手を握ったまま転移した。行き先は西暦2004年1月30日の冬木である。
マシュが助かった経緯は、冬木で本人がロマニに報告する。特異点Fのために用意されていたサーヴァントは爆破でマスターを失い、消える前にマシュへ契約を持ちかけた。英霊の能力と宝具を譲る代わりに、特異点の原因を取り除いてほしいという条件である(この場面を読む)。所長はこの英霊を、自分の代に召喚した第二号だと言う。ロマニはデミ・サーヴァントの実験がようやく成功したと受け止め、所長はなぜ今になって成功したのかと問いただした。成功は計画の外で起きたと分かる。
マシュは戦える体を得た代わりに、存在そのものをマスターの魔力に頼る身になった。英霊は真名を告げずに消えたので、自分が誰と融合したのかも、手にした盾がどんな宝具なのかも分からない。48人目は訓練も説明もないまま、そのマスターになった。
焦土の冬木
冬木は見渡すかぎり燃え、住民の痕跡がない。マシュの知る資料では平均的な地方都市で、2004年にそうした災害が起きた記録はなかった。大気中の魔力濃度も異常で、マシュは古代の地球のようだと驚く。二人は霊脈の強い地点を目指し、そこで怪物に追われていた所長と合流した。
マシュの盾を触媒に召喚サークルを敷くと、カルデアとの通信が戻った。ロマニの報告で、カルデアの被害が数字になる。正規スタッフの生存者は20人に満たず、施設は機能の八割を失っていた。コフィンの中の適性者47人は全員が危篤で、医療器具も足りない。所長は本人の許諾を待たずに凍結保存を命じた。
所長は救助を待たず、調査を続けると決めた。理由として口にしたのは、手ぶらで戻ればカルデアを協会に取り上げられるという恐れである(この場面を読む)。ロマニは後で、所長が三年前に父を亡くし、学生のままカルデアを継いだと48人目に話す。そのうえマスター適性がないと分かり、この半年は協会やスポンサーの非難を受け続けていた。調査の継続は、所長の立場の弱さから出た判断と取れる。
教会跡を調べる道中で、所長は特異点では抑止力が働いていないと疑う。人類史に点在する滅亡の分かれ道を悪い方に間違えた結果がこの街だ、という推測も独り言で口にした(この場面を読む)。この見立ては、帰還後にロマニが説明する七つの特異点の考え方に近い。
所長は48人目とマシュの契約を緊急措置として認め、二人を探索員に任じた。任務は異常の原因を見つけるまでとし、解析と排除はカルデアの復興後に第二陣が担う。指揮を執るのはマスター適性のない所長で、戦うのは訓練を受けていないマスターとそのサーヴァントになった。
仮契約のキャスター
教会跡で、一行はサーヴァントの反応に襲われる。マシュは一騎を退けたものの、同じ反応がさらに近づいていた。ロマニは、この街で聖杯戦争が行われていたことに思い当たる。マスターを持たないサーヴァントがいてもおかしくない、という判断である。逃げた先で、影のサーヴァントのアサシンとランサーに挟まれる。マシュが押しきられる寸前に、キャスターが割って入った。
キャスターの証言で、冬木の異常の輪郭が決まる。聖杯戦争はいつの間にか別物にすり替わり、街は一夜で炎に覆われて人間が消えた。最初に戦いを再開したのはセイバーで、残る五騎はその手で倒されている。敗れたサーヴァントは黒い泥に汚染され、湧き出た怪物と一緒に何かを探し始めた(この場面を読む)。探し物にはキャスター自身も含まれ、彼を仕留めないかぎり聖杯戦争は終わらない。カルデアが特異点と呼んだものの中身は、変質した聖杯戦争の続きだったと分かる。
利害は最初から一致していた。カルデアは異常の原因を探し、キャスターは聖杯戦争を終わらせたい。所長にはマスター適性がないので、この街限定の契約は48人目が受け持つ。キャスターは行き先を大聖杯と定めた。土地の心臓にあたる場所で、セイバーと、セイバーに汚染された残りのサーヴァントが居座っている。
ロード・カルデアス
マシュは戦えるようになっても、宝具を本来の形で使えなかった。出力は落ち、真名解放もできず、武器が何に由来するのかも分からない。本人はこれを欠陥と受け止めていた。キャスターの見立ては逆である。戦えている以上は宝具も使えるはずで、詰まっているのは魔力のほうだという。
キャスターは所長のコートに厄寄せのルーンを刻み、集まった敵との連戦でマシュを消耗させた。続けて自分が相手に回り、マスターごと燃やす構えで宝具ウィッカー・マンを放つ。巨人が倒れかかる寸前に、盾の宝具が開いた。マスターもマシュも無傷で残った。
盾が開いた理由について、見方は三つに分かれる。キャスターは宝具を英霊の本能と考え、理性が邪魔をしていたと見た。開いたあとは、マシュを守る側の人間だと言う。所長は、英霊そのものになる欲がマシュになかったから宝具が応えたと解いた(この場面を読む)。マシュ自身は、使わなければ皆が消えるという一念で盾を構えていた。
宝具は開いても、宝具の真名と英霊の真名は分からないままだった。所長は名前のない宝具に、呪文としてロード・カルデアスの名を与える。カルデアの名はマシュにも縁がある、というのが所長の理由である。聖剣を盾で受け止める役は、このあとマシュに回る。
大聖杯とセイバー
大聖杯へ続く洞窟は、魔術師が長い年月をかけて拡げた半人工の地下工房だった。その途中でアーチャーが門番として立ち塞がる。セイバーの宝具が約束された勝利の剣、アーサー王の聖剣だと口にしたのも、このアーチャーである。一行はアーチャーを倒し、地下大空洞へ進んだ。
大聖杯は超抜級の魔術炉心で、作ったのは魔術協会に属さない人造人間の一族アインツベルンだった。守っていたセイバーは、何かに変質したブリテンの王アーサーである。伝説と違い、その王は女性だった。
セイバーはそれまで一言も口をきかなかった。何を語っても見られているので案山子に徹していた、と本人が明かす(この場面を読む)。のちにレフは、聖杯を与えられながら従わず、この時代を維持しようとしたセイバーに苛立つ。黙っていたのも、見ている側に手の内を明かさないためだったと取れる。
敗れたセイバーは、最後の最後で自分が手を止めたと認めて消える。キャスターをアイルランドの光の御子と呼び、聖杯を巡る戦いはまだ始まったばかりだと告げた。そのときセイバーが使った語がグランドオーダーである。キャスターも強制帰還で消え、次はランサーとして呼べと言い残した。所長だけが、冠位指定を指すその語に反応していた。
レフ・ライノール・フラウロス
水晶体を回収しようとしたところへ、レフが現れる。所長は彼の生存を喜んだが、爆弾を所長の足下に仕掛けたのはそのレフだった。48人目が生き残ったのも、見込みのない子供と侮って見逃した自分の失態だと彼は言う。レフは聖杯の力で時空をカルデアに繋ぎ、赤く染まったカルデアスを所長に見せた。そのまま彼女を宙に引き上げ、人間が触れれば分子レベルで分解されるとレフ自身が言うカルデアスへ触れさせる。所長が消えたあと、レフは自分をレフ・ライノール・フラウロスと呼び、2015年担当者と称した。
所長の肉体は、爆破の時点ですでに死んでいた。冬木にいたのは残留思念で、トリスメギストスがそれを転移させていた。生前の彼女にはレイシフト適性がなく、死んで初めて適性を得ている(この場面を読む)。カルデアに戻れば、その時点で意識が消える。帰る道は最初からなかったと分かる。
最後の叫びは、まだ誰にも認められていないという訴えだった。大聖杯に入る前の休憩で、彼女自身は所長として48人目の働きを認めていた(この場面を読む)。
レフの言葉で、未来消失の正体も分かる。未来は消失したのではなく焼却されたもので、カルデアスが深紅に染まった時点で結末は確定していた。人類が燃え尽きるのは、レフたちが仰ぐ王の寵愛を失ったからだという。Dr.ロマンとかつて魔道を共に研究した学友だったことも、本人の口から出る。
外部と連絡が取れない理由も、ここで分かる。通信の故障ではなく、受け取る相手がもういない。カルデアはカルデアスの磁場に守られているが、内部の時間が2016年を過ぎればそこも消える。レフは次の仕事があると告げ、崩れ始めた特異点を去った。
グランドオーダー
崩れる特異点から引き上げられ、48人目はカルデアで目を覚ます。最初に声をかけたのはレオナルド・ダ・ヴィンチで、召喚英霊第三号を名乗った。英雄ではなく普通の人間として星の行く末を決める戦いが48人目の役割だ、と彼女は言う。管制室ではマシュとロマニが待っていた。
ロマニの説明で、冬木の修復だけでは足りなかったと分かる。復旧したシバで過去の地球を走査すると、冬木とは比べものにならない時空の乱れが七つ見つかった。歴史には修復力があり、人間の一人や二人を救っても時代の結末は変わらない。七つの特異点はその外にある。戦争の帰趨や航海の成否のように、現在の人類を決めた分かれ目だからである(この場面を読む)。
説明会で所長が話した前提は、ここで崩れた。特異点は切り離された小さな穴で、取り除けば人類史は元に戻るはずだった。レフの言うとおり人類に2017年は来ない、とロマニも認める。それでもカルデアだけは、まだその未来に着いていない。修復の余地はそこに残っている。
マスター適性者は48人目を除いて凍結され、サーヴァントはマシュしかいない。その条件を聞いたうえで、48人目は引き受けると答えた。ロマニは作戦名をファーストオーダーから改め、人理守護指定・グランドオーダーとする。目的は人類史の保護と奪還で、探す対象は各年代と、原因の候補である聖遺物・聖杯だった。前所長オルガマリーが予定した尊命を、カルデアはそのまま引き継いだ。
その後の冬木
焦土の冬木は修復されずに残った。アルトリアはこの街を訪れ、炎は十年や二十年では消えず、呪いが土地に染みついていると見る(この場面を読む)。大聖杯の内部にもレイシフトでき、セイバーオルタはそこを、かつて特異点と化した者を再現する場に使った。Dr.ロマンはこの土地を特異点Xと呼び、湧き出た二千を下らない影のサーヴァントの駆除を48人目に頼んでいる。
同じ焦土は、48人目が基礎を学ぶ場にもなった。エミヤはここでサーヴァントの管理と令呪の使い方を講義する。ギルガメッシュ・ヴラド三世・アンリマユ・ヘラクレスの幕間も、この焦土で進む。特異点としては消えたはずの冬木に、カルデアは人理修復の間も繰り返しレイシフトしている。
得たもの/失ったもの
マシュ
マシュ
ダ・ヴィンチ
キャスター得たものと失ったものは、同じ爆破から出ている。48人目は説明会で居眠りをして管制室を外され、コフィンに入らなかった。コフィンは成功率が95%を下回ると電源を落とすので、正規の適性者は一人も転移していない。マシュがデミ・サーヴァントになったのも、爆破で主を失った英霊が消える前に契約を持ちかけたからだった。所長の死も、同じ爆弾で決まっていた。
関連
用語集の該当ページ。
- 特異点 / 人理焼却 / 人理定礎 / 人理修復
- グランドオーダー / 最後のマスター / Aチーム
- カルデア / カルデアス / シバ / ラプラス / トリスメギストス / レイシフト
- 聖杯 / 大聖杯 / 聖杯戦争 / 聖杯の泥
- デミ・サーヴァント / シールダー / 影のサーヴァント / 宝具 / 真名 / 令呪
- 魔神柱 / 魔術王 / 抑止力 / 人造人間 / 霊脈 / 幕間の物語
中心人物。
- 藤丸立香 / マシュ・キリエライト / オルガマリー・アニムスフィア
- ロマニ・アーキマン / レオナルド・ダ・ヴィンチ / フラウロス
- クー・フーリン / アルトリア・ペンドラゴン〔オルタ〕 / アルトリア・ペンドラゴン / エミヤ
舞台と儀式。
前後の章。
出典: ゲーム内シナリオ全文コンコーダンス(tools/data/concordance/lines.jsonl、war 100 の発話 2,130 件 / スクリプト 63 本)。うち本編は 31 本・1,292 件で、残りは同じ焦土を舞台にした幕間とイベントクエストである。
