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亜種特異点Ⅰ 悪性隔絶魔境 新宿

時代
1999年 / 人理修復を終えた後
舞台
壁に囲まれ、外界と切り離された東京都新宿区。昼の来ない街
脅威
幻影魔人同盟と、都庁の跡に組み上がる銃身の塔バレル
聖杯
モリアーティの手にあった。最後の戦いで初めて力を引き出す
勢力
幻影魔人同盟
首領は悪のアーチャー。四騎が新宿を分けて支配し、エミヤが遊撃に就く
塔の囚人と救出者
同盟に囚われたシェイクスピアと、彼を救いに来た二騎

発生タイムライン​

  1. 1999年・到着当日
    空に放り出されたマスターを、新宿のアーチャーが受け止める
    新宿のアーチャーマシュ
    変化同行のサーヴァントは弾かれた。新宿は壁に囲まれ、外と通じない
  2. 到着当日
    教授と呼ばれる首領が、同盟の配下に迎撃の順を割り振る
    悪のアーチャーエミヤ・オルタ新宿のアサシン
    変化落下はレイシフト座標への細工だったと分かる
  3. 到着当日
    国道20号本編を読む
    首無し騎士を乗せた巨狼に追われ、アルトリアのバイクで逃れる
    アルトリア・オルタ新宿のライダー
    変化アーチャーは足止めに残り、身を挺してマスターを逃がす
  4. 到着当日の夜
    四騎の幻影魔人同盟が新宿を支配していると、アルトリアが教える
    アルトリア・オルタ
    変化アルトリアはエドモンを名乗る者の依頼で味方についていた
  5. 到着の翌朝
    迷宮化した駅でアーチャーと合流。善悪に分かれた残滓だと名乗る
    新宿のアーチャーアルトリア・オルタ
    変化アーチャーは失った真名を探すと決め、二度目の握手をする
  6. 竜の魔女本編を読む
    エミヤ・オルタに敗れたジャンヌ・オルタを、新宿御苑で拾う
    ジャンヌ・オルタエミヤ・オルタ
    変化中立を守っていた竜の魔女が一行に加わる
  7. 御苑からの帰路
    炎でライダーを閉じ込めて深手を負わせ、正体を狼王ロボと見抜く
    新宿のアーチャージャンヌ・オルタ
    変化電話で、都庁の跡の塔が星を砕く銃身だと知らされる
  8. 歌舞伎町本編を読む
    人形に仕込んだ爆弾のスイッチを、アーチャーが代わりに押す
    新宿のアーチャーファントム
    変化ファントムは倒れた直後、エミヤ・オルタに破裂させられる
  9. 歌舞伎町戦の夜
    加勢した呪腕のハサンは、新宿のアサシンが化けた姿だった
    新宿のアサシンアルトリア・オルタ
    変化マスターはさらわれ、同盟の本拠地バレルへ運ばれる
  10. 悪のアーチャーが星の解体を目的に掲げ、取引を持ちかける
    悪のアーチャーシェイクスピア
    変化懐の手紙と、エドモンを名乗る者の手で塔を抜け出す
  11. 脱出の直後
    エドモンの正体はホームズ。アーチャーの真名はモリアーティ
    ホームズ
    変化ホームズが変装を解き、駒として盤上に乗る
  12. 歴史の外本編を読む
    新宿は歴史から切り離され、滅んでも人理に響かないと分かる
    ダ・ヴィンチモリアーティ
    変化マスターは帰還を選ばず、新宿を救うと決める
  13. パーティー会場でアサシンを炙り出し、燕青の霊基を砕く
    燕青アルトリア・オルタ
    変化本物の呪腕のハサンは燕青に討たれていたと分かる
  14. 燕青戦の直後
    アヴェンジャーになったロボを、ジャンヌ・オルタが一人で止める
    ジャンヌ・オルタヘシアン・ロボ
    変化ジャンヌは霊核を貫かれ、消息を絶つ
  15. カヴァスⅡ世を囮に虎鋏でロボを捕らえ、アルトリアが斬る
    アルトリア・オルタヘシアン・ロボ
    変化ロボは前肢を食い千切って去り、新宿で果てる
  16. 1999年に観測された小惑星ベンヌが弾丸だ、とホームズが読む
    ホームズダ・ヴィンチ
    変化射出装置で上空から塔の前へ降り、エミヤ・オルタと対峙する
  17. 悪のアーチャーの正体は魔神柱バアル。モリアーティが寝返る
    魔神バアルモリアーティ
    変化ホームズは推理の誤りを認め、モリアーティに取り込まれる
  18. 装填の五分前
    七発目の魔弾がマスターを狙う。幻霊の名探偵たちが加勢する
    モリアーティ巌窟王
    変化名指しで魔弾が力を失い、エミヤとアルトリアがベンヌを砕く

この章について​

1999年の東京都新宿区は、ぐるりと壁に囲まれて外界から切り離されていた。新宿はいつでも夜で、善人はほとんど死に絶えている。生き残ったのは魔術を使うチンピラや人を喰うセレブで、街には魔獣と動く人形が出歩く。壁の外は、人理焼却を受けた特異点の外周と同じ状態にあった(この場面を読む)。

特異点を観測した時点で、カルデアは魔術協会の査察を待つ立場にあった。協会の第一陣が着けば人事が再編され、最悪の場合はカルデアごと凍結される。そのさなかに警報が鳴り、新宿区に七つの特異点並みの揺らぎが見つかった。協会の人員はまだ着いておらず、ダ・ヴィンチはマスターを再びレイシフトさせる。マシュは健康体に戻ったものの、魔術回路が働かず戦えない。代わりに管制室で、マスターの存在証明を受け持った。

新宿を支配していたのは、四騎のサーヴァントが組んだ幻影魔人同盟である。首領の新宿のアーチャーは、都庁の跡に組み上がる塔を銃身にして、小惑星で星を撃ち砕こうとしていた。マスターを空中で受け止めた老紳士も、同じ顔で新宿のアーチャーを名乗る。彼は真名と力を奪われた善の残滓だと称して、一行に加わった。

同行したアーチャーの真名はジェームズ・モリアーティで、シャーロック・ホームズの宿敵である。二人のアーチャーの正体は、最後の戦いまで誰も見抜けなかった。悪のアーチャーは記憶を削った魔神柱バアルで、善のアーチャーは記憶と悪性を削ったモリアーティ本人だった。ホームズを出し抜くために、モリアーティは記憶を消してホームズの側に立った。

新宿で起きることは、外の歴史に響かない。新宿はすでに歴史から切り離されていて、滅んでも人理への影響は微震程度にとどまる。それでもマスターは帰還せずに戦い、名探偵の幻霊たちの力を借りてモリアーティを犯人と名指しした。最後にホームズが、時間神殿から逃げた魔神柱があと三柱残っていると伝える。三柱は名前も潜む時代も分からず、それぞれの欲望を抱いてどこかの時代に潜んでいる。

章の流れ​

隔絶魔境への落下​

レイシフトしたマスターは、新宿の上空に放り出された。同行するはずのサーヴァントは弾き飛ばされ、傍には一騎もいない。落ちてきたマスターを受け止めたのは、新宿のアーチャーと名乗る老紳士だった。真名は明かせないと言い、霊基は本来キャスターだと漏らす。二人は魔術使いのチンピラを退け、歌いながら人を殺す人形コロラトゥーラの罠をかわした。続いてファントム・オブ・ジ・オペラと人形のクリスティーヌに追われる。

国道20号に出たところで、首無し騎士を乗せた巨大な狼が時速200キロで迫ってきた。アーチャーが足止めに残り、アルトリア・オルタがバイクでマスターを連れ出す。彼女のねぐらは、ハンバーガー店の地下にあった。四騎のサーヴァントが幻影魔人同盟を組み、新宿を支配しているとアルトリアは教える。アルトリア自身も、エドモン・ダンテスを名乗る者からマスターの保護を頼まれていた。

落下は事故ではなかった。同じ頃、同盟の首領は配下を集め、座標に細工して落下させたが仕留め損ねたと告げている(この場面を読む)。首領はカルデアの介入を数千年待っていたと口を滑らせ、すぐに自制した。言葉どおりなら、人の一生では足りない年月である。

翌朝、迷宮に変わった新宿駅でアーチャーと合流すると、アルトリアが彼を問い詰めた。以前アルトリアが戦った新宿のアーチャーは、部下で相手を追い込む合理的な男だったという。目の前のアーチャーは、正式な契約もないマスターをかばって死にかけた。人理焼却が終わった今、マスターの生死は世界を左右しない(この場面を読む)。なぜ助けたのかと問われても、アーチャーは自分でも分からないと答えた。

アーチャーは自分を、真名と力の大半を奪われた分け身だと説明した。霊基の欠けを補えば真名が戻るかもしれず、彼はそれを旅の目的に加える。アルトリアの真名を剣と年格好から推理で言い当てたのも、このときだった。探偵を何より忌まわしい職業と呼ぶ癖は、のちに明かす真名とつながっている。

竜の魔女と狼王​

ねぐらの電話が鳴り、エドモンを名乗る声が新宿御苑へ急げと告げた。中立を守ってきたジャンヌ・オルタを、同盟のエミヤ・オルタが狩りに向かったという。一行が着いたとき、ジャンヌは自爆まがいの宝具でエミヤを退け、動けなくなっていた。ジャンヌは以前、新宿のアーチャーに腹を吹き飛ばされている。善のアーチャーは別人だと弁解し、ジャンヌは信頼しないまま同行を認めた。

御苑からの帰り道、新宿のライダーがチンピラのキメラを一撃で噛み砕いて現れた。アーチャーはジャンヌに宝具を撃たせ、炎の壁でライダーの逃げ場を断つ。アルトリアの一撃は致命傷に届いたが、ライダーは逃げ延びた。アーチャーは、乗り手ではなく狼のほうが主だと見る。人を喰うのは飢えではなく憎しみのためで、その憎しみは妻を殺されたほどに深い。そこからマスターが狼王ロボの名に行き着いた(この場面を読む)。

ねぐらに戻ると、また電話がかかってきた。エドモンは、東京都庁の位置に日ごとに組み上がる塔を銃身だと断じる。同盟の首領は、地球を木っ端微塵に砕くつもりでいた。エドモンは新宿のアーチャーを信用するなとも言い添える。独白によれば、その忠告にアーチャーがどう動くかを確かめる仕掛けでもあった。

サーヴァントは三騎にそろい、敵の狙いが星そのものの破壊だと分かった。ライダーは深手で当分動けず、一行は次の標的を新宿のバーサーカーに定める。

歌舞伎町の人形​

歌舞伎町は新宿のバーサーカーの砦で、人形コロラトゥーラが約二百体常駐していた。一行は巡回中の一体を無傷で捕らえ、アーチャーがその頭を開く。中には人間の脳と目と神経が詰まっていた。ダ・ヴィンチは作り手の動機を、人の姿への嫌悪と人でないものを美しいとする潔癖だと読む。人形にされた者は精神が壊れていて、もう救えない。

アーチャーは人形に爆弾を仕込み、巡回に紛れ込ませる策を立てた。スイッチを渡されたマスターは、突入の直前に押せると答える。実際に押したのはアーチャーだった。自分は悪人だから、手を汚す覚悟を見せてもらえば充分だという(この場面を読む)。ぎりぎりまで押させるつもりだったとも言っており、試したうえで肩代わりしたと取れる。

バーサーカーの正体は、ファントムと幻霊のクリスティーヌだった。生前の姿を持たないクリスティーヌは人形に収められ、歌以外のすべてを奪われて壊れている。ファントムは、壊れた彼女に仕えることにしていた。倒れたファントムは、同盟の頂点に立つアーチャーの欲望は何かと問いかける。言い終える前に、エミヤ・オルタが彼を内側から破裂させた(この場面を読む)。

続けて現れた呪腕のハサンがエミヤを退かせ、マスターを主と仰いだ。ハサンはマシュを覚えていないものの、霊基が一行を味方と捉えていると説明する。バーサーカーが倒れ、一行のサーヴァントは四騎になった。

化身と監獄​

バーサーカーを倒した夜、ねぐらで宴が開かれた。酔ったアーチャーが眠り込んだあと、ハサンは見回りを口実にマスターを外へ連れ出す。ハサンの正体は新宿のアサシンで、他人そっくりに化ける幻霊ドッペルゲンガーの性質を備えていた。アサシンはマスターをさらい、追ってきたアルトリアに雀蜂の兵と怪物リア王をぶつける。リア王は、同盟が捕らえたシェイクスピアに書かせた怪物だった。

マスターが目覚めたのは、同盟の本拠地の塔バレルである。悪のアーチャーは、聖杯の力で善に焦がれる心を切り離したと語った。目的は星の解体で、数学者として算出した解を確かめたいのだという。カルデアが干渉をやめればマスターを帰すと、取引も持ちかける。塔の中ではシェイクスピアが鎖でつながれ、拷問を受けて怪物を書かされていた。

マスターの懐には、善のアーチャーの手紙が入っていた。殺されはしないこと、助けが向かうこと、怖がらせた詫びが書いてある(この場面を読む)。助けに来たエドモンは、塔を出たあとで変装を解いた。正体はホームズで、新宿のアーチャーの真名をモリアーティと明かす。アーチャーは、ホームズを盤上に引き出すためにマスターをわざとさらわせていた(この場面を読む)。

ホームズがロンドンからキャメロットを経て新宿まで来たのには、理由があった。彼はアトラス院のトライヘルメスで、人理修復のあとに特異点が生じるかを調べていた。修復の際には、正しい歴史が消し去った力が一時的に蘇る。その出現先として算出されたのが、1999年の新宿だった。

エドモンとして裏で動いていたホームズは、ここで駒として盤上に乗った。マスターは、アーチャーがモリアーティだと知ったうえでねぐらへ戻る。

歴史から切り離された街​

ねぐらでアーチャーは自らジェームズ・モリアーティと名乗り、幻霊を融合した複合サーヴァントとして契約し直した。ホームズは星を破壊する手口を、獅子王とエジソンの企てから説き起こす。獅子王は聖槍の塔の外を消そうとし、エジソンはアメリカを歴史から切り取ろうとした。内側から星を砕くのは難しいが、歴史から切り離した世界なら滅ぼせる。ダ・ヴィンチが調べると、新宿はすでに歴史から切り離されていた。

手口の中身も見えてきた。星を砕くだけの力は隕石でまかない、それを塔の銃身へ吸い寄せて星の核に撃ち込む。命中を保証するのが、モリアーティに融合された幻霊、魔弾の射手である。七発のうち六発は狙いどおりに当たり、七発目だけは操れない。善のモリアーティがアーチャーとして呼ばれ、棺桶から銃弾やミサイルが出る理由も、これで説明がついた。

新宿で何が起きても、人理への影響は微震程度で済む。ダ・ヴィンチは強制帰還の手立てを探りながら、マスターに最後の確認をした。新宿を救っても報酬はなく、同行のサーヴァントが消えても人理修復には差し支えない(この場面を読む)。マスターは帰還を選ばず、マシュも新宿を捨てて帰るのはマスターらしくないと口にした。ダ・ヴィンチは、世界を救ったあともマスターが変わっていないと安堵している。

カルデアは強制帰還の準備を続けたまま、新宿を救う戦いを後押しすると決めた。次の標的は新宿のアサシンである。

浪子燕青​

アサシンを倒す計画はモリアーティが立て、仕上げをホームズに任せた。アサシンは人前に出るとき必ず変装しており、根城に宝具を撃ち込んでも紛れて逃げられる。そこで一行は、アサシンがセレブを集めて開くパーティーに着飾って潜り込んだ。顔を知られているマスターは女装させられ、アルトリアはその姿を携帯電話で撮っている。

アサシンはセレブに雀蜂の兵を送り、見返りに資金を集めていた。この日は、アルトリアそっくりの顔に化けて客をもてなしている。雀蜂の大群に紛れたアサシンは、マスターが変装を解いた瞬間に驚いて正体を現した。アサシンは梁山泊百八傑の一人、燕青と名乗って戦う。敗れた燕青はビルを爆破して市民に化けたが、ホームズとモリアーティに見抜かれた。

燕青の最期の言葉で、本物の呪腕のハサンの行方が分かった。ハサンはこの新宿で孤独に戦い、燕青に討たれていた。化けた相手の記憶はドッペルゲンガーの中に残り、燕青は自分が誰なのか分からなくなっていたという(この場面を読む)。燕青は、生前に主を止めきれなかった過去を悔いていた。誇りがどこに消えたのかを問いながら、霊基は消滅する。

同盟に残るのは、首領とエミヤ・オルタ、それに傷を癒やしたライダーだけになった。燕青を倒した直後、狼の遠吠えが響く。

狼王の帰る場所​

燕青戦の直後に戻ってきたライダーは、姿が見えなかった。首領はライダーの望みで、透明になる力を持つ科学者の幻霊をさらに融合させていた。乗り手と一体化した霊基はアヴェンジャーに変わり、狙いはマスター一人に絞られている。乗り手の首無し騎士は、スリーピー・ホロウ伝説のヘシアンだった。

その場で倒す手はなく、誰かが残って足止めするしかない。名乗り出たのはジャンヌ・オルタだった。走り続ける復讐者に終わりを与えてやりたい、と彼女は理由を挙げる。霊核を貫かれながら、ジャンヌは体内から宝具の炎を噴き上げてロボを焼いた。ジャンヌはそれ以前に、アルトリアへ伝言を託していた。止まれなくなった復讐者に会ったら、容赦なく殺すのが解放になるという(この場面を読む)。

ロボを倒す鍵は、シートンが書いた動物記にあった。新宿では書物に書かれた死因が、英霊の逸話と同じく弱点として効く。動物記の狼王は、妻ブランカの亡骸を囮にした罠で捕らえられている。一行は白い狼の代わりに、アルトリアが世話をしてきた白い犬カヴァスⅡ世を囮にした。三つ目の虎鋏の前でロボは足を止め、アルトリアの剣を受ける。

消える間際、乗り手のヘシアンが武器を捨ててロボをかばった。ロボは前肢を食い千切って逃げ、故郷の荒野を思い出せないまま息絶える(この場面を読む)。ホームズは、狼王が一介の獣に戻ったと見て追わせなかった。ロボの独白では、帰る場所はもう人間の街である新宿しか残っていなかった。

ジャンヌは戻らず、一行で戦えるのはアルトリアとモリアーティの二騎だけになった。

銃身の塔と魔神​

残る敵は、塔に籠もる悪のモリアーティと、外を固めるエミヤ・オルタだった。ホームズは、魔弾にする隕石を1999年に観測された小惑星ベンヌと読む(この場面を読む)。平均直径はおよそ500メートルある。幻霊の宝具の概念を英霊との融合で引き上げれば、宇宙の星も弾丸にできる。幻霊の融合は、隔絶された新宿の外ではほぼ成り立たない。

塔の前には、エミヤ・オルタと二百を超える雀蜂が待ち構えていた。マシュは、第六特異点でアーラシュが矢で台座を飛ばした件を思い出す。ダ・ヴィンチはそれを射出装置に作り直し、マスターとアルトリアは上空から敵陣へ降りた。ホームズは主のいないコロラトゥーラを雀蜂にけしかけ、モリアーティは雀蜂に化けて塔へ入る。エミヤは入口を爆破させて部下ごと塞ぎ、一行の後を追った。

最上階の悪のモリアーティは、この瞬間を三千年待ったと口走り、すぐに打ち消した。彼が消えたあとに現れたのは、人の姿をした魔神柱バアルである。バアルは時間神殿から逃げ延び、マスターを殺すために世界を滅ぼそうとしていた。ホームズはここで、バベッジが計算から拾った人類史の歪みがバアルだったと気付く。バベッジは魔神柱の配下として全数値を知り、人理焼却がなくても2017年より先の未来は崩壊すると算出していた。

その場で、善のモリアーティが寝返った。新宿の事件にはすべて関わっていたと認め、推理の誤りを悟ったホームズを取り込む(この場面を読む)。幻影魔人同盟は、魔神と人間が結んだ盟だった。善が悪を倒す世界では、モリアーティは何をしてもホームズに勝てない。全力のホームズを出し抜く手は、ホームズの味方になることしかなかった。そのためにモリアーティは記憶と悪性を削り、バアルも記憶を消して自分をモリアーティだと思い込んでいた。

エミヤ・オルタは、魔神柱を倒すために雇われて同盟に潜り込んでいたと明かす。一行はエミヤと手を組み、バアルを倒した。直後、新宿の上空にベンヌが現れる。

七発目の魔弾​

バアルが滅んだ直後に現れたベンヌは、魔弾の射手が撃つ七発目だった。七発目は悪魔が操り、射手の大切な者を奪う。モリアーティの死が確定した時点で、隕石は新宿の真上へ転移していた。マシュは、記憶を失っていたモリアーティにとって大切な者がマスターだと気付く(この場面を読む)。マスターを塔へ連れてきたのも、善の側で命懸けで戦ったのも、魔弾をマスターへ向けるための計算だった。悪を討つために悪になるのと同じく、善を討つために善になったという。

七発目が確定して因果律が強まり、強制帰還も使えなくなる。そこへ本物の巌窟王が現れ、霊核を貫かれたはずのジャンヌ・オルタも戻ってきた。ジャンヌはホームズの助言どおり足元に気をつけ、マンホールから下水道へ落ちて助かっていた。巌窟王はシェイクスピアを救い出し、アンデルセンを連れてきている。

シェイクスピアとアンデルセンは宝具を使い、ホームズの後に続いた名探偵たちを二次創作として呼び出した。影の姿で現れた幻霊の探偵たちは戦えないが、謎解きの一言でなら力を貸せる。聖杯を持ち出して本気になったモリアーティを、マスターは犯人だと名指しした。証拠を残さずに君臨してきたモリアーティは、名指しされた経験がない。指を差された途端に、彼の力は抜けていった(この場面を読む)。

計算の上では、それでもモリアーティが勝つはずだった。マスターの答えを聞いて、モリアーティは一行と過ごした時間に思い当たる。その記憶は魔弾の標的を保つために消せず、最後まで踏みにじれなかったと彼は認めた。魔弾の力を失ったベンヌを、エミヤが固有結界で内側から砕き、アルトリアの宝具が破片を一掃する。

新宿は再び世界とつながり始め、魔術も魔獣も壁も世界の隅へ追いやられていく。モリアーティは、いつか召喚される日を否定しきれないまま消えた。ホームズは戦えなくなった体でカルデアに身を寄せ、モリアーティから奪った情報を伝える。時間神殿の戦いで見切りをつけて逃げた魔神柱が、まだ三柱残っていた。

得たもの/失ったもの​

得たもの
人理
新宿の亜種特異点を修正。新宿は世界とつながり直した
マシュマスター
人理
人理焼却がなくても2017年より先は崩れる、というバベッジの計算
ホームズ
カルデア
生き残りの魔神柱は三柱。名も潜む時代も分からない
ホームズ
カルデア
ホームズが身を寄せ、安楽椅子探偵として調べを続ける
ホームズ
カルデア
マシュが管制室で、マスターの存在証明を受け持った
マシュ
人物
マスターは報酬のない新宿を、帰還を選ばずに救った
マスター
人物
モリアーティは、真っ当なサーヴァントとして一度記録された
モリアーティ
失ったもの
人理
新宿の住民の大半。残ったのは魔術使いと殺人鬼くらい
カルデア
協会の査察が迫り、凍結もあり得る立場は変わらない
人物
マシュは魔術回路が働かず、サーヴァントとして戦えない
マシュ
人物
ホームズは取り込まれた傷で、戦闘ではお荷物になった
ホームズ
人物
本物の呪腕のハサンは、新宿で燕青に討たれていた
呪腕のハサン燕青
人物
ファントムは問いを言い終える前に、エミヤに破裂させられた
ファントムエミヤ・オルタ
人物
燕青は誇りの行方を問いながら消えた
燕青
人物
ロボは故郷を思い出せないまま、新宿で果てた
ヘシアン・ロボ
人物
バアルは滅び、モリアーティも敗れて同盟は解消された
魔神バアルモリアーティ

カルデアの内側では、記録の書き換えが始まっていた。協会の政争からマスターを守るため、スタッフはマスターを素人の楔として記録し直そうとしている。帰還したホームズは、真実と虚偽のつじつま合わせを手伝うと申し出た(この場面を読む)。

同行したサーヴァントは、それぞれのやり方で新宿を去った。アルトリアが消える前に帰ったのはねぐらで、カヴァスⅡ世に最後の餌を与えて自由にした。ジャンヌは通信の途切れた間にマスターと踊り、次はもう少し練習してくると言い残す。エミヤは、敵でなければ一度くらいは助力すると告げて退去した。

関連​

用語集の該当ページ。

中心人物。

前後の章。

出典: ゲーム内シナリオ全文コンコーダンス(tools/data/concordance/lines.jsonl、war 201 の本編スクリプト 0200010110〜0200011811)。冒頭のブリーフィング(スクリプト 0200010010)は /story 再生データが無いため、本文中でリンクを張っていない。