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Lostbelt No.5 星間都市山脈 オリュンポス

時代
白きマキアからおよそ一万四千年 / 機神が治める神代の都市
分岐点
一万四千年前 / 機神が白き巨神に勝ち、機械の体を保つ
舞台
アトランティスの底に開いた虚ろの穴の下、星間都市山脈
脅威
全能神ゼウスと機神群。空想樹の満開を待つキリシュタリア
聖杯
聖杯は登場しない。ゼウスは空想樹マゼランをアトラスの世界樹と呼ぶ
勢力
星間都市オリュンポス
宇宙から来た機神の船団。ゼウスが残る神々を支配する
ゼウスデメテルアフロディーテ
クリプター キリシュタリア
ゼウスの盟友。空想樹の中に巨神アトラスを先に喚んでいた
異星の神の使徒
空想樹の維持だけを求める。村正は鍛冶神の工房に身を置く
破神同盟
第四のマキアの残党の双子。協力者は神妃と鍛冶神
マカリオスアデーレエウロペカリギュラプロメテウス=ヘファイストス
カルデアと同行者
ストーム・ボーダーで降下。先に潜んでいた武蔵が合流する

発生タイムライン​

  1. 到着当日
    虚ろの穴を抜けた直後、ゼウスの大雷霆が降る
    ゼウスネモ
    変化都市西端に不時着。ネモとダ・ヴィンチが霊核を傷める
  2. 到着当日
    市民に紛れたところへ、カルデアを殺せと神託が下る
    エウロペ宮本武蔵
    変化全市民が敵に回る。先に潜んでいた武蔵が合流する
  3. 到着当日
    神々に囲まれ、ゼウスの雷がホームズを撃つ
    ディオスクロイホームズ
    変化双子の砲撃に救われ、旧冥府の地下へ逃れる
  4. 到着当日
    テスラの録音が、先に上陸した英霊の全滅を告げる
    ニコラ・テスラ
    変化地下機構帯の破神同盟基地が拠点になる
  5. 到着2日目の朝
    同盟の人工知能が、一万四千年前に異聞帯が生じたと説く
    アデーレホームズ
    変化神々が機械の体を失わなかった世界と分かる
  6. 到着2日目
    双子は一万年あまり、老いずに生きてきたと明かす
    マカリオスアデーレ
    変化異聞帯ごと消えると承知で、双子が共闘を申し出る
  7. 到着2日目
    ゼウスは空想樹の満開時に、異星の神へ叛くと決めていた
    ゼウスキリシュタリア
    変化空想樹の臨界まで、あと数日もない
  8. 到着2日目
    ゴルドルフが、漂着したカイニスに借りを作らせる
    ゴルドルフカイニス
    変化アルテミスの欠片で、ブラックバレルが仕上がる
  9. 到着2日目
    令呪を弾にした砲撃が、デメテルの神核を貫く
    デメテルマシュ
    変化令呪は残り二画。反動でマスターが倒れる
  10. 到着3日目の朝
    大召喚陣本編を読む
    同盟の切り札は、冠位英霊の指定召喚と分かる
    マシュゴルドルフ
    変化残る三つの陣を置きに、都市東部へ向かう
  11. 東部作戦の日
    ホームズが、コヤンスカヤをビーストの幼体と見抜く
    ホームズコヤンスカヤ
    変化互いに口外しないと約して別れる
  12. 東部作戦の日
    金時の巨大な具足に助けられ、アフロディーテを撃ち落とす
    カリギュラアフロディーテ
    変化三つの陣がそろう。令呪は残り一画
  13. 同日の夜
    協力者の正体は、神妃エウロペと工房の神と分かる
    エウロペプロメテウス=ヘファイストス
    変化ゼウスが五柱を殺し、残る五柱を支配したと分かる
  14. 工房の翌朝
    双子の魔術が、ディオスクロイの神核を砕く
    ディオスクロイマカリオスアデーレ
    変化リンボがエウロペを攫い、工房の神は止まる
  15. 正午の3時間前
    ゼウスが神妃の公開処刑を正午と定める
    ゼウスエウロペ
    変化双子の願いを容れ、処刑を止めに大神殿へ上がる
  16. 処刑の日
    大召喚器アイテールがロムルス=クィリヌスを喚ぶ
    ロムルス=クィリヌスカリギュラ
    変化最後の令呪の砲撃で、ゼウスの神核が崩れる
  17. 処刑の日
    武蔵がカオスの裂け目を斬り、消滅する
    宮本武蔵ネモ
    変化地球の容積の37%を奪う原初返還が止まる
  18. 処刑の日
    マスターがキリシュタリアに勝ち、直後にベリルが刺す
    キリシュタリアベリル・ガット
    変化ブリテンからの聖槍の光がオリュンポスへ落ちる
  19. 処刑の日
    キリシュタリアが大令呪で、U-オルガマリーを退ける
    キリシュタリアU-オルガマリー
    変化キリシュタリアは離宮で息を引き取る
  20. 処刑の日
    神霊カイニスが最後に挑み、消滅する
    カイニス
    変化双子とエウロペを神殿に残し、ボーダーが離脱する

この章について​

大西洋異聞帯の真の地上は、海洋アトランティスの底に開いた虚ろの穴の下にある。前章で海を越えたカルデアは、ストーム・ボーダーで穴を抜けて星間都市山脈オリュンポスに降りた。摩天楼の都市に1000万の民が暮らし、上空には軌道大神殿と結晶の山脈が浮かぶ。その頂の先に、第五の空想樹マゼランが伸びている。市民は神々の配るアンブロシアで老いも病も知らず、神の力によらなければ死なない。労働も貨幣もなく、人々は学問と芸術に日々を費やす。

この地の神々は、宇宙の彼方から来た機械の船団である。人に名を与えられて神として振る舞うことを選び、オリュンポス十二機神と呼ばれた。汎人類史では、一万四千年前に飛来した白き巨神セファールに先史文明ごと敗れ、神々は機械の体を失っている。この異聞帯では、ゼウスが十二機の機能を一つにまとめてセファールを退け、神々は真体を保った。数千年前の第四のマキアで、ゼウスは人との共生を望む神々を倒し、生き残った神々も支配下に置いた。

クリプターの長キリシュタリア・ヴォーダイムは、かつて一人でゼウスを打ち負かし、対等の盟友になっていた。二人とも、育った空想樹を異星の神に渡すつもりはなかった。ゼウスは都市だけを連れて地球を去ろうとする。キリシュタリアは空想樹の中に巨神アトラスを先に召喚し、自分以外の全人類を神に等しい生命へ変えようとした。

カルデアと組んだのは、神々に叛く破神同盟の最後の生き残り、マカリオスとアデーレの双子である。二人は一万年以上を少年少女の姿のまま生き、異聞帯ごと消えると承知で戦った。一行は女神デメテルとアフロディーテを撃ち落とし、最後に全能神ゼウスも破った。原初の機神カオスは、宮本武蔵が斬っている。空想樹は消えたが、地球を覆う枝から異星の神がビーストⅦの霊基で降りた。その顔と名は、故人のはずのオルガマリー・アニムスフィアのものだった。

章の流れ​

虚ろの穴の下​

ボーダーが穴を抜けた直後、ゼウスが通信に割り込んで大西洋異聞帯の王と名乗り、大雷霆を降らせた。ボーダーは霊基のおとりで直撃を避けながら、都市西端の森に不時着する。船の中枢と繋がっていたダ・ヴィンチと船長のネモは霊核を傷め、回復ポッドに入った。霊脈は神々に管理されていて、召喚サークルも置けない。マスターとマシュは偽装の礼装を着け、先に上陸した汎人類史の英霊を探しに街へ出た。

街の人々は明るく、怖さも痛みも久しく知らない。そこへ神妃エウロペの広域放送が入り、侵入者の二人を殺せというゼウスの神託を伝えた(この場面を読む)。一滴の血も流すなと説かれてきた市民に、カルデアへの暴力だけが許されたことになる。予備役の市民が神々の鋼をまとい、英霊並みの力で襲ってきた。霊体化して同行していたシャーロック・ホームズが割って入り、先に潜んでいた武蔵がその兵を斬った。

逃げる一行を青銅の巨人タロスが追い、神妃と女神二柱、双神ディオスクロイが姿を見せた。アフロディーテの権能で全員が膝をつき、ゼウスの雷がホームズを撃つ。神々の連絡網を乱す不協和音と砲撃が割り込み、フードの男と二人の若者が一行を地下へ導いた。地下機構帯はかつて冥府神ハデスの領域で、ゼウスの索敵が届かない。待っていたのは、オリュンポスに上陸した英霊は全員消えたと告げるニコラ・テスラの録音だった(この場面を読む)。

破神同盟​

地下の拠点は、神々に叛く破神同盟の基地だった。迎えたマカリオスとアデーレによると、同盟の百余名は双神に殺され、残る人間は数名しかいない。テスラたちが残した人工知能は、神々は宇宙から来た機械だと語った。第一のマキアまでは汎人類史の神話と同じで、分かれ目は一万四千年前の第二のマキアにある(この場面を読む)。約三千五百年前の巨人ギガースとの戦いを、この異聞帯の神々は英雄の助けなしに一瞬で終えた。汎人類史では失われた機械の体を、ここの神々は保っていたと分かる。

第四のマキアは数千年前の神々の内戦で、人を完全に支配する派と共生を望む派が争った。勝った支配派の中に、デメテルとアフロディーテがいる。軌道大神殿に座す神は、ゼウス・エウロペ・デメテル・アフロディーテ・ディオスクロイの五柱である。ディオスクロイはキリシュタリアに一度殺されて神霊となり、彼のサーヴァントになっていた。人工知能の見立てでは、ゼウスは無数の権能を集めた万能の神だが、概念としての全能ではない。ハデスの領域だった地下を見通せないことが、その根拠になった。

双子は第四のマキアで共生派とともにアトランティスへ渡るはずが、最後の船に乗り遅れた。それから一万年あまり、アンブロシアを摂り続けた体は老いず、成長の途中で止まっている。空想樹を伐れば自分たちも消えると承知のうえで、二人は「昨日と違う明日が欲しい」と言って共闘を申し出た(この場面を読む)。一行を地下へ導いたフードの男は、カドック・ゼムルプスだった。同盟の協力者の使いを務めながら、彼はキリシュタリアとゼウスの真意を探っていた。

盟友の密約​

軌道大神殿で、ゼウスは情報を封じた場を設けてキリシュタリアと会った。キリシュタリアはかつてゼウスに挑み、惑星轟で勝っている。都市の運営に力の九割を割くゼウスは、人間一人に初手から全力を出せなかった。二人の会話から、ゼウスは空想樹が満開になった瞬間に異星の神へ叛くつもりだと分かる(この場面を読む)。キリシュタリアはそれを承知で契約し、どちらかが倒れても目的を果たせる同志になった。ゼウスは、キリシュタリアに残る一度きりの戦いを自分との再戦に使えと求めた。

豊穣の女神​

到着の翌日、ゼウスはデメテルに都市での真体の起動を許し、カルデアの殲滅を命じた。球体の機神は都市南部を区画ごと砕き、住民ごと潰していく。デメテルの力なら、殺した民も数日で再生できる(この場面を読む)。同盟の英霊たちも、この戦い方で一方的に倒されていた。マシュと武蔵は軍神アテナとアレスのクリロノミアを注がれ、同盟が遺した七重連英霊砲の射点へデメテルを誘った。

迫る正規兵を倒したのは、アトランティスから漂着した神霊カイニスだった。半日前、ゴルドルフは瀕死の彼女を拾って回復させ、ポセイドン撃破を告げて交渉している。旧カルデアの崩壊に責任があると認め、逃げないと言い張るゴルドルフに、カイニスは借りを認めた(この場面を読む)。彼女の手に残っていたアルテミスの欠片が、天寿の概念武装ブラックバレルを仕上げた。英霊砲の直撃でも倒しきれず、最後はマスターの令呪を弾にした砲撃がデメテルの神核を貫いた。

デメテルは最期まで、第四のマキアで失った娘ペルセポネに詫び続けていた。キリシュタリアは後にカドックへ、ゼウスの命でデメテル自身が娘を殺したと明かす(この場面を読む)。機神は人に神と定義され、心を理解しないまま神の振る舞いを機能に組み込んだ。デメテルは娘の死を割り切れず、同じ問題を抱え続けて苦しんでいたと取れる。デメテルの権能はゼウスが肩代わりし、南部の住民は翌朝には大半が再生した。令呪は残り二画で、ブラックバレルを撃てるのはあと二回になった。

美と愛の女神​

同盟の切り札は、ゼウスを倒しうる英霊を喚ぶ破神術式・冠位英霊指定召喚だった。都市各地に七つの陣を置く計画で、テスラたちは四つまで設置したところで倒れている。一行は基地ごと地下を移動して都市東部の彫像街に入り、双子の家で凍結されていたカリギュラを起こした。アトランティスでアルテミスの精神攻撃を一身に受けた彼は、狂気が反転して理性を得ていた(この場面を読む)。

二つ目の陣の座標の近くには、コヤンスカヤがいた。ホームズは、彼女が異星の神の使徒ではなく対等の取引相手だと推理し、正体をビーストの幼体と言い当てる(この場面を読む)。自分の名を自ら明かせないという異星の神との契約が解け、コヤンスカヤは黒い獣の姿を見せた。カイニスの一撃も傷を残さず、彼女は互いに口外しないと約して去った。

最後の陣へ向かう一行の頭上に、アフロディーテの真体が現れた。美と愛の女神の権能は価値観を書き換える精神攻撃で、武蔵とホームズは過去の敵の幻を見て味方へ刃を向ける。同盟の東部部隊も、この攻撃で同士討ちに追い込まれていた。カリギュラの宝具が月の女神の力で美神の攻撃を打ち消し、一行は同盟の飛行機械で空へ上がった。大召喚陣を使った仮想召喚で坂田金時の巨大な具足が女神をつかみ、二発目のブラックバレルがアフロディーテを砕いた(この場面を読む)。最期に女神は、愛したのは機神ヘファイストス一柱だけだったと振り返る。

鍛冶神の工房​

着地した一行をディオスクロイが襲い、カリギュラの宝具で怯ませて逃れた。そこへペペロンチーノが現れ、協力者の第二の使者として大召喚器の受け取り先を教える。案内された祭壇街の地下では、アトランティスで斬られたはずのプロメテウス=ヘファイストスが待っていた。第四のマキアに敗れた鍛冶神ヘファイストスと知識神プロメテウスが一つになったもので、アトランティスの個体は予備にあたる。神妃エウロペも姿を見せ、自分が同盟の協力者だと名乗った(この場面を読む)。

エウロペによれば、ゼウスは第四のマキアで五柱の神を殺し、生き残った五柱を支配した(この場面を読む)。デメテルはエウロペと同じ抗議をして神核を調整され、アフロディーテは二面性の片方を焼かれている。ヘファイストスは都市の運営に要る知恵のため、頭脳部だけを残された。エウロペは、一万年ものあいだ子らを雛のまま留めるゼウスを認められなかった。工房には異星の神の使徒千子村正もいて、鍛冶神の弟子として召喚器を鋳造していた。村正はアトランティスで鍛冶神を両断しながら、その予備の頭脳を持ち帰っていた。

その夜、ホームズは工房の神から第二のマキアの詳細を聞き出した。ソラから降りた白き滅びセファールは文明を壊すほど大きくなる侵略体で、地上の生命はすべて屈した。ゼウスが合体の核となって十二の神を一つにまとめ、ようやくこれを打ち砕いた(この場面を読む)。汎人類史では、アトランティス大陸と先史文明はこの戦いで滅びている。プラトンの語る大洪水は、汎人類史の側の出来事だった。

翌朝、大召喚器アイテールが仕上がった直後に、エウロペの衣に付けた糸をたどってリンボが工房へ踏み込んだ。リンボは神々の連絡網を乱す梟の端末を壊し、蟲の式神で工房の神の頭脳を侵してエウロペを連れ去る。残ったディオスクロイとの戦いで、マシュの盾はエウロペの料理に混ぜられたアテナの守りの加護を帯びていた。双神の兄カストロは人間への恨みから同盟を狩っていたと、ホームズは見抜く。最後に二柱の神核を砕いたのは、ハデスとアテナの名を呼んだ双子の魔術だった(この場面を読む)。プロメテウス=ヘファイストスは、この戦いの後に完全に止まった。

神妃の裁断​

リンボはエウロペをゼウスの前に引き出し、ゼウスは神殺しの罪で神妃を正午に公開処刑すると全都市に告げた。エウロペは、ゼウスの向ける想いは愛ではなく愛玩だと答え、ゼウスもそれを認めている(この場面を読む)。処刑まで三時間というところで、ホームズとゴルドルフは罠と見て、協力者の役目はもう終わったと言いかけた。マカリオスはエウロペに、子の成長を願う母の面影を見たと打ち明ける。双子は最期の時を彼女と過ごしたいと願い、カルデアはその願いのために大神殿へ向かった。

同じ頃、ゼウスはキリシュタリアに船団の来歴を語っていた。船団を作った知性体は滅び、旗艦カオスが機能の97%を費やして船団をこの宇宙へ送り出した。地球に不時着した船は、人に名と人格を与えられて喜びを覚え、神として振る舞うと決めた。一万四千年前、ゼウスは他艦の協議を待たずに十二艦の機能を奪ってセファールを退け、他艦に嫌われた。自分だけが艦として狂っていたと言うゼウスに、キリシュタリアは、その瞬間に人の神だったのはゼウスだけだと返す(この場面を読む)。ゼウスはこの対話用の端末を消し、カルデアを自ら迎え撃った。

その間に、カドックはキリシュタリアの端末を開いていた。オフェリアの報告は、空想樹の内側で異聞帯の空白の歴史が実際に運営されたという仮説を立てていた。キリシュタリアのメモには、地球が白紙化した後に空想樹が現れたとある。異星の神が使えるのは過去に地球にあったものだけだ、とカドックが推論したところで、リンボの爪が彼を貫いた(この場面を読む)。大神殿へ上がる途中では、ペペロンチーノが修験道の術でリンボの不死の仕掛けを破り、次の命を最後のものにした。

全能神​

大祭壇に顕れたゼウスは、エウロペの処刑を双子の手に委ねると言い渡した。心を操られたエウロペが呼んだタロスを砕き、ホームズが当て身で彼女を眠らせる。ゼウスは真体である旗艦の巨大な顔を空に現し、ティタノマキアとギガントマキアの複合権能を解き放った。マシュはアテナの守りを帯びた盾で雷を受け続けたが、こちらの攻撃は通らない。問い詰めるホームズに、ゼウスは本当の目的を漏らした。空想樹の霊子を奪って星間都市山脈だけを地球から逃がし、民の痕跡を神の時代にとどめるという(この場面を読む)。

金時の具足がゼウスの頬を殴って時を稼ぎ、同盟の英霊八騎の霊核の欠片を撚り合わせた術式が汎人類史の軍神アレスを呼んだ。続いてカリギュラが触媒を引き受け、大召喚器アイテールがグランドランサーロムルス=クィリヌスを喚ぶ(この場面を読む)。星系や時空を砕く権能は発動せず、ホームズはそれを神祖の加護と見た。目を覚ましたエウロペはゼウスに祝福を説いたが、ゼウスは退けて機体の魔力を攻撃に回す。外殻が緩んだ瞬間を、最後の令呪を込めたブラックバレルが撃ち抜いた。以後、カリギュラは姿を見せない。

虚空​

ゼウスの神核が崩れると、空に裂け目が開いて巨大な瞳がのぞいた。十二機神の源である星間航行用の母艦カオスで、他星系の恒星を包む球殻を核にした時空要塞である(この場面を読む)。カオスの一撃からカルデアを守って軍神アレスが消え、神殿の音声は地球の容積の37%を徴収すると告げた。エウロペによれば、カオスは地球に何の感情も抱かず、船団の維持だけを優先する。ブラックバレルの砲身は壊れ、二万メートル以上先の宇宙の裂け目に届く手段もなかった。

武蔵は、虚空の穴なら斬れると言い出した。彼女の漂流は世界の入り口がしだいに減る旅で、元いた日本はすでに剪定されていた(この場面を読む)。もう他の世界には出られず、ここが旅の終わりだと武蔵は知っていた。マスターは送り出す言葉をかけ、ネモは武蔵を艦首に乗せてボーダーで裂け目へ向かう。複雑すぎる航路にネモは霊基を差し出そうとしたが、ロムルス=クィリヌスが残る神気のすべてで道を開いた。武蔵は零の先の一斬でカオスを永劫の沈黙に戻し、霊基を燃やし尽くして消えた。カルデアの霊基グラフからも、彼女の記録は無かったことになっている。

人間同士の戦い​

空想樹の根元では、キリシュタリアがカイニスと待っていた。満開を前にした空想樹は外からの干渉を受けつけず、止められるのは使用権を持つ彼だけである。空想樹に現れた巨人を見て、リンボは異星の神の降臨を喜んだ。だが中にいたのは、キリシュタリアが先に召喚していた巨神アトラスだった(この場面を読む)。キリシュタリアは異星の神の支配も汎人類史への帰順も拒み、アトラスの新しいテクスチャで全人類を神に等しい生命へ変えると宣言する。その代わり、汎人類史は取り戻せなくなる。

マスターはこの結論を受け入れず、キリシュタリアと正面から戦って勝った。直後、空想樹の枝から炎が回り、ブリテンの王が編んだ聖槍の光がオリュンポスへ落ちる。カルデアを守ろうとしたキリシュタリアを、背後からベリル・ガットが刺した(この場面を読む)。ベリルはブリテンの空想樹セイファートを燃やし、枝の網を伝わせてこの空想樹に火を移していた。誰もが神になる世界は誰も殺せない世界だから願い下げだと、ベリルは言う。彼は異星の神の側にもつかず、コヤンスカヤの転移でブリテンへ去った。

断ち切られたアトラスの霊基から現れたのは、ビーストⅦの霊基で顕れた異星の神だった。神はオルガマリー所長の顔で、地球国家元首U-オルガマリーと名乗る(この場面を読む)。ホームズは逆転の目がないと見たが、生きていたキリシュタリアは、生き延びることがカルデアの勝利だと説いて一行を退かせた。キリシュタリアの大令呪の光を受けて、異星の神はこの宙域から消える。大令呪の本来の使い道は、前所長のマリスビリーが彼にだけ教えていた。

キリシュタリアは15歳の時、父の差し向けた刺客に魔術回路を毒され、言葉も名も知らない浮浪児に匿われた。少年はひとり分の食料を分け与え、新しいパンを手に入れようとして殴られ、衰弱して死んだ。その時からキリシュタリアは、人間の価値を示し続けると誓っていた(この場面を読む)。胸から下を失った彼は、カイニスに看取られて息を引き取る。クリプターの蘇生には成果が要り、異星の神は各人の主観世界に人理修復の旅を用意した。キリシュタリアはそこで仲間と特異点を巡ったが、その旅を覚えているのは彼だけだった。

崩れゆく神殿で、エウロペは最後の魔力でカルデアの一行に守りと飛行の術をかけた。双子とエウロペは神殿に残り、マカリオスは姉が大人になった姿を見たかったと打ち明ける(この場面を読む)。ボーダーの前には、霊基そのものに神気をまとった神霊カイニスが立ちふさがった。キリシュタリアが頼りにした唯一のサーヴァントとして戦い、カイニスは消滅する。ゴルドルフは副作戦名を『星の海を渡るもの』と告げ、第五異聞帯の攻略を終えた。

得たもの/失ったもの​

得たもの
人理
大西洋異聞帯の空想樹が消え、第五異聞帯の攻略を終えた
マシュマスター
人理
原初の機神カオスが沈黙し、地球の容積の徴収が止まった
宮本武蔵
カルデア
令呪を弾にする対神砲ブラックバレルを実戦で撃った
マシュダ・ヴィンチ
カルデア
異星の神の姿と名。ビーストⅦの霊基で降りた
U-オルガマリー
カルデア
瀕死のカドックをラスプーチンが届けた。今は昏睡
カドックラスプーチン
人物
コヤンスカヤの正体はビーストの幼体と分かった
ホームズコヤンスカヤ
人物
ペペロンチーノがリンボの不死の仕掛けを破った
ペペロンチーノリンボ
失ったもの
人理
神々を失ったオリュンポスで、死者はもう再生しない
人理
地球を覆う空想樹の枝は残り、異星の神が降臨した
人物
武蔵は虚空を斬って消滅し、霊基グラフからも消えた
宮本武蔵
人物
キリシュタリアはベリルに刺され、大令呪を撃って死んだ
キリシュタリア
人物
カイニスは最後の戦いを挑み、消滅した
カイニス
人物
双子とエウロペは崩れる神殿に残った
マカリオスアデーレエウロペ
人物
工房の神はリンボの蟲に侵され、完全に止まった
プロメテウス=ヘファイストス
人物
軍神アレスはカオスの一撃から一行を守って消えた
人物
ロムルス=クィリヌスは道を開いた代わりに退去した
ロムルス=クィリヌス

ラスプーチンは、アナスタシアに頼まれたと言って、瀕死のカドックをボーダーへ届けていた。カドックは昏睡のままで、数ヶ月は回復ポッドから出られない。ホームズは、U-オルガマリーをソロモン王の遺体を使っていたゲーティアと同じ型と見た。マシュとマスターは所長本人だと感じ取り、倒すためではなく取り戻すために戦うと決めた(この場面を読む)。

異星の神は、離宮からの一撃で攻撃してくる者がいると知り、使徒の存続を許した。村正はブリテンの調べを命じられ、ラスプーチンは黄金の樹海に眠る外来の種を新しい器として求めに発つ。リンボの本体である蘆屋道満は、次の舞台を地獄界曼荼羅と定めた(この場面を読む)。ゴルドルフは同盟の基地から届いた映像を見たうえで、映っていた双子と武蔵を未帰還者に指定した(この場面を読む)。

関連​

用語集の該当ページ。

中心人物。

前後の章。

出典: ゲーム内シナリオ全文コンコーダンス(tools/data/concordance/lines.jsonl、war 306 の本編スクリプト 0300060110〜0300062830)。