亜種特異点Ⅱ 伝承地底世界 アガルタ
- 時代
- 2000年 / 中央アジアの地下に現れた地底世界
- 舞台
- 地下数キロの大空間。三つの都市と隠れ里の桃源郷が並ぶ
- 脅威
- シェヘラザードの宝具が現実を浸食した世界と、魔神フェニクス
- 聖杯
- 地中に埋もれていた。崩壊のさなか、エレナが見つけて円盤に積む
発生タイムライン
- 2000年・到着当日
- 到着直後
- 拠点襲撃の直後
- 日暮れ
- 夜明け前
- 撤退した日の夜
- 撤退の翌朝
- 竜宮城の朝
- 浮上から数分
この章について
西暦2000年の中央アジアの地下数キロに、国ひとつが入るほどの空間が現れた。新宿と同じく、生き残りの魔神柱が関わる亜種特異点である。ダ・ヴィンチは、伝説の地底世界の名を取ってここを「アガルタ」と呼ぶ。天井の光苔が明るさを変え、昼と夜はおよそ24時間で巡る。地上への出口はない。男たちは地上で足下に開いた穴から落ち、ここへ連れてこられる。
地底は三つの都市に分かれ、それぞれを女のサーヴァントが治めていた。水上都市イースの海賊公女、城塞都市・不夜城の女帝、黄金郷エルドラドのアマゾネスの女王である。どの都市でも、男は女の持ち物として扱われる。女たちは男の子種を受けるだけで、育ちきった女を産んで数を増やす。地上から落ちてきた男たちを集め、記憶のないライダーが抵抗を続けていた。
アガルタの反応が確定したとき、カルデアではエレナとヘラクレス、フェルグスとドレイクの反応が消えていた。うち3騎は、本来とは違う姿で地底にいた。フェルグスは女に慣れない少年として、ヘラクレスは理性の通じない巨人として現れる。ドレイクは、イースの支配者ダユーの役を被せられていた。エレナは召喚の直後に襲われ、地中で傷を癒やしながら眠っていた。
アガルタの正体は、シェヘラザードが宝具『千夜一夜物語』で現実を浸食して作った世界である。イースも不夜城も竜宮城も、彼女が物語の一部として編み込んだ土地だった。基礎設計の芯には、奴隷で稼ごうとするコロンブスの願望が据えてある。仕組みを教えたのは、彼女を喚び出した魔神柱フェニクスだった。彼女が望んだのは、二度と死なずに済む世界である。
聖杯は地中に埋もれていた。崩壊のさなかに、生き延びたエレナがそれを見つけて自分の円盤に積む。シャーロック・ホームズは、この聖杯が特異点の構造の核になっていたと見ている(この場面を読む)。
章の流れ
地底の三国
一行のレイシフトには、アストルフォとシュヴァリエ・デオンが密航していた。コフィン担当のムニエルが手を貸し、ダ・ヴィンチも気づきながら黙っていた。マシュは戦えない身で、カルデアの観測機器から一行を支える。獣の足跡をたどった先では、岩陰に倒れていた少年がフェルグス・マック・ロイと名乗った。ダ・ヴィンチは観測の結果から、カルデアから消えたフェルグス本人だと断じる。少年は女に剣を向けられず、それは誓約でなく慣れの問題だという。
野営地と町では、一行はアマゾネスに野良の男として襲われた。町の男たちは首輪をはめられ、鞭で打たれている。町を治める女王はバーサーカーで、ある者が隣町に現れたと聞くなり飛び出していった。残る兵との戦いに加勢したのは、記憶のないライダーが率いるレジスタンスである。一行は、桃が絶えず実る隠れ里の桃源郷へ案内された。
ライダーは真名も宝具も思い出せず、分かるのはクラスだけだと言う。桃源郷については、偶然見つけて使っているだけだと話した(この場面を読む)。この説明が偽りだったことは、黄金の神殿で分かる。
ライダーによれば、三つの都市の支配者はみな真名を隠している。ダ・ヴィンチは、魔神柱がこの三人のどれかと同化していると見た。一行はレジスタンスと手を組み、三つの都市を順に攻めると決める。
水上都市イース
水都攻めの中間拠点に着くと、未知の水路から来た女海賊が拠点を襲っていた。ライダーは休まずに本拠地を突くと決め、一行は運河の街イースへ忍び込む。街の教えは二つで、欲するものは自ら奪い、奪ったものには執着しないことだった。案内を申し出た少女に導かれ、一行は支配者の屋敷に入る。支配者はダユーと名乗り、その霊基はカルデアの記録にあるドレイクと一致した。
深手を負ったダユーが逃げかけたとき、水門が開いて湖の水が街に流れ込んだ。水門を開けたのは案内役の少女で、正体は不夜城の女帝である。ダユーは鉄砲水に呑まれ、街はほぼ水に沈んだ。
水門の鍵の在処は、ダユーしか知らないはずだった。ダユーは、イースを出て不夜城についたキャスターが漏らしたと悟る(この場面を読む)。声も霊基も同じなのに、マシュはダユーをドレイクではないと言い切った。倒される寸前まで正体を現さなかったので、魔神柱でもないと判断している。
三つの勢力の一角が消え、レジスタンスはイースの船と水路を手に入れた。女帝は一行を不夜城へ招いて去る。
不夜城
ライダーは城外でレジスタンスと待ち、一行は日暮れに城壁を越えた。城内は夜でもまぶしい。街を占めるのは臣民と呼ばれる女たちで、男は彼女たちに従って暮らす。法を破った者は密告され、女帝の拷問官・酷吏に裁かれる。変装して街を探ったデオンとアストルフォは、広場で凌遅の刑にかけられた男を救い出した。
夜明け前、協力者を装った男の密告で、一行は処刑台の裏で包囲される。女帝は処刑台の下から居城の瑤光殿をせり上げ、一行を中へ招いた。隣には、イースを見限った軍師のキャスターが控えている。ダ・ヴィンチは密告政治と酷吏と瑤光殿を手がかりに、女帝の真名を武則天と言い当てた。一行が武則天を追い詰めたとき、天井を破って巨大なヘラクレスが降ってくる。その一撃で、武則天の反応は消えた。
不夜城は犬だらけだという証言を、デオンは密告者だらけの意味と解いた(この場面を読む)。武則天は、臣民が互いを見張れば悪そのものが消えると信じている。ライダーが恐れていた天災の正体も、このヘラクレスだった。キャスターによれば、どこからともなく現れて壊し尽くしては去る真のバーサーカーだという。
キャスターは降伏し、一行と城を逃げ出した。不夜城にはエルドラドのアマゾネスが攻め込み、駆けつけたライダーも退く。アマゾネスの女王はデオンに一撃を浴びせただけで、ヘラクレスのいる城へ走っていった。ダ・ヴィンチは、巨大になったヘラクレスを巨英雄(メガロス)と呼ぶことにした。
軍師シェヘラザード
撤退の後、キャスターは命乞いをして、服従の証に真名シェヘラザードを明かした。イースから不夜城へ、さらにレジスタンスへと主を替えた理由は、死にたくないの一点だという。ライダーは彼女を軍師に迎え、残る支配者のエルドラドの女王を次の標的にした。
シェヘラザードの策は、守りの薄いエルドラドの本拠を突く奇襲だった。女王はキャスターの降伏も軍師の策も読んでおり、ジャングルで一行を囲む。女王の号令でアマゾネスが雄叫びを上げると、兵の力は狂化を受けたように跳ね上がった。デオンが殿を引き受け、一行は囲みを抜けて逃げた。
アマゾネスの報告では、追撃も含めてレジスタンスの半分ほどが殺された(この場面を読む)。女王は降伏してきた男も殺せと命じている。ライダーはシェヘラザードを責めず、策に乗ったのは自分たちだと言った。その夜、フェルグスは酒場の外で彼女に、どんな国に住みたいかを尋ねる。彼女の答えは、危険のない国だった。
フェルグスは、これからは彼女も死の危険から遠ざけると約束した(この場面を読む)。少年が剣で守る相手に、マスターのほかシェヘラザードが加わる。
船長の記憶
翌朝、桃源郷が燃え上がった。桃の木も小屋も仲間の墓も灰になり、レジスタンスは帰る場所を失う。ライダーは、諦めない限り夢は叶うと男たちを奮い立たせた。シェヘラザードはライダーを船長のサーヴァントと見抜き、全戦力を船に乗せて水路から攻める策を立てる。イースの船は帆を張るだけで進み、水路はジャングルの奥まで通じていた。
黄金の神殿を前にして、川の中からメガロスが現れた。ライダーはこの巨人を嵐に見立てて記憶を取り戻し、宝具の錨で動きを止める。ダ・ヴィンチは宝具の名から、ライダーをクリストファー・コロンブスと言い当てた。続いてエルドラドの女王が岸に現れ、メガロスへ襲いかかる。
女王はメガロスをアキレウスと呼び、邪魔に入る一行までアキレウスと見なした。ダ・ヴィンチは雄叫びとアキレウスへの憎しみから、女王の真名をペンテシレイアと確かめる(この場面を読む)。同じギリシャの英雄の臭いだけで、ヘラクレスをアキレウスと取り違えていたと分かる。女王がメガロスの出る所へ必ず向かう理由も、ここで解けた。
二騎がぶつかった余波で船は砕け、一行は川に投げ出された。
竜宮城と玉手箱
一行が目を覚ましたのは、東の地底湖の底に立つ城の前庭だった。障壁が空気を保つその城を、主人公は竜宮城と呼ぶ。前庭では、傷ひとつないメガロスが岩のように動きを止めていた。城の主は、イースの水没を生き延びたダユーである。ダユーはここを、イースが潰えたときの最後の砦として用意していた。城の中にいるあいだ、カルデアとの通信は途絶えている。
一行はダユーを破った。敗れたダユーは別人のような口調になり、負けた海賊は宝を奪われるものだと言って箱を差し出す。箱を渡すと、彼女はそのまま消えた。
宝の地図や海賊の流儀を語るその口ぶりは、それまでのダユーと違っていた(この場面を読む)。ダユーの配役が外れ、ドレイク本人が一瞬だけ戻ったと取れる。シェヘラザードは浦島太郎の話をもとに、この玉手箱を一度きりの簡易な願望機と読んだ。使い方を知る者が開ければ、令呪に近い働きをするという。
コロンブスは玉手箱の魔力で、止まったメガロスに手綱をつけようと言い出す。失敗すればはね返りが来るため、契約はマスターでなく、はぐれサーヴァントのコロンブスが引き受けた。術式は、シェヘラザードが最初の玉手箱を開いて組む。
黄金の神殿
脱出艇が水上に出ると、カルデアとの通信が戻った。ホームズも通信に加わる。神殿の外では、デオンとアストルフォが玉手箱の魔力で宝具を開き、千のアマゾネスを食い止めた。神殿の中では、メガロスと一行がペンテシレイアを倒す。女王は最後に相手をヘラクレスと見分け、宿命の女神とギリシャの英雄に呪いを残して消えた。
直後、コロンブスがマスターの頭を狙って撃ち、フェルグスがその弾をはじいた。コロンブスの狙いは、男の種だけで女が増えるアガルタを、奴隷を売る自分の国にすることだった。桃源郷に火を放ったのも彼で、怯えた男たちを戦わせ続けるためだったという。その桃源郷も、もとは召喚されたばかりのエレナを襲って奪った隠れ家である。
メガロスが倒れると、コロンブスは隠していた玉手箱で巨人を起こそうとした。レジスタンスの男が放った矢がその箱を弾き、フェルグスがコロンブスを討つ。
ダ・ヴィンチは神殿に入る前に、征服者コロンブスの属性は悪だと一行に伝えていた(この場面を読む)。フェルグスも、彼を仲間と思ったことは一度もないと言う。矢を放った男は、諦めないことの大切さを船長から教わったと口にした。ライダーとして説いた言葉が、最後に本人の企みを止めたと取れる。
支配者もコロンブスも倒れたのに、魔神柱の反応は消えない。ホームズは消去法で、アガルタ由来で生き残っているサーヴァントは誰かと問う(この場面を読む)。答えたのはシェヘラザードだった。
千夜一夜物語
シェヘラザードは、一行がずっと自分の『千夜一夜物語』の中にいたと明かした。召喚されたサーヴァントは全員、本来の姿ではない歪みを被せられていた。コロンブスは記憶を失い、ヘラクレスは暴走する巨人になった。ドレイクはダユーの配役を負い、唐の武則天は漢代の不夜城を治めていた。ギリシャ神話のペンテシレイアが南米のエルドラドにいたのも、同じずれである。フェルグスは女の世界をかき回す絶倫の戦士になるはずが、若くなりすぎた誤配役だった。
彼女が求めたのは、生き延びることでなく死なないことだった。サーヴァントとして用が済んで消えることも、彼女には死である。物語が結実すると地面が浮き上がり、岩の天井は青空に変わった。空中都市ラピュタは、ネパール山地の上空から大都市を目指して動き出す。
ラピュタが大都市に墜ちれば、世界中の人が神秘を目にする(この場面を読む)。誰もが触れる神秘は神秘でなくなり、英霊召喚の仕組みも消える。そうなれば二度と喚ばれて死ぬことはない、という理屈である。彼女が自ら座から消えた英霊を羨むと、マシュとマスターは怒りをあらわにした。名は出ないが、ダ・ヴィンチの独白から終局特異点の結末を指すと取れる。
地底の仕組みも、背後の魔神が教えたものだった。閉じた地底でサーヴァントを争わせ、消えた魂が英霊の座へ戻る力を吸い上げて、物語を現実に混ぜ込む(この場面を読む)。中身の設定より、争わせること自体が目的だったと分かる。イースを沈めた献策も、エルドラドへの奇襲も、サーヴァント同士の戦いを早める手だったと取れる。魔神柱は序列三十七位のフェニクスで、数値が反転していたため死んだものとして探知をすり抜けていた。
一行は一度フェニクスを倒した。瀕死のシェヘラザードは、魔神が消えても自分が死んでもラピュタは墜ちると言い切る。
毒壺と虹霓剣
深手を負ったフェルグスは、シェヘラザードの死への恐れを消すと言って語りかけた。女が上に立つ世界を望んだのはコロンブスでなく彼女自身で、男を、自分に死を運ぶ者として恐れていたからだと指摘する。そこへフェニクスが、レジスタンスの死体を依代にして戻ってくる。
一行の攻撃は届いても、フェニクスは死なない。このとき生きていた武則天が現れ、宝具の毒壺に魔神を落とした。王である彼女は、シェヘラザードとそれに同化した魔神を殺せず、離れる時を待っていた。フェルグスは毒壺に飛び込み、コロンブスが落とした玉手箱で死と再生を同時に経て、本来の剣を引き出す。宝具『極・虹霓剣』は、魔神ごとラピュタの大地を砕いた。
弱ったフェニクスは、シェヘラザードの命を奪って生き延びようとした。シェヘラザードはそれを断る。武則天の号令でフェルグスがフェニクスを仕留め、武則天は褒美をねだって別れを告げた。シェヘラザードは最後に少し笑い、少年のフェルグスも冒険は楽しかったと言い残して去る。
シェヘラザードは、見苦しいものに今回の自分の死を与えたくないと言った(この場面を読む)。死を恐れる心は変わらないまま、死に方だけは自分で選んだと分かる。
ラピュタは推進力を失って崩れ、残骸はチベット高原の無人の地に落ちた。生きていたエレナが聖杯を積んだ円盤で現れ、レジスタンスと囚われていた男たちを地上へ降ろす。結びの場面では、大人のフェルグスが廊下で鍛錬を見せつけ、シェヘラザードは彼を避けて通る。
得たもの/失ったもの
フェルグスマスター
フェルグス
武則天
エレナ
アストルフォ
エレナ
マシュ
ダ・ヴィンチ
フェルグス
シェヘラザード
コロンブス
武則天
ホームズ
ヘラクレス
ペンテシレイア
ドレイク
コロンブス
フェルグス
武則天
フェルグス歪みを被せられた3騎は、地底で倒れるか、別れを告げて去った。エレナだけは生きて一行の前に戻り、男たちを地上へ運んだ。彼女にも歪みがあったかどうかは、ダ・ヴィンチにも分からないままである。
魔神柱はまだ残っている。ホームズは事件の記録に、時間神殿を離れた魔神柱は四体で、生き残りがいると書いた。新宿と同じく物語に関わる事件だったとも記している。
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- マシュ・キリエライト / レオナルド・ダ・ヴィンチ / シャーロック・ホームズ
前後の章。
- 前章: 亜種特異点Ⅰ 悪性隔絶魔境 新宿
- 次章: 亜種並行世界 屍山血河舞台 下総国
出典: ゲーム内シナリオ全文コンコーダンス(tools/data/concordance/lines.jsonl、war 202 の本編スクリプト 0200020110〜0200021660)。冒頭のブリーフィング(スクリプト 0200020010)は /story 再生データが無いため、本文中でリンクを張っていない。
