亜種特異点Ⅳ 禁忌降臨庭園 セイレム
- 時代
- 1692年 / 現代の北米に再現された魔女裁判の年
- 舞台
- マサチューセッツ州セイレム。半径7キロの暗闇の内側の村
- 脅威
- カーターの肉体を奪った魔神柱ラウムと、アビゲイルに降りる神
- 聖杯
- 回収なし。罪人の魂は偽りの聖杯に赦しを託したとラウムは語る
発生タイムライン
- 到着以前
- 1692年4月21日
- 4月21日の夜
- 滞在2日目
- 2日目の夜
- 滞在3日目
- 3日目の深夜
- 滞在4日目の朝
- 滞在4日目
- 4日目の夜
- 滞在5日目の朝
- 6日目・4月29日
- 滞在7日目
- 7日目の夜
- 滞在8日目
- 8日目
- 8日目
- 最終滞在日
この章について
七つの聖杯の探索を終えたカルデアに、北米から警報が届いた。マサチューセッツ州のセイレム市を中心に、半径7キロメートルが魔術の暗闇に覆われている。五万人の住人の消息は途絶え、送り込んだ機械も使い魔も戻らなかった。唯一帰還したからくり人形のスケッチには、17世紀後半のセイレム村が写っていた。ダ・ヴィンチはこれを、地球上で観測される最後の魔神柱の特異点と判断する。魔術協会と国連は、この一回を最後にレイシフトを封印すると決めた。
潜入に使えるのは、往復一回きりで人数も限られる同時代のレイシフトだった。一行はシェイクスピアの案で旅の芝居一座に扮し、マスターを含む7名で村に入る。マシュは戦闘員でなく、一座のプロンプターとして加わった。サーヴァントはロビンフッドとサンソン、マタ・ハリと哪吒に、メディアを名乗る魔女を加えた五騎である。出発の直後、カルデアに残っていたメディアが、同行したのは自分ではないと訴えた。
村の中のサーヴァントは霊体化できず、仮初めの肉体に押し込められている。一行自身が偽りの受肉と呼ぶ状態で、力は落ち、腹も減る。この地で死ねば霊基ごと消え、英霊の座にも還らない。一行の認識も村に入った時点で置き換えられ、事前に覚えた知識を目の前の村と結びつけられなかった。
セイレムを作ったのは、学者ランドルフ・カーターの肉体を奪った魔神柱ラウムである。ラウムは五万人の市民の魔力を吸い上げ、村の時間を十万五千倍の速さで進めた。村は作り直されては消費され、五つ目までが使い潰されている。目的はアビゲイル・ウィリアムズを痛みの巫女にして、セイレムの外へ連れ出すことにあった。
村では判事が魔女を裁き、一座の仲間も次々に絞首台へ送られる。決着は、シバの女王とキルケーが門を内側から塞ぎ、一行が神格をアビゲイルから引き離してついた。聖杯は回収されていない。現実のセイレムの五万人は衰弱しながらも生きて戻り、一行は最後のレイシフトでカルデアへ帰った。
章の流れ
旅の一座
一行は1692年4月21日の夜明け前、セイレム郊外の森に着いた。森でまじないをしていた村の娘たちが獣に襲われ、一行はこれを救う。娘たちの中心にいたアビゲイルの伯父、学者のカーターが一座を自宅に泊めた。その日の昼、サンソンとマタ・ハリは森の戦いを見ていたアルビノの少女と再会し、ラヴィニア・ウェイトリーという名を知る。
村は1692年の姿をしているが、村人は千六百人から千七百人ほどで、住民名簿にない顔が多い(この場面を読む)。波止場や倉庫も史実より早く建っている。史実の再現ではなく、外側だけを借りた村だと分かる。
その夜、一座は判事やカーターの前で聖書の一節を芝居にした。終演の直後、ボストンからの船でマシュー・ホプキンスが着き、州知事に任命された主任判事を名乗る。ホプキンスは呪いの人形を理由に、カーター家の召使いティテュバを拘留した。平穏に見えた村で、魔女の告発が始まった。介入しかけたマスターを、メディアを名乗る同行者は止めている。
吊られたティテュバ
滞在2日目、メディアはカーター邸を工房に変え、敷地の中でだけ霊体化できるようにした。村の誰もティテュバの顔立ちを言えないことにも気づき、神霊級の結界による認識の阻害を指摘する。サンソンによると、ホプキンスは英国で魔女狩り将軍と呼ばれた男で、3年で東イングランドの三百人を絞首刑にした。面会したホプキンスは、一座に今夜の芝居を命じた。メディアは夜逃げを防ぐ保険として地下牢へ送られる。
マシュが主役に立った喜劇は、村人に好評だった。だが公演のさなか、ティテュバと数人の囚人は“丘”へ連れ出され、絞首刑にされていた。ホプキンスは一座の興行を認め、マスターを陪審の一員に加える。
その夜メディアは、サーヴァントが霊体のまま肉体の制約を負っていると説明した(この場面を読む)。一行はセイレムを成り立たせる魔術の体系に取り込まれている。カルデアと通じないのも、死ねば霊基ごと消えるのも、そのためと分かる。
吊られた囚人たちは、死体のまま言葉を発してカーター邸を襲った。埋葬されたはずのティテュバも現れる。戦いを木陰から見ていたのは、ラヴィニアの祖父アブサラム・ウェイトリーだった。ロビンはこの夜、メディアに素性を問いただしている。
メディアの姿の魔女
3日目、同行者は牧師の前で魔女キルケーと名乗った。前夜の告白によると、ダ・ヴィンチの召喚試験で顕現したらしく、メディアの姿を借りて一行に紛れ込んだ。正体が知れないよう、カルデアとの通信を裏で妨げていたことも認める。キルケーはマスターと限られた契約を結び、ティテュバは偽名のサーヴァントだったと見立てた。
その日、一座は牧師の頼みで、子供たちに『西遊記』を演じた。前口上は、章末のクエスト「西遊記」に収めた劇と同じ文句で始まる(この場面を読む)。上演のさなか、ホプキンスはカーターと警官を連れ、アブサラムを裁判なしで連行した。サンソンは陪審による裁きを求めたが退けられ、壊れた絞首刑台を一人で建て直すよう命じられる。
連行の直前、アブサラムはカーターに言い残した。この牢獄の扉を開いたのは自分で、やって来たのは彼らだという(この場面を読む)。ウェイトリー家はセイレムの成り立ちに関わりながら、全容を握ってはいないと取れる。
サンソンの建てた刑台はそのまま使われ、アブサラムは“丘”に葬られた。その深夜、食屍鬼になったアブサラムが現れる。真相を聞き出そうとするサンソンの前で、カーターがとどめを刺した。祖父を失ったラヴィニアは父ノアの名も呼び、許さないと呟いている。
マタ・ハリの処刑
4日目の朝、カルデアとの通信が突然戻った。筆談でダ・ヴィンチは、キルケーの召喚に“シバ”が関わり、そのレンズが今も暴走していると伝える。一行の記憶は村に入った時点で改竄され、知識と目の前の情報を結びつけられなくなっていた(この場面を読む)。マシュとマタ・ハリが覚えた住民名簿が役に立たなかったのは、このためと分かる。
同じ朝、マシュはカーターと村外れへ向かったまま姿を消した。森のくぼみでは、男女の古い遺体と、わざと壊された六角形の祭壇が見つかる。女の遺体には銃の傷が、男の遺体には首の骨の折れた跡が残っていた。そばにあった十字架のペンダントを、アビゲイルは父の持ち物だと言う。
その日の簡易法廷で、ホプキンスはマタ・ハリに魔女として絞首刑を言い渡した。審理の合間には、マタ・ハリの生前の出来事が二つ入る。息子の毒死を夫に責められる場面と、フランス軍の法廷でスパイとして銃殺刑を言い渡される場面である。キルケーは処刑を止めず、マタ・ハリは唇の動きで、キルケーを信じてと伝える。刑の直後にカーター邸が燃え、食屍鬼が刑場を襲った。サンソンはホプキンスたちを守るため、一行と別れて刑場に残る。
追い詰められた一行を救ったのは、ティテュバの姿をしたキャスターだった。マスターと有償の仮契約を結び、森の隠れ家の結界でシバの女王と名乗る。そこには行方の知れなかったマシュがいた。マタ・ハリもキルケーの仮死薬で起き上がり、刑を生き延びていた。
速く流れる時間
5日目の朝、マシュは、結界の内側から見るとセイレムの時間が加速していると報告した。森で迷ったマシュを救ったシバの女王は、対価なしに召喚され、ティテュバの役を押しつけられていたと語る。キルケーは、女王自身として呼ばれるはずの召喚が失敗し、自分はその予備だったと推した。
その日マシュは、結界の中で事前に覚えた名簿の記憶を取り戻した(この場面を読む)。アビゲイル・ウィリアムズは史実の魔女裁判の最重要人物の一人で、ランドルフ・カーターの名は名簿にない。カーター邸では思い出そうとするだけで記憶が霞んだので、誘導はカーターの近くほど強かったと取れる。
ラヴィニアは、マーシュ船長の船で一緒に村を出ようとアビゲイルを誘い、断られた。別れたあと、ラヴィニアはウェイトリーの務めを果たすと誓い、呪文めいた言葉を唱える。ホプキンスのそばに残ったサンソンは、自分が元は処刑人だったと明かした。ホプキンスは、この地に自分がいることに違和感を覚えると認めている。サンソンは内心で、村の処刑を、刑台の血で杯を満たす聖杯戦争になぞらえた。カルデアを招いたのは魔神柱ではない、とも考えている。
ホプキンスはさらに、ラヴィニアが魔道書を持ち込んで自白したと告げた。自分ともう一人で悪魔を呼ぶ儀式をしたといい、ホプキンスはそのもう一人をアビゲイルと名指す。その夜アビゲイルは高熱でうなされ、村は亡霊に襲われる。カーターはマサチューセッツ軍の騎兵隊を連れ、銀の弾丸を携えて戻る。マシュとは村の出口までの約束だったと話した。
判事の死
6日目の朝、前夜の暴動の首謀者として、一座に味方した港の水夫らが吊られたと伝わった。ロビンは、直接手を出すほど事態が悪くなる異端の土地だと見る。敵が用意した芝居の筋に乗りながら、出し抜くしかないという(この場面を読む)。ロビンは、絞首刑そのものを避けられない決まりと捉えていると取れる。
その日、アビゲイルは秘密の場所で、ラヴィニアに教わった六つ星の儀式を行った。現れたホプキンスが拘束を告げた直後、ラヴィニアが割って入る。ナイフで判事の心臓を刺し、祖父の首を折った縄で締め上げた。サンソンは警官を倒してラヴィニアを逃がし、自分の罪だと言って捕らえられる。
その夜、マスターの前にメフィストフェレスが現れた。今日は4月29日で、明日はヴァルプルギスの夜だと告げる。到着は4月21日だったので、6日目の時点で暦は8日進んでいた。
サンソンの絞首
7日目は、朝になっても夜が明けなかった。法廷でサンソンは、警護の失敗とラヴィニアの逃亡を助けたことを認める。カーターは、一座が死刑囚ティテュバを森にかくまっていると証言した。判事はサンソンを“丘”へ送り、サンソンはキルケーの仮死薬を受け取らずに刑を受け入れる。マスターは令呪を使おうとしたが、ロビンが腕を押さえて止めた。
ロビンは、サンソンが自棄でなくカルデアの任務のために刑台に立ったと言う。刑台に立つのはマスターだったかもしれない、とも続けた(この場面を読む)。誰かが吊られなければ進まない筋書きを、サンソンが引き受けたと取れる。
その直後、アビゲイルは自分が魔女だと名乗り出た。石を投げられた末に強い魔力を放ち、マシュは霊基の解放に似ていると驚く。キルケーが抑え込み、マスターとキルケー、アビゲイルが捕らえられた。
夜、地下牢を訪れたカーターに、マスターは魔神柱だろうと言い当てた。カーターはそれを認め、自分たちの目的は人類の救済だと語る。アビゲイルを痛みの巫女にしてセイレムの外へ連れ出すため、生と死の巡りを加速し、カルデアを再び招いたという。同じ夜、マシュとロビンは逃亡中のラヴィニアを見つけた。ウェイトリー家は魔神柱に運ばれた六度目の客で、一行とホプキンスは七度目の客だと彼女は話す。
魔神柱ラウム
8日目の法廷で、キルケーは死刑相当と判じられた。アビゲイルが魔女だと自白すると、カーターが審理を仕切り、彼女の罪状を挙げていく。一つ目は、最初のセイレムで起きた両親の死だった。銃の暴発と馬車の転倒が原因で、引き金は幼いアビゲイルの行いだったとカーターは言う。アビゲイルは、父の首に手綱が絡んでいたと答えた(この場面を読む)。森で見つかった男女の遺体の傷は、この証言と合うと取れる。
罪状は“シバ”の干渉、時間の加速の鈍り、アビゲイルが親友を望んだことへと続いた。そこへラヴィニアが出廷し、霊体を物質化させる粉をカーターに浴びせる。現れたシバの女王が、その正体を魔神柱ラウムと名指した。村人はいっせいに食屍鬼の姿を見せ、昼は人、夜は食屍鬼として村に囚われていたと分かる。ラウムは、魔女狩りに加担した罪人の魂をセイレムに招いたと明かした。
最も重要な告発として、ラウムはアビゲイルの無垢を挙げた(この場面を読む)。善悪の隔てなく赦す信仰のせいで、罪人は罰されも赦されもせず煉獄に留まったという。ラウムを信じたのも、その無垢ゆえだと続ける。ラウムは裁きの相手であるアビゲイルを、最後まで姪として守ろうとしたと取れる。
ラウムはかつて、魔神ゼパルに計画を話していた。魔術協会の伝承科が預かる伝承と迷信を重ね合わせ、迷信の街を作るという(この場面を読む)。外の宇宙から来る降臨者の手で人類を終わらせる案を、ゼパルは一万四千年前に失敗した解答だと退けた。
ラウムは魔神柱の姿になり、姪を護ると言って戦う。通信が戻ると、大陸規模で魔力が消耗していると報告が入った。ダ・ヴィンチは、外から多重の結界でセイレムを封じると決める。倒れかけたラウムの頭部はカラスに変わり、その場でラヴィニアが倒れる。ラウムが踏み潰された直後、アビゲイルの様子が一変した。キルケーは、もう人ではなくなったと言う。
銀の鍵
神を降ろしたアビゲイルは、あらゆる時空に通じる門を開き、すべての人に苦痛を届けようとした。マスターの罪悪感がセイレムを求めたと責められ、マスターは自分が七度目の最後の客なのかと揺らぐ。ロビンは、座長にあるのは救えなかった人々への責務だと言い返した。アビゲイルが外の結界まで破ると、シバの女王とキルケーは戦いを離れ、公会堂の内側に結界を張って門を塞ぐ。一行を縛っていたセイレムの負荷が消え、最後の戦いで神格はアビゲイルから抜けた。
ラヴィニアは、キルケーの薬で一時だけ意識を取り戻した。ウェイトリー家は魔神柱にこの世界へ連れて来られたと明かす(この場面を読む)。自分の家は、書物の中だけの作り物だったという。ウェイトリー家もまた、セイレムのために持ち込まれた役柄だったと分かる。ラヴィニアはアビゲイルと友達でいられたかを確かめ、そのまま息を引き取った。
最終滞在日、封鎖の結界は段階的に解かれ、セイレムは崩れ始めた。シバの女王によると、現実のセイレムの五万人は衰弱しているが命に別状はない。そこへカーターの肉体の持ち主が、時空を旅する紳士と名乗って現れる。紳士はアビゲイルを生ける“銀の鍵”と呼び、二つの道を示した(この場面を読む)。力を封じて望む時代へ行くか、紳士と時空の深淵へ旅立つかである。
キルケーたちは、アビゲイルを偽りのセイレムが生んだ擬似サーヴァントと見ていた。村が崩れれば、彼女も失われるという。アビゲイルは紳士との旅を選び、一人ひとりに別れを告げた。去る前に、絞首刑の直前のサンソンの記憶だけを、カルデアのサンソンに渡せないかと尋ねる。紳士は、不可能とは言い難いが遙か将来の話だと答えた。一行は最後のレイシフトでカルデアへ戻る。
得たもの/失ったもの
マシュマスター
シバの女王
サンソン
アビゲイル
マタ・ハリ
キルケー
ダ・ヴィンチ
サンソン
キルケー
シバの女王帰還の翌朝、絞首刑で死んだサンソンは、前ぶれもなくカルデアに再召喚されていた。記憶はレイシフトの前で途切れ、セイレムで起きたことを知らない(この場面を読む)。サンソンは一座がセイレムで演じた芝居の台本を取り寄せ、マスターから直接話を聞くのを待つと言った。
同じ朝、メディアはキルケーを叔母と呼んだ。見習いの巫女だった頃は教えを敬わなかったが、後になって思い出すことがあり、礼くらいは伝えたかったと話す。キルケーは別れ際、メディアには自分から謝っておいてくれと言い残していた。
関連
用語集の該当ページ。
- 亜種特異点 / 魔神柱 / ゲーティア / シバ(近未来観測レンズ)
- 受肉 / 霊体化 / 英霊の座 / 令呪
- フォーリナー / 邪神 / 反英霊 / 錬金術
- 結界 / 魔術協会 / 聖杯
- カルデア / レイシフト / 英霊召喚
中心人物。
- アビゲイル・ウィリアムズ / マシュ・キリエライト / ロビンフッド
- シャルル=アンリ・サンソン / マタ・ハリ / 哪吒
- キルケー / シバの女王 / メディア
- レオナルド・ダ・ヴィンチ / ジェロニモ / トーマス・エジソン
- ウィリアム・シェイクスピア / ハンス・クリスチャン・アンデルセン / メフィストフェレス
前後の章。
- 前章: 亜種並行世界 屍山血河舞台 下総国
- 次章: 序/2017年 12月26日
出典: ゲーム内シナリオ全文コンコーダンス(tools/data/concordance/lines.jsonl、war 204 の本編スクリプト 0200040110〜0200041010、劇中劇「西遊記」の 0200041110〜0200041141)。冒頭のブリーフィング(スクリプト 0200040010)は /story 再生データが無いため、本文中でリンクを張っていない。




