異聞帯の王
この用語は何か
異聞帯の王とは、七つの異聞帯それぞれを統べる最上位の存在を指す、カルデア側からの呼称である。クリプターと混同されやすいが、両者は別物である。クリプターは異星の神に蘇生されて外から送り込まれた管理者であり、異聞帯の王はその世界に元から君臨していた主である。担当地区に空想樹を打ち込んで異聞帯を育てるのがクリプターの仕事で、その土地を何百年・何千年と統治してきたのが王のほうだ。
顔ぶれは神霊・皇帝・妖精女王とばらばらで、力の質も統一されていない。共通するのは二点である。ひとつは、自分の異聞帯で積み上がった数千年を疑問なく実在するものとして認識していること。もうひとつは、その世界を存続させている空想樹を、王自身は理解していないことである。異聞帯の存続には空想樹が必須だが、統治者から見れば空想樹は正体不明の異物でしかない——この齟齬が、王とクリプターの関係を最後まで不安定にする。異星の神の陣営はクリプターとは別に王専属の監視役を置いており、王が信頼された配下でないことは体制の側も認めている。
カルデアにとって王は当初「異聞帯ごと打倒すべき最終目標」だった。この前提は章が進むごとに崩れる。交渉相手として設定された王が現れ、担当クリプターと決裂して味方に回る王が現れ、最後には自分の異聞帯を自分で終わらせる王まで現れる。
七人の王
| 異聞帯 | 王 | 作中での位置づけ | 帰結 |
|---|---|---|---|
| ロシア(永久凍土帝国 アナスタシア) | イヴァン雷帝 | 荒々しい型。隣の異聞帯からは「ロシアの王」と名指しで比較される | 撃破され、ロシアの空想樹を伐採される |
| 北欧(無間氷焔世紀 ゲッテルデメルング) | スカサハ=スカディ | 神代より実在し続けている神。気質からカルデアに賛同する危険があると首魁に警戒されていた | 撃破。のちカルデアのサーヴァントとして召喚される |
| 中国(人智統合真国 シン) | 始皇帝 | 「人の手に余る人」。知恵で動く型で、担当クリプターより明確に格上 | クリプター側の手を離れ、最終的にカルデアと共闘する |
| インド(創世滅亡輪廻 ユガ・クシェートラ) | アルジュナ〔オルタ〕 | 担当クリプターを見限り、そのサーヴァントを取り上げた | 撃破 |
| 大西洋(アトランティス/星間都市山脈 オリュンポス) | [[ゼウス]] | 全能の神。機神としての本体を有したままの神 | 撃破。空想樹を許容していた理由は最後まで明かされない |
| ブリテン(妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ) | モルガン | 妖精國を2000年支配した女王。自分の異聞帯の空想樹を焼いた | 撃破。のち別個体がカルデアの戦力として召喚される |
| 南米(黄金樹海紀行 ナウイ・ミクトラン) | ククルカン | ミクトランの太陽。表向きの統治はテスカトリポカに代理させていた | 一度も戦わないまま、自ら異聞帯を終わらせる |
章別解説
Lostbelt No.1 永久凍土帝国 アナスタシア
語が最初に置かれるのは、クリプターの遠隔会議である。キリシュタリア・ヴォーダイムが自分のサーヴァントカイニスを各異聞帯へ派遣すると告げ、機嫌を損ねれば異聞帯の王ごと消されかねないと警告する。担当クリプターだけでなく、その世界の王までまとめて処分対象になりうる——王がこの体制のなかで持つ地位の低さが、初出の一言で示される。
これに答える[[オフェリア]]の物言いも、王を戦力として品定めするものである。自分の担当する北欧の王はロシアの王より穏やかだが力は神霊に劣らない、と彼女は言う。王は世界の主でありながら、クリプターにとっては担当地区の資産として評価される。
- 〔intro.1〕キリシュタリア —「彼の機嫌を損ねれば、 異聞帯(ロストベルト)の王ごと消されかねないぞ?」 / オフェリア —「こちらの異聞帯の王は、 確かにロシアの王よりおとなしい方です。」「ですが、その力は神霊にも引けを取りません。」 (この場面を読む)
→ 章別解説: Lostbelt No.1 永久凍土帝国 アナスタシア
Lostbelt No.3 人智統合真国 シン
王が担当クリプターの制御下にないことが、はじめて明文化される章である。彷徨海でシオンがここまでの経緯を整理し、倒してきたイヴァン雷帝とスカサハ=スカディを遡って「異聞帯の王」と呼び直す。以後、この語がカルデアの作戦用語として定着する。
- 〔intro.3-4〕シオン —「皆さんは状況把握に努めながら、 ロシアを統べる異聞帯の王・イヴァン雷帝と対決。」「皆さんは無事ペーパームーンを奪還。 異聞帯の王・スカサハ=スカディと対決し……」 (この場面を読む)
同じ章の冒頭で、キリシュタリアは北欧の敗北について釈明する。スカサハ=スカディはその気質からカルデアに賛同する危険があったため、炎の巨人スルトを保険として残すよう助言した、というのである。異聞帯の王は自動的にカルデアの敵ではない。むしろ寝返る可能性のある不安要素として、クリプターの側が事前に手を打っていた。
- 〔intro.3-3〕キリシュタリア —「北欧異聞帯の王、スカサハ=スカディは その気質からカルデアに賛同する危険があった。」「その時の保険として使うといい、と提案したのだが……」 (この場面を読む)
中国異聞帯では、その懸念が現実になる。コヤンスカヤは王を二種類に分ける——他の異聞帯の王は「人の手に余る怪物」だが、始皇帝は「人の手に余る人」である。存在そのものが恐ろしい怪物型と違い、知恵を持つ王は行動が読めない。そして彼女は、このままでは異聞帯がクリプター側の手を離れ、空想樹すら伐採されかねないと警告する。実際に始皇帝は担当クリプターの[[芥ヒナコ]]を信用しておらず、その内心はコヤンスカヤにも見透かされている。
- 〔千里を駆ける〕コヤンスカヤ —「この異聞帯の王は強(したた)かです。 他の異聞帯の王は純粋に“人の手に余る怪物”ですが、」「あの始皇帝は“人の手に余る人”。 力任せの怪物は“その存在”自体が怖ろしいですが、」「このままではこの異聞帯、 クリプター側の手を離れますわよ?」 (この場面を読む)
- 〔永世帝国〕コヤンスカヤ —「まあ、異聞帯の王ですし?)」 (この場面を読む)
→ 章別解説: Lostbelt No.3 人智統合真国 シン
Lostbelt No.4 創世滅亡輪廻 ユガ・クシェートラ
インド異聞帯では、王とクリプターの決裂が最も一方的な形で起きる。担当の[[ペペロンチーノ]]はサーヴァントを王に取り上げられ、マスターですらない状態に落とされる。それでも彼は撤退せず、見限ったのは王であって異聞帯そのものではないと言って現地に留まる。王と異聞帯は同一物ではない、という切り分けがここで初めて口にされる。
→ 章別解説: Lostbelt No.4 創世滅亡輪廻 ユガ・クシェートラ
Lostbelt No.5 神代巨神海洋 アトランティス / 星間都市山脈 オリュンポス
王という存在の設計がまとめて開示される二章である。大西洋異聞帯の王は自ら名乗りを上げる。ゼウスは「大西洋異聞帯の王」を称号として口にし、以後この語は敵味方の共通語になる。
- 〔星間都市山脈オリュンポス〕(地の文) —「『 大西洋異聞帯の王 』」 (この場面を読む)
彷徨海の人工知能による解説が、王の格を規定する。ゼウスは全能の神であり、しかも機神としての本体を有したままの神で、北欧のスカサハ=スカディと同じく神代から実在し続けている。さらに彼は、空想樹が世界の統治者と深く結びついているため、破神作戦ではゼウス以外の神を相手にする必要すらない、と断じる。王を落とせば異聞帯は落ちるという攻略の原理が、ここで定式化される。
- 〔汝、星を鋤く豊穣(Ⅱ)〕人工知能 —「異聞帯の王はゼウス、全能の神。 当然ながら機神としての本体を有したままの神だ。」「北欧異聞帯のスカサハ=スカディと同じく、 神代より実在し続けている神である。」 (この場面を読む)
- 〔汝、星を鋤く豊穣(Ⅲ)〕人工知能 —「世界の統治者、という視点から、 空想樹は異聞帯の王と深く結びつく。」「つまり我らの破神作戦に於いて、極論すれば ゼウス以外の神々を相手にする必要はないのだよ。」 (この場面を読む)
一方でカドック・ゼムルプスは、その結びつきが協調ではなく矛盾であることを指摘する。異聞帯の存続に空想樹は必須だが、統治する側から見れば空想樹は「よく分からないもの」であり、邪魔でしかない。それをゼウスが黙認しているのは、キリシュタリアと内々の取引があったからだろう——そこまでは読めても、二人の最終目的が見えない、と彼は言う。王が空想樹を許容する理由は、この章では最後まで説明されない。
- 〔汝、星を鋤く豊穣(Ⅱ)〕カドック —「『異聞帯』の存続には空想樹が必須だ。 だが、『異聞帯の王』にとって空想樹は……」「邪魔なんだ。異聞帯を統べる者にとって、 空想樹は『よく分からないもの』だからな。」 (この場面を読む)
体制側が王をどう扱っているかも、この章で露呈する。千子村正は、異星の神がクリプターと王の双方に別々の監視役を付けていることを明かす。クリプター担当がラスプーチン、王担当が蘆屋道満(リンボ)である。そのリンボ本人は、前回の「無垢なる王」と違って今回の王は用心深く気難しく、自分の手には余る神格だと投げ出す。王は御しやすい駒ではなく、扱いに個体差がある。
- 〔いずれ等しき魂たちよ(Ⅳ)〕千子村正 —「おう。クリプターの監視役であるラスプーチン、 異聞帯の王の監視役である蘆(あし)……いや、リンボ。」 (この場面を読む)
- 〔我、星を裂く雷霆(Ⅲ)〕リンボ —「前回の無垢なる王とは違い、 此処の異聞帯の王は実に用心深く気難しい御方にて!」 (この場面を読む)
そして最も設定に踏み込むのが、カドックが閲覧するオフェリアの通信記録である。北欧の王スカサハ=スカディは、ラグナロク後の数千年など本来ありえないと自覚しながら、その数千年を実際にあったものとして疑問なく認識していた。異聞帯が汎人類史から切り捨てられたものだと理解したうえで、なお矛盾なく生きている——王とは、異聞帯の「空白」を内側から成立させている存在でもある。
- 〔我、星を裂く雷霆(Ⅰ)〕通信記録 —「先日――― 我が北欧異聞帯の王(ス カ サ ハ = ス カ デ ィ)が回答らしき言葉を口にしました。」「彼女は、さしたる疑問なく、 異聞帯に於ける数千年間の出来事を認識しています。」 (この場面を読む)
なお王の力は絶対視されていない。アトランティスでダ・ヴィンチは、惑星を直列させて隕石を落としたキリシュタリアを見て、この異聞帯の王より絶大な力を持つ人間の頂点だと結論する。逆に章の末尾では、ベリル・ガットがキリシュタリア亡き後の勢力図を数え上げ、いま地球で最強なのは自分の担当するブリテンの王だと言ってのける。王は「一番強いもの」の指標として計られる立場に置かれている。
- 〔流星の如く煌めかん〕ダ・ヴィンチ —「キリシュタリア・ヴォーダイム。 彼はこの異聞帯の王より絶大な力を持つ、人間の頂点だと。」 (この場面を読む)
- 〔降臨〕ベリル —「今この惑星(ほし)で一番強いヤツは、 うちの異聞帯の王サマって話にならないかい?」 (この場面を読む)
→ 章別解説: Lostbelt No.5 神代巨神海洋 アトランティス / Lostbelt No.5 星間都市山脈 オリュンポス
Lostbelt No.6 妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ
打倒目標から交渉相手へ、王の扱いが公式に変わる章である。ブリテン行きの動機からしてそれまでと違う。オリュンポスまで届いたロンゴミニアドを放ったのはブリテンの王であり、しかもその王は自分の異聞帯の存続に必要な空想樹を焼いてしまった。この二点が示すのは、ブリテンの王が異星の神の計画の枠外で動いているということである。ホームズはロンゴミニアドの確保を最優先に据え、王との交渉を今回の目的だと言い切る。大陸間弾道ミサイル同然のものを撃ってくる相手と取引するのか、と[[ゴルドルフ]]が呆れる。
- 〔序〕ホームズ —「オリュンポスの空想樹に向けて 攻撃をした『異聞帯の王』がいる。」「しかもこの『異聞帯の王』は異聞帯存続に必要な 空想樹を燃やしさえした。」「何より重要なのはロンゴミニアドの確保。 異聞帯の王との交渉が、今回の目的だ。」 / ゴルドルフ —「異聞帯の王と交渉……つまり取引かね!? あんな、大陸間弾道ミサイルを撃ってくる相手と!?」 (この場面を読む)
現地に降りると、この語が外来の呼び名でしかないことも分かる。妖精王オベロンはモルガンを説明したあと、「君たち風に言うと」と前置きしてこの語を使う。妖精國の側に「異聞帯の王」という概念はない。
- 〔ソールズベリー〕オベロン —「まあ、君たち風に言うと『異聞帯の王』? ってヤツだと思うよ?」 (この場面を読む)
異星の神の側もブリテンの王を持て余していた。千子村正が明かす任務は、ブリテンに侵入して異聞帯の王を始末してこいという直接的な命令である。予定にない成長を続ける異聞帯とその王は、体制にとって既に不良資産だった。村正は玉座まで攻め込みながら、空から飛来した何かに吹き飛ばされて失敗している。
- 〔グロスター(Ⅰ)〕千子村正 —「『ブリテン異聞帯に侵入して、 異聞帯の王を始末してこい』ってな。」 (この場面を読む)
カルデア側の王の同定は二転三転する。2000年にわたり妖精國を支配してきた女王なのだから王はモルガン以外にありえない——ダ・ヴィンチはそう断じ、ゴルドルフも作戦記録にそう書く。しかし後にベリルが「モルガンのマスター」を自称したことで、王がサーヴァントなのかという矛盾が浮かび、認識が崩れる。決着は過去の側から与えられる。オークニーの回想で、救世主トネリコが自らの真名をモルガンと明かし、遙かな未来でカルデアが倒すべき異聞帯の王の名だと告げる。王が自分で自分を「倒されるべき王」と予告する、この章だけの構図である。
- 〔序〕ゴルドルフ —「妖精國を2000年に亘(わた)り支配する女王、 この異聞帯の王、モルガン。」 (この場面を読む)
- 〔アルビオン〕(地の文) —「はじめは、異聞帯の王がモルガンだと考えた」 / ダ・ヴィンチ —「うん。2000年も妖精國を支配しているというのなら、 それは異聞帯の王に他ならないからね。」 (この場面を読む)
- 〔オークニー〕トネリコ —「遙かな未来において。 貴方たちカルデアが倒すべき、異聞帯の王の名です。」 (この場面を読む)
決着の場面で、モルガンは自分を過去の王たちと同列に置く。多くの異聞帯を切除してきたおまえたちに敗れた王と同じく、自分も限界を迎えた——王とは倒される役割であるという自己規定が、当の王の口から出る。
- 〔モルガン〕モルガン —「おまえたちに敗れた異聞帯の王同様、 私も、自らの限界を迎えたか。」 (この場面を読む)
そしてこの章では、語が強さの単位に転用される場面も現れる。ダ・ヴィンチはアルトリア・キャスターの出力を評して「異聞帯の王レベル」と言う。王がひとつの等級として通じるほど、カルデア側の語彙に定着したということでもある。章の終わりでゴルドルフが「でも異聞帯の王は、ほらさ?」と勝利を口にしかけると、ホームズは事件は何も解決していないと遮る。王の打倒は異聞帯の解決ではない。
- 〔決戦前夜(Ⅱ)〕ダ・ヴィンチ —「だってここだけの話、今のアルトリア、 本気でヤバいよ? 異聞帯の王レベルだよ?」 (この場面を読む)
- 〔幕間〕ゴルドルフ —「そうなの? でも異聞帯の王は、ほらさ?」 / ホームズ —「事件は何も解決していないのですよ、新所長。」 (この場面を読む)
→ 章別解説: Lostbelt No.6 妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ
Lostbelt No.7 黄金樹海紀行 ナウイ・ミクトラン
この語の前提が全部ひっくり返る章である。まず、王には代理が立てられる。恐竜王として君臨していたテスカトリポカは、密談の場で「ディノスの王としてではなく異聞帯の王として話を聞く」と言いながら、直後に自分は**『異聞帯の王』の代理**にすぎないと訂正する。一年前に「殺されたくなければ代わりにチチェン・イツァーを治めろ」と脅されて請け負っただけの立場だという。
- 〔燃えろ炎のストライカー〕恐竜王 —「ディノスの王としてじゃなく、異聞帯の王として おまえたちの話を聞いてやる。」「正確には違う。『異聞帯の王』の代理だ。」「『殺されたくなければ 自分の代わりにチチェン・イツァーを治めろ』」「1年前、そう脅迫されてな。 他にやる事もないんで請け負った。」 (この場面を読む)
本物の王ククルカンが現れると、マシュは困惑する。異聞帯の王でありながら、その代理を務めていたテスカトリポカと敵対しているからである。ククルカンにとってはそれが当然で、あの人間を放置すればミクトランが滅びるから抹殺しに来た、という理屈である。王の行動原理は汎人類史への敵意ではなく、自分の世界の保全であることが、ここで示される。
- 〔ORTの日〕マシュ —「異聞帯の王なのに、 貴女はテスカトリポカ神と敵対している……?」 (この場面を読む)
とはいえ彼女は明確に敵でもあった。ストーム・ボーダーを撃沈しネモに重傷を負わせた犯人はククルカンであり、ダ・ヴィンチはそれを推測どおりだったと確認する。同時にダ・ヴィンチは、最終的に異聞帯の王は敵になるという前提を口にしたうえで、彼女の性格を知っていると悲しい、と付け加える。カルデア側の教訓と、目の前の王の実像が食い違い始める。
- 〔第三冥界ソソアウワキ〕ダ・ヴィンチ —「異聞帯の王である、ククルカンの仕業だった!」 (この場面を読む)
- 〔第四冥界ヤヤウキ〕ダ・ヴィンチ —「最終的に異聞帯の王は敵になる、と 分かってはいた事だけど……」「彼女のおおらかな性格を知っていると、悲しいね。」 (この場面を読む)
カドックが伝聞として口にする評価が、この王のいちばん正確な定義になっている。ククルカンは異聞帯の王でミクトランを守るのが使命だが、だからといって無闇に外敵を憎む者ではない。星詠みの[[テペウ]]も、王として何を選ぶかは読めないが汎人類史を全滅させることだけはないと保証する。
- 〔ORT〕カドック —「『ククルカンは異聞帯の王で、 ミクトランを守る事が使命だ』」「『でも、だからといって無闇に 外敵を憎むようなヒトじゃない』」 (この場面を読む)
- 〔惑星を統べるもの〕テペウ —「冗談です。異聞帯の王として彼女が 何を選ぶかは分かりませんが、」「まあ、汎人類史の皆さんを全滅させる、 という事だけはないでしょう。」 (この場面を読む)
決着は、王が自分の太陽を爆発させ、ミクトランの空想樹もろとも異聞帯を消すという形で来た。コヤンスカヤは異聞帯の王が異聞帯を終わらせるという解答に商売の立場を失い、マシュは味方率100パーセントだったと総括する。七人の王のうち、最後の一人だけがカルデアと一度も戦わずに終わる。
- 〔惑星を統べるもの〕コヤンスカヤ —「はあ。異聞帯の王が異聞帯を終わらせるとは。 そこまで潔(いさぎよ)い解答をされては、私(わたくし)も立場がありません。」 / マシュ —「驚きの味方率100パーセント、 ずっと頼りになる異聞帯の王でした!」 (この場面を読む)
→ 章別解説: Lostbelt No.7 黄金樹海紀行 ナウイ・ミクトラン
終章
滅んだ異聞帯の王が、汎人類史の側の戦力として最終決戦に加わる。西側の空想樹を焼き払うと申し出たククルカンを見て、コヤンスカヤは抜けているようで異聞帯の王だけはあると評する。かつて「最終的に敵になる」と前提されていた存在が、そのまま味方として数えられている。
- 〔クエーサー・ジェネシス〕コヤンスカヤ —「抜けているようで異聞帯の王だけはありますねぇ。 あの方だけでここ、充分なんじゃないかな?」 (この場面を読む)
→ 章別解説: 終章
幕間の物語
倒された王がカルデアのサーヴァントになった後の呼称が、ここで固まる。ナポレオンはスカサハ=スカディに向かってかつての北欧異聞帯の王と呼びかけ、過去の立場を前提にしたうえで正面から話をしようとする。肩書きは失効しても消えはしない。
- 〔夢のあとさき〕ナポレオン —「腹を割って話をしたくなったのさ! かつての北欧異聞帯の王、スカサハ=スカディ!」 (この場面を読む)
もう一件は、王が異聞帯の外側に手を伸ばしていた例である。ホームズは、ある特異点を配置した黒幕が異聞帯の王であった始皇帝だと推理する。剪定事象の側にいた王が、まだ健在だった時期に汎人類史へ干渉していたという構図で、王の活動範囲が自分の異聞帯に閉じていない例外になる。
- 〔裁定者の憂鬱〕ホームズ —「異聞帯の王であった始皇帝こそが、 あの特異点を配置した黒幕……」 (この場面を読む)
→ 章別解説: 幕間の物語
非霊長生存圏 ツングースカ・サンクチュアリ / 永久常夏祭壇 ルルハワ ver.2.0
倒された王のその後には、二通りの扱いが描かれる。ツングースカでカルデアが遭遇するのはイヴァン雷帝の再現体で、マシュはそれを異聞帯の王を「兵器」として加えていたと言い表す。王という格が、そのまま戦力の部品として流用されている。
- 〔第5節 たおやかなる狂える命に〕マシュ —「ロシア異聞帯で、彼女は異聞帯の王を 『兵器』として加えていたんですね……。」 (この場面を読む)
もう一方の扱いが、英霊としての正規召喚である。水妃モルガンは自分を人理が回復するまでの間の戦力として呼びつけられた異聞帯の王と規定し、そのうえで自分に近しい存在——異聞帯の妖精騎士たち——も同じように召喚されうる、と説明する。王であったという経歴が、汎人類史側の召喚基準に例外を作っている。
- 〔エピローグ 夏は続く〕水妃モルガン —「私は人理が回復するまでの間、戦力として こちらに呼びつけられた異聞帯の王。」「その私に近しいものは、同じようにこちらに 召喚される可能性がある。」 (この場面を読む)
→ 章別解説: 非霊長生存圏 ツングースカ・サンクチュアリ / 永久常夏祭壇 ルルハワ ver.2.0
読み取れる設定
- 定義(確定): 各異聞帯を統べる最上位の存在。カルデア側の呼称であり、現地の住人には通じない(オベロン「君たち風に言うと『異聞帯の王』?」)。
- 空想樹との関係(確定): 異聞帯の存続に空想樹は必須だが、王にとって空想樹は「よく分からないもの」であり邪魔である。したがって王が空想樹を許容しているのは、担当クリプターとの取引の結果である(カドック、オリュンポス)。
- 攻略上の原理(確定): 世界の統治者という視点から空想樹は王と深く結びつくため、王を落とせば異聞帯は落ちる(人工知能、オリュンポス)。
- 監視体制(確定): 異星の神はクリプターと王のそれぞれに別の監視役を置いていた。クリプター担当がラスプーチン、王担当がリンボである。
- 二つの型(確定): 交渉不能な「人の手に余る怪物」と、知恵で動く「人の手に余る人」。後者は担当クリプターの制御を離れる(コヤンスカヤ、シン)。
- 認識の特性(確定): 王は自分の異聞帯で積み上がった数千年を、ありえないと自覚しながらも疑問なく実在するものとして認識している(オフェリアの通信記録、オリュンポス)。
- 処分可能性(確定): クリプター側の都合で王ごと消される可能性が最初から想定されており(キリシュタリア、アナスタシア)、異星の神は実際にブリテンの王の暗殺を命じている(千子村正、アヴァロン・ル・フェ)。
- 代理(確定): 王の座は代理に委任できる。ミクトランではテスカトリポカが脅迫を受けて代理を務めていた。
- 敗北後(確定): 敗れた王は再現体として「兵器」に転用されることもあれば、人理回復までの戦力として正規に召喚されることもある。
揺れ・矛盾
- 「最終的に敵になる」という前提が守られない: ダ・ヴィンチはミクトランで「最終的に異聞帯の王は敵になる」と述べるが、同じ章でマシュは「驚きの味方率100パーセント、」と総括する。始皇帝は担当クリプターと決裂し、スカサハ=スカディは初めからカルデアに賛同する危険を警戒されていた。**王が汎人類史を否定する動機として作中で一貫して示されるのは思想ではなく、自分の世界を守るという立場だけである。**思想的にカルデアと敵対したと明言される王はいない。
- 打倒目標か交渉相手か: 第一〜第五異聞帯まで作戦目標は王の打倒だったが、アヴァロン・ル・フェではホームズが「異聞帯の王との交渉が、今回の目的だ。」と宣言する。以後、王を一律の討伐対象と見なす前提は戻らない。
- 称号の相対性: アヴァロン・ル・フェではダ・ヴィンチが「異聞帯の王レベルだよ?」と、王を強さの単位として比喩的に使う。ベリルも「一番強いヤツ」の候補として王を挙げており、固有の地位というより等級として扱われる場面がある。
- 別名の不在: 別名として登録されている「ロストベルトの王」は全シナリオ中に用例が 0件。作中の呼称は一貫して「異聞帯の王」であり、ルビとして「ア ル ジ ュ ナ」「ス カ サ ハ = ス カ デ ィ」のように個体名を当てる形で運用される。
- 代理は王か: テスカトリポカは「異聞帯の王として」名乗ったうえで「正確には違う。『異聞帯の王』の代理だ。」と訂正する。代理が王を名乗れてしまうため、この称号が地位を指すのか役割を指すのかは確定しない。
関連
- 異聞帯 — 王が統べる世界そのもの。七つの異聞帯が何を手放していたかはこちら
- クリプター — 外から異聞帯を育てた七人。王とは別物
- 異星の神 — クリプターと王の双方に監視役を付けた側
- 空想樹 — 王にとっての「よく分からないもの」 (この場面を読む)
- 汎人類史 / 人理
- コヤンスカヤ — 王を二つの型に分類した第三者
- 権能 / 神霊 / 神代
- ロストベルト(異聞帯) — 設定側の総論
- モルガン(キャラクターロア)
- シャドウ・ボーダー / ストーム・ボーダー
引用元の人物
- レオナルド・ダ・ヴィンチ — 本ページ引用の中心となる話者
- シャーロック・ホームズ / マシュ・キリエライト
- カドック・ゼムルプス / キリシュタリア・ヴォーダイム
- 千子村正 / 蘆屋道満
言及の多い章
- Lostbelt No.6 妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ — 実質 19 件
- Lostbelt No.7 黄金樹海紀行 ナウイ・ミクトラン — 実質 14 件
- Lostbelt No.5 星間都市山脈 オリュンポス — 実質 9 件
- Lostbelt No.3 人智統合真国 シン — 実質 5 件
分類: 勢力・敵 / 別名・表記ゆれ: ロストベルトの王
FGO全シナリオ(151章・110万行)を全文走査した結果、この語(および別名)を含む台詞は 71件(同一章内の重複台詞を除いた実数 57件)、11章にわたる。 本ページには 全件 を掲載する。
付録: 原文引用アーカイブ
原文引用アーカイブ(機械収集・56 本)— 本文で扱わなかった言及もここに残してある
章の並び順は war ID 順(メインストーリー → 幕間 → イベント → バレンタイン)。引用は演出タグ除去後の表示テキストそのままで、原文の改行位置ごとに鉤括弧で区切っている。
Lostbelt No.1 永久凍土帝国 アナスタシア
- オフェリア —「こちらの異聞帯の王は、」「確かにロシアの王よりおとなしい方です。」
Lostbelt No.3 人智統合真国 シン
- キリシュタリア —「北欧異聞帯の王、スカサハ=スカディは」「その気質からカルデアに賛同する危険があった。」
- シオン —「皆さんは状況把握に努めながら、」「ロシアを統べる異聞帯の王・イヴァン雷帝と対決。」
- シオン —「皆さんは無事ペーパームーンを奪還。」「異聞帯の王・スカサハ=スカディと対決し……」
- コヤンスカヤ —「(やはり芥ちゃんも私(わたくし)も未だに信用度ゼロですか。」「 まあ、異聞帯の王ですし?)」
- コヤンスカヤ —「この異聞帯の王は強(したた)かです。」「他の異聞帯の王は純粋に“人の手に余る怪物”ですが、」
Lostbelt No.4 創世滅亡輪廻 ユガ・クシェートラ
- (地の文) —「ロシア異聞帯の王、イヴァン雷帝を撃破し、」「ロシアの空想樹を伐採。」
- ペペロンチーノ —「見限ったのは異聞帯の王(ア ル ジ ュ ナ)であって、」「この異聞帯(ロストベルト)そのものでもなし。」
Lostbelt No.5 神代巨神海洋 アトランティス
- ペペロンチーノ —「私ったら異聞帯の王とケンカしちゃっただけでなく、」「自分のサーヴァントに捨てられて、」
- ダ・ヴィンチ —「キリシュタリア・ヴォーダイム。」「彼はこの異聞帯の王より絶大な力を持つ、人間の頂点だと。」
Lostbelt No.5 星間都市山脈 オリュンポス
- (地の文) —「『 大西洋異聞帯の王 』」
- 人工知能 —「異聞帯の王はゼウス、全能の神。」「当然ながら機神としての本体を有したままの神だ。」
- カドック —「『異聞帯』の存続には空想樹が必須だ。」「だが、『異聞帯の王』にとって空想樹は……」
- 人工知能 —「世界の統治者、という視点から、」「空想樹は異聞帯の王と深く結びつく。」
- 千子村正 —「おう。クリプターの監視役であるラスプーチン、」「異聞帯の王の監視役である蘆(あし)……いや、リンボ。」
- 通信記録 —「先日―――」「我が北欧異聞帯の王(ス カ サ ハ = ス カ デ ィ)が回答らしき言葉を口にしました。」
- リンボ —「前回の無垢なる王とは違い、」「此処の異聞帯の王は実に用心深く気難しい御方にて!」
- リンボ —「全能たる神、大西洋異聞帯の王!」
- ベリル —「今この惑星(ほし)で一番強いヤツは、」「うちの異聞帯の王サマって話にならないかい?」
Lostbelt No.6 妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ
- ホームズ —「オリュンポスの空想樹に向けて」「攻撃をした『異聞帯の王』がいる。」「しかもこの『異聞帯の王』は異聞帯存続に必要な」「空想樹を燃やしさえした。」
- ホームズ —「ブリテン異聞帯の王がロンゴミニアドを」「扱うのなら、この力を調査・解明したい。」
- ホームズ —「何より重要なのはロンゴミニアドの確保。」「異聞帯の王との交渉が、今回の目的だ。」
- ゴルドルフ —「異聞帯の王と交渉……つまり取引かね!?」「あんな、大陸間弾道ミサイルを撃ってくる相手と!?」
- ホームズ —「では、我々の侵入に『異聞帯の王』は」「気づいていないのかな?」
- ゴルドルフ —「その際に可能であれば『異聞帯の王』と」「接触し、ロンゴミニアドを手に入れる。」
- オベロン —「まあ、君たち風に言うと『異聞帯の王』?」「ってヤツだと思うよ?」
- (地の文) —「……異聞帯の王に会う必要はある」
- (地の文) —「じゃあやっぱり、モルガンが異聞帯の王?」
- 千子村正 —「『ブリテン異聞帯に侵入して、」「 異聞帯の王を始末してこい』ってな。」
- ゴルドルフ —「妖精國を2000年に亘(わた)り支配する女王、」「この異聞帯の王、モルガン。」
- ゴルドルフ —「女王モルガン。これまでの異聞帯の王に引けを」「取らない、恐るべき強敵と言わざるをえまい。」
- (地の文) —「はじめは、異聞帯の王がモルガンだと考えた」
- ダ・ヴィンチ —「うん。2000年も妖精國を支配しているというのなら、」「それは異聞帯の王に他ならないからね。」
- トネリコ —「遙かな未来において。」「貴方たちカルデアが倒すべき、異聞帯の王の名です。」
- ダ・ヴィンチ —「だってここだけの話、今のアルトリア、」「本気でヤバいよ? 異聞帯の王レベルだよ?」
- モルガン —「おまえたちに敗れた異聞帯の王同様、」「私も、自らの限界を迎えたか。」
- ゴルドルフ —「そうなの?」「でも異聞帯の王は、ほらさ?」
Lostbelt No.7 黄金樹海紀行 ナウイ・ミクトラン
- ネモ・マリーン —「途中で何度襲われたか思い出せないくらいだし。」「もしかして、異聞帯の王の手下、とか?」
- 恐竜王 —「ディノスの王としてじゃなく、異聞帯の王として」「おまえたちの話を聞いてやる。」
- (地の文) —「本当に、『異聞帯の王』なのか?」
- 恐竜王 —「正確には違う。『異聞帯の王』の代理だ。」
- マシュ —「異聞帯の王なのに、」「貴女はテスカトリポカ神と敵対している……?」
- キングプロテア・オルタ —「ずっる……!」「異聞帯の王ってコトじゃない!」
- (地の文) —「異聞帯の王、ククルカンは」
- ダ・ヴィンチ —「異聞帯の王である、ククルカンの仕業だった!」
- ダ・ヴィンチ —「最終的に異聞帯の王は敵になる、と」「分かってはいた事だけど……」
- カドック —「『ククルカンは異聞帯の王で、」「 ミクトランを守る事が使命だ』」
- テペウ —「冗談です。異聞帯の王として彼女が」「何を選ぶかは分かりませんが、」
- コヤンスカヤ —「はあ。異聞帯の王が異聞帯を終わらせるとは。」「そこまで潔(いさぎよ)い解答をされては、私(わたくし)も立場がありません。」
- マシュ —「驚きの味方率100パーセント、」「ずっと頼りになる異聞帯の王でした!」
- ククルカン —「『ククルカンは異聞帯の王で、」「 ミクトランを守る事が使命だ』(キリッ)」
終章
- コヤンスカヤ —「抜けているようで異聞帯の王だけはありますねぇ。」「あの方だけでここ、充分なんじゃないかな?」
幕間の物語
- ナポレオン —「腹を割って話をしたくなったのさ!」「かつての北欧異聞帯の王、スカサハ=スカディ!」
- ホームズ —「異聞帯の王であった始皇帝こそが、」「あの特異点を配置した黒幕……」
非霊長生存圏 ツングースカ・サンクチュアリ
- マシュ —「ロシア異聞帯で、彼女は異聞帯の王を」「『兵器』として加えていたんですね……。」
永久常夏祭壇 ルルハワ ver.2.0
- 水妃モルガン —「私は人理が回復するまでの間、戦力として」「こちらに呼びつけられた異聞帯の王。」