起源
この用語は何か
起源とは、ある存在の根本を規定し、その行動を一生涯にわたって方向づける属性のことである。「その人がどういう人間か」ではなく「その人が何をせずにいられないか」を一語で言い当てるものとして扱われる。
ただし FGO 本編において、起源は用語として説明されたことが一度もない。既知の概念として台詞に現れるだけで、定義を述べる場面がない。そのうえコンコーダンス上のヒット(重複除去後 30 件・21 章)の大半は「サンタクロースの起源」「バレンタインの起源」「マヤ文明の起源」といった由来・発祥を指す日常語であり、魔術用語としての用例は数えるほどしかない。件数からこの語の重要度は測れない。
その少数の用例が集中しているのが宮本武蔵をめぐる一連の話で、そこでは起源が剣士の到達点と、生涯の宿敵を決める軸として使われる。
章別解説
亜種並行世界 屍山血河舞台 下総国
起源の対比が物語の結末そのものになる章である。下総国での戦いを終えた宮本武蔵は、自分の旅を振り返りながら最後の一騎打ちを「私とは真逆の起源を持つ相手、 無限の剣を振るう恐るべき侍との一騎打ち!」と呼ぶ。相手は佐々木小次郎である。
なぜ「真逆」なのかは、決戦の地の文が正面から説明している。武蔵の剣は零——幾万幾億の選択肢をすべて検証し、潰し、無意味と押し止めて、ただ一つの正解に辿り着く「有限」の剣であり、神仏であろうと避けられぬ結末を確定させる。対する小次郎の燕返しは無限——本来なら時間のある空間では一つしか実行できない斬撃を同時に成立させ、多くの正解を創り出す剣であり、神仏であろうと躱せぬ未来を編み出す。一点に収束する道と、無数へ拡散する道。二人がぶつかる場は「無限と零が交差する不可能地帯」と描写される。
武蔵はこの一戦に勝ち、そして自分が空の座——零へ至ったと悟る。起源が正反対の相手と斬り結ぶことが、自分の起源を極めきる条件になっているという構図が、ここで完成する。
- 〔最終歌 屍山血河舞台・厭離穢土(急)〕(地の文) —「かたや無二を超えようとする零の剣。 それはいわば“ただ一つの正解”を目指す道。」「無限と零が交差する不可能地帯。」 (この場面を読む)
- 〔───天元の花、またいつの日か〕(地の文) —「私とは真逆の起源を持つ相手、 無限の剣を振るう恐るべき侍との一騎打ち!」 (この場面を読む)
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カルデアゲート(宮本武蔵 幕間の物語)
起源という語がもっとも術語らしく使われる場面である。武蔵の幕間で討ち取られた鬼が、死に際に彼女の行く末を予言する。曰く、武蔵より優れた剣士はいくらでもいる。だが最高の敵とはそういうものではない——おぬしが目指す道、おぬしの起源と真逆の道を極めた者こそが、剣者にとっての最高の敵である、と。そのうえで鬼は、それは叶わぬと断じる。武蔵は天眼の剣士、一を超える零を目指した剣士であり、これと相克する道とは即ち無限。無限に辿り着いた剣士など存在しない——だからおぬしの旅は決して終わらない。
この予言は下総国で覆される。しかしここで重要なのは、起源が「目指す道」と同一視されていることと、起源が反転した相手は世界に一人しかいないと想定されていることである。起源は個人を規定するだけでなく、その個人の一生の対戦相手までを規定する軸として語られている。
- 〔『漂流者』〕鬼 —「おぬしが目指す道。おぬしの『起源』と真逆の道を 極めた者こそが、剣者にとっての最高の敵である。」「天眼の剣士。一を超える零を目指した剣士。 これと相克する道とは、即ち無限。」 (この場面を読む)
→ 章別解説: カルデアゲート
第五特異点 北米神話大戦 イ・プルーリバス・ウナム
起源が日常会話の中で軽く持ち出される例である。メイヴが消滅し聖杯を託された直後、クー・フーリン・オルタは去った女を思い返して呟く——寄り道がすぎるのはオレの起源かね、いい女には縁がない、早々に別れちまう、と。説明は一切ない。だが自分の行動癖を「起源」という一語に帰する言い方そのものが、この語が自明の語彙であることを示している。同種の使い方は完結南瓜惑星ハロウィンプラネットのキングエリザにもあり、彼女はかつて自分の分体だった相手を「アナタの起源があるとしたら、 『チョロい』でしょうね。」と揶揄する。冗談として成立する程度には、起源という概念が共有されているわけである。
- 〔北米神話大戦 急〕クー・フーリン・オルタ —「――寄り道がすぎるのはオレの起源かね。 いい女には縁がない。早々に別れちまう。」 (この場面を読む)
- 〔第十節 『パーフェクト・エリザベート!』〕キングエリザ —「アナタの起源があるとしたら、 『チョロい』でしょうね。」 (この場面を読む)
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蒼輝銀河番組 セイバーウォーズ4.8
起源が個体同一性の判定基準として使われる、やや異質な用例である。追い詰められたアシュタレト・オリジンは、自分と同一のはずのもう一人の『私』——イシュタル・アシュタレトとのあいだに差がついたことを認められず、その根拠を並べる。「同じ霊基、同じ概念、同じ起源。 たとえ理念が違うものになろうと、性能は変わらない。」——掲げる理念が変わっても、起源が同じである限り性能は変わらないという主張であり、起源が霊基・概念と並ぶ深い層の指標として扱われていることが分かる。なおこの主張自体は、直後に覆される。
同じく「出自」の意味に寄った用例として、虞美人がメイオールを「我が起源、最後の扶桑樹(ふそうじゅ)の残骸(なれはて)」と呼ぶ場面、カズラドロップがアルターエゴとしての自分の**発生起源(ルーツ)**がBBにあると認める場面がある。いずれも行動を規定する属性というより、派生元を指している。
- 〔プリミティヴ・レッドローズ〕アシュタレト・オリジン —「同じ霊基、同じ概念、同じ起源。 たとえ理念が違うものになろうと、性能は変わらない。」 (この場面を読む)
- 〔プロローグ〕カズラドロップ —「認めたくはないながらも、アルターエゴとしての 私の発生起源(ル ー ツ)がBBにあるのは否定できません。」 (この場面を読む)
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本編で語られない部分
FGO 本編は「起源とは何か」を一度も説明しない。 上に挙げた用例はすべて、起源という概念が既に共有されている前提で口にされたものである。起源がいつ・どのようにして決まるのか、本人が自覚できるものなのか、変えられるものなのか、魔術師以外にも起源があるのかは、収集した全ヒットの中に答えがない。本ページの別名として登録されている「起源覚醒」に至っては、本文中に用例そのものが確認できない。
したがって本ページで言えるのは、起源が個人の行動を規定する属性であり、正反対の起源が存在しうる軸であり、霊基や概念と並ぶ同一性の指標として扱われている——という三点までである。それ以上は作中で語られていない。
読み取れる設定
- 起源は個人の行動を規定する。クー・フーリン・オルタ/鬼/キングエリザの用例。起源に逆らう道を極めた者が最大の敵になるという構図が示される(鬼)。
- 起源は対比可能な軸である。下総国の地の文「私とは真逆の起源を持つ相手、」——同じ軸上で正反対の起源が存在しうる。
- 霊基・概念と並ぶ同一性の指標。アシュタレト・オリジン「同じ霊基、同じ概念、同じ起源。たとえ理念が違うものになろうと、性能は変わらない。」——起源が同じなら性能は同じという原則が述べられる。
- 神霊・種族にも起源がある。虞美人「さあメイオール、我が起源、最後の扶桑樹(ふそうじゅ)の残骸(なれはて)よ!」
- 「発生起源(ルーツ)」というルビ表記がある。カズラドロップ「科学技術の極致であるAIという存在の発生起源(ル ー ツ)は人類そのものになります。」
- 都市・集団にも起源がある。XX・オルタ「それは自分たちの起源、大切な街の記憶のはず。」
- 一般語としては伝承・文化の由来を指す。ナイチンゲール・サンタ「……サンタクロースの起源を遡れば、聖ニコラウスである、という説は定番ですが。」、マルタ「バレンタインの起源についてはご存知ですか? ウァレンティヌスの殉教に端を発するものですが……」、ホームズ「コンピュータウイルスに『トロイの木馬』という種類があるのは、この伝説が起源だね。」、マシュ「元来はインドのマハーカーラ神を起源とするはず……。」
- 魔術世界の地域史を語る枠組みにも使われる。ダ・ヴィンチ「魔術世界における中南米の起源とは? そこから導き出される第七異聞帯の成り立ちとは?」
- 【推測】源為朝「淡き月光を放ち、我が嚆矢(こうし)は起源へと還る。」のような宝具詠唱での用法から、起源は〈還るべき原点〉としても観念されていると読める。
揺れ・矛盾
- 魔術用語としての「起源」の定義が本文で説明されない。クー・フーリン・オルタや鬼の用例は、起源という概念が既知であることを前提に語られる。〈起源とは何か〉を説明する台詞は収集した全ヒット中に存在しない。別名として登録されている「起源覚醒」に至っては、本文中に用例が確認できない。
- 一般語との混在が著しい。全 21 章のヒットのうち、魔術用語としての起源は数例にとどまり、大半は「〜の起源」という由来を語る一般用法である。ヒット数を根拠に「起源」概念の重要度を測ってはならない。
- 「起源」と「霊基」「概念」の関係。アシュタレト・オリジンは三者を並列するが、包含関係や優先順位は語られない。【推測】
- アルターエゴの「発生起源(ルーツ)」は魔術用語の起源とは別物と読むのが自然だが、同じ表記が使われているため混同しやすい。カズラドロップの用例は〈出自・派生元〉の意味であり、行動を規定する属性としての起源とは異なる。
関連
- 魔術師 — 起源を語る側の職能。
- 魔術刻印 / 封印指定 / 魔術世界の秘匿 — 魔術師という職能に付随する制度・属性。
- 根源 — 魔術師が目指す到達点。起源とは別概念。
- 霊基 / 霊基属性 — 起源と並置される同一性の指標。
- アルターエゴ — 「発生起源(ルーツ)」が語られる存在。
- 魔眼 / 錬金術 — 同じく一代・一族に紐づく魔術的属性。
- 手書き総論: 魔術理論
- 用語集: 世界とサーヴァントの用語
引用元の人物
- レオナルド・ダ・ヴィンチ — 本ページ引用 5 件の話者
言及の多い章
- カルデアゲート — この章に言及 3 件
- 第三特異点 封鎖終局四海 オケアノス — この章に言及 2 件
- Lostbelt No.5 神代巨神海洋 アトランティス — この章に言及 2 件
- Lostbelt No.7 黄金樹海紀行 ナウイ・ミクトラン — この章に言及 2 件
- 双六盤虫空間 ガリトラップハウス — この章に言及 2 件
- 第二特異点 永続狂気帝国 セプテム — この章に言及 1 件
- 第五特異点 北米神話大戦 イ・プルーリバス・ウナム — この章に言及 1 件
- 亜種並行世界 屍山血河舞台 下総国 — この章に言及 1 件
FGO全シナリオ(メインストーリー・イベント・幕間・バレンタイン、全151章 1,104,754行)を機械走査し、『起源』および別名表記を含む発話を全件収集したうえで構成している。引用はすべてゲーム内テキストの原文(演出タグを除去した表示テキスト)であり、要約・改変を行っていない。原文中の改行は半角スペースに置き換えて一行で示した。話者名の無い地の文・システム表示は「(地の文)」と表記する。編者の解釈のうち原文から確実に読み取れないものには 【推測】 を付す。
付録: 原文引用アーカイブ
原文引用アーカイブ(機械収集・30 本)— 本文で扱わなかった言及もここに残してある
全文コンコーダンス上のヒットは 47 行(同一台詞の分岐重複を統合すると 30 行/24 章)。本節にその 全 30 件 を掲載する。
第二特異点 永続狂気帝国 セプテム
- クー・フーリン —「オレが使ってる魔術は北欧起源のルーンだが、 ケルトの魔術師ってのは普通、ドルイドだからな。」
第三特異点 封鎖終局四海 オケアノス
- ダ・ヴィンチ —「ああ。きっちりと役割が決まっているコトから、 天使の起源では、とも言われているな。」
- Dr.ロマン —「うわっ、意外に博識だぞこの酔っ払い……! カルデアの起源を知ってるとか!」
第五特異点 北米神話大戦 イ・プルーリバス・ウナム
- クー・フーリン・オルタ —「――寄り道がすぎるのはオレの起源かね。 いい女には縁がない。早々に別れちまう。」
亜種並行世界 屍山血河舞台 下総国
- (地の文) —「私とは真逆の起源を持つ相手、 無限の剣を振るう恐るべき侍との一騎打ち!」
Lostbelt No.3 人智統合真国 シン
- 虞美人 —「さあメイオール、我が起源、最後の扶桑樹(ふそうじゅ)の残骸(なれはて)よ! その梢(こずえ)をもって人の世の未来を刺し貫け!」
Lostbelt No.5 神代巨神海洋 アトランティス
- ホームズ —「コンピュータウイルスに『トロイの木馬』という 種類があるのは、この伝説が起源だね。」
- (地の文) —「源流も、起源も、根底から 異なっている。」
Lostbelt No.7 黄金樹海紀行 ナウイ・ミクトラン
- ダ・ヴィンチ —「魔術世界における中南米の起源とは? そこから導き出される第七異聞帯の成り立ちとは?」
- ダ・ヴィンチ —「やがてマヤ文明の起源となる人々が生まれ、 この菌類に適応した人間が神官になり、王になり、」
クリスマス2019
- ナイチンゲール・サンタ —「……サンタクロースの起源を遡れば、 聖ニコラウスである、という説は定番ですが。」
カルデアゲート
- ダ・ヴィンチ —「ヴリトラは神とそういう契約を結んだエピソードがある。 同一視される悪魔ナムチの話が起源とも言われるけどね。」
- 鬼 —「おぬしが目指す道。おぬしの『起源』と真逆の道を 極めた者こそが、剣者にとっての最高の敵である。」
- ホームズ —「たとえばジークフリートは『5世紀頃を舞台とした』 古エッダが起源だが、その成立は8世紀以降であるはず。」
バレンタイン2021
- ダ・ヴィンチ —「アムールの起源は、 古代ギリシャの神話にある。」
秋葉原塔イベント
- アルテミス —「ロマンチックに言うと、愛の起源、 みたいな話になるのかな。」
南溟弓張八犬伝
- 源為朝 —「淡き月光を放ち、我が嚆矢(こうし)は起源へと還る。」
蒼輝銀河番組 セイバーウォーズ4.8
- アシュタレト・オリジン —「同じ霊基、同じ概念、同じ起源。 たとえ理念が違うものになろうと、性能は変わらない。」
連続活劇神話 ミシシッピ・ミササイザーズ
- マシュ —「大黒天さんは、今でこそ福の神として知られていますが、 元来はインドのマハーカーラ神を起源とするはず……。」
永久常夏祭壇 ルルハワ ver.2.0
- ミス・クレーン —「喜んで! そも、アイドルという存在の起源は―――」
幸福累計都市 ドバイ
- XX・オルタ —「それは自分たちの起源、大切な街の記憶のはず。」
双六盤虫空間 ガリトラップハウス
- カズラドロップ —「認めたくはないながらも、アルターエゴとしての 私の発生起源(ル ー ツ)がBBにあるのは否定できません。」
- カズラドロップ —「科学技術の極致であるAIという存在の 発生起源(ル ー ツ)は人類そのものになります。」
蛇竜這行大地ランドサーペント
- マシュ —「そうなのです。これが現在、物語やゲームなどでおなじみの 『ガーゴイル』の起源になったと言われているようです。」
完結南瓜惑星ハロウィンプラネット
- キングエリザ —「アナタの起源があるとしたら、 『チョロい』でしょうね。」
手作りクッキーと物体X
- マルタ —「バレンタインの起源についてはご存知ですか? ウァレンティヌスの殉教に端を発するものですが……」
いつか見た幻
- パラケルスス —「さらに起源を辿るならそうですね、 古代ローマに於ける豊穣を願う祭(ル ペ ル カ リ ア)や……」
ちよこちよこ蛸かいな
- 葛飾北斎 —「ああ、ああ。だ・ゔぃんち殿から聞いてるヨ。 いたりい起源の、浮ついた風習があるってナ。」
ふつうの友チョコ
- エリセ —「ああそっか。バレンタインの起源といえば、 聖ウァレンティヌスはローマの司祭だった……。」
キンキンに凍ったスポドリ
- ガレス —「その起源は古代の風習に始まり、 やがて聖ウァレンティヌスに紐付けられ……」