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ペーパームーン

分類: 技術・魔術 / 別名・関連表記: 虚数観測機/虚数羅針盤

この用語は何か

ペーパームーンとは、通常空間と虚数空間を同時に計測できる羅針盤である。アトラス院——正確にはエルトナム家に伝わっていた装置をシオン・エルトナムが改修し、『アトラスの契約書』に基づいてカルデアへ贈呈された**特級魔術礼装**にあたる。

機能そのものは、シオン自身が「極めてシンプル」と言い切る。計測誤差はあり得ず、劣悪環境でも故障しない。形があろうがなかろうが、実数の存在だろうが虚数の存在だろうが、あらゆるものをそのまま映し出す平面の月——それがこの装置の全部である。その絶対性ゆえに虚数空間でも使えるという、ただ一点の性能で成り立っている。

この一点が、第二部の物語の前提になる。シャドウ・ボーダーは虚数空間へ潜れても、どこへ浮上すべきかを自力では知れない。ペーパームーンが目の役割を果たすからこそ虚数潜航が航海として成立する——ゆえにこれは、第二異聞帯で敵の最優先の奪取目標になった。

そして奏章Ⅰでは、装置の内側に世界が発生していたことが判明する。ミクロ領域に生じた聖杯に呼応してAIたちが自我を持ち、アルターエゴを製造するための聖杯戦争を回していた。外から見れば普通に動く羅針盤、内から見れば一個の世界——この二層性が、この語をただの装備品から独立した概念へ押し上げている(章としての筋書きは奏章Ⅰ 虚数羅針内界 ペーパームーンを参照)。

基本データ

項目内容
正体虚数観測機/虚数羅針盤。通常空間と虚数空間を同時に計測する平面の月
出自アトラス院(エルトナム家伝来の基幹部)。ズェピアが娘の8歳の誕生日に管理権を譲渡
改修・管理シオン・エルトナム。8歳から9歳の間にメンテナンスと機能拡張
カルデアでの位置づけ贈呈された特級魔術礼装シャドウ・ボーダーの虚数潜航に必須
主な用途浮上座標の選定/惑星航路図の収束/時間誤差の算定/サーヴァント同期適性の演算
弱点脱出術式が「浮上」の概念に依存する。概念的に封じられると使えない
作中での初出序/2017年 12月26日(第一回ゼロセイル)

章別解説

序/2017年 12月26日

カルデアが爆破され、シャドウ・ボーダーで逃れる以外に手がなくなった場面で、この装置は初めて呼び出される。ホームズダ・ヴィンチへ使用許可を求め、アナウンスが展開を告げる——虚数観測機・ペーパームーン。実行されるのは、カルデア初期に想定されながら危険性から廃止された事象干渉手段、虚数潜航(ゼロセイル)である。

  • 〔人類未踏の旅へ〕ホームズ —「ダ・ヴィンチ。 ペーパームーンの使用許可を。」 / アナウンス —「―――了解した。 虚数観測機(きょすうかんそくき)・ペーパームーン、展開。」 (この場面を読む

重要なのは、この装置はそれまでずっとカルデアにあったということである。後年ダ・ヴィンチは、腕に覚えのある技術者たちがさんざん調べようとしたが、ボーダーが出来るまで「凄すぎるけど使い道が見つからない」という扱いで放置されていた、と振り返っている。人理焼却編で一度も出番がなかったのは隠されていたからではなく、用途が発明されていなかったからである。

→ 章別解説: 序/2017年 12月26日

Lostbelt No.1 永久凍土帝国 アナスタシア

この装置が実際に何をするのかが実演される章である。虚数空間を漂流したまま備蓄が尽きかけたシャドウ・ボーダーにとって問題は「浮上できるか」ではなく「どこへ浮上するか」だった。ホームズはこの羅針盤が通常空間と虚数空間を同時に計測できることを挙げ、それを基に敵性反応のないエリアを探していたと説明する。虚数の側にいながら実数の側を見る——それがこの装置の本領である。

  • 〔獣たちの帝国〕ホームズ —「幸い、我々にはペーパームーンがある。 この羅針盤は通常空間と虚数空間を同時に計測できる。」 (この場面を読む

同じ計測から時間誤差も算出される。ダ・ヴィンチはこの波に乗れば地上との誤差は90日分ほどだと告げ、下手をすると次は百年後の波だったかもしれないと付け加える。虚数空間では距離が意味を持たず、座標と実在証明の計算に要した時間がそのまま距離になる——航海の勘定を成立させているのがペーパームーンだということが、ここで具体的な数字とともに示される。

  • 〔獣たちの帝国〕ダ・ヴィンチ —「ちなみに、ペーパームーンによると、この波に乗れば 地上との時間誤差は90日分ほどだ。」 (この場面を読む

浮上後、その画面が初めて読者に見せられる。平面化された世界地図であり、七個所だけ他とレイヤーの違う領域がある——異聞帯である。ホームズはこれを人理焼却の七つの特異点と対比し、あちらが時間軸に並んでいたのに対し、こちらは同じ現在の時間軸上に七つ浮かんでいるのだと整理する。第二部の全体図は、この装置の表示面として提示された。

  • 〔獣たちの帝国〕ダ・ヴィンチ —「というワケで、このペーパームーンに注目~!」 / マシュ —「これは……平面化された世界地図、ですね。」 (この場面を読む

さらにホームズは、浮上の際にペーパームーンが現在の地球の姿を映し出したと述べる。文明の痕跡どころか自然すらない平坦な惑星——白紙化した地球の姿を、カルデアはこの羅針盤越しに知った。一方でロシアを取り囲む「嵐の壁」だけは羅針盤に現れず、ダ・ヴィンチはそれを、異聞帯であるロシア領ですら地球の地形と判定するペーパームーンが除外している異物だ、と警戒する。この装置が映さないものが、そのまま脅威の指標になっている。

  • 〔マン・オブ・ザ・グレイ〕ホームズ —「だが、こちらに浮上する際、ペーパームーンには 確かに現在の地球の姿が映し出された。」 (この場面を読む

以後、ホームズは最優先事項をシャドウ・ボーダーおよびペーパームーンの防衛だと明言する。この宣言は、次章でそのまま現実になる。

  • 〔獣たちの帝国〕ホームズ —「もっとも専心するべき事はシャドウ・ボーダー、 およびペーパームーンの防衛にある。」 (この場面を読む

→ 章別解説: Lostbelt No.1 永久凍土帝国 アナスタシア

Lostbelt No.2 無間氷焔世紀 ゲッテルデメルング

この語がもっとも多く飛び交う章であり、その大半は「奪われた」「奪い返す」という文脈である。冒頭のブリーフィングでマシュは出自を整理する——アトラス院の技術提供で完成したのがカルデアスであり、そのとき贈呈された特級魔術礼装が虚数観測機・ペーパームーンである。

  • 〔intro.2-1〕マシュ —「贈呈(ぞうてい)された特級魔術礼装が 虚数観測機(きょすうかんそくき)・ペーパームーンとなります。」 (この場面を読む

北欧へ浮上した直後、シグルドが単身でボーダーに斬り込む。目的は搭乗員の殺害ではなく装置一点で、[[ゴルドルフ・ムジーク]]は差し出す以外の選択肢を持たなかった——しかも壊されないように柔らかい包装をして渡した、と後で弁明している。この判断は結果的に装置を守った。

  • 〔魔剣強襲(前編)〕ゴルドルフ —「ほら! これが貴様の探しているペーパームーンだ! 持っていけ!」 / マシュ —「……マスター。敵性サーヴァント、シグルドから ペーパームーンを奪還します!」 (この場面を読む

この装置の戦略的価値を最も正確に言い当てるのは、奪った側である。[[オフェリア・ファムルソローネ]]は受け取った現物を本物だと確認したうえで、シグルドに預けたまま誰にも渡すなと命じ、こう総括する——シャドウ・ボーダーは有り得ざる事象を引き起こす稀有な存在だが、ペーパームーンという「目」がなければ何もできない、彼らは最早、足をもがれたも同然だ、と。カルデアの旅を止めるには船を沈める必要はなく、羅針盤を抜けばよい。

  • 〔魔剣強襲(後編)〕オフェリア —「かつてのアトラス院の遺産、虚数観測機(きょすうかんそくき)・ペーパームーン。 指示通り、入手できましたか。」「ペーパームーンという“目”がなければ何もできない。 彼らは最早、足をもがれたも同然。」 (この場面を読む

カルデア側もこの評価に同意している。ゴルドルフは肝心のペーパームーンがなくては虚数潜航による移動が不可能なままだと訴え、その奪還はシグルドを誘い出すこと以前の最重要目標だと言い直す。作戦目的は「ペーパームーンの奪還・空想樹の切除・北海への手掛かりの発見」の三本立てになり、空想樹切除というミッションそのものが、装置を持ったシグルドを引きずり出すための餌として設定される

  • 〔ブリーフィング〕ゴルドルフ —「肝心のペーパームーンがなくては、 我々は虚数潜航による移動が不可能なままなのだ!」 (この場面を読む

ただしシグルドがなぜこれを欲しがったのかは、章の中で説明されない。ムニエルが素朴に問うと、ダ・ヴィンチは「足止めとか?」と答え、それなら皆殺しの方が早いと返されて「今は考えても予想にしかならない」と話を打ち切る。彼女が唯一具体的に警戒するのは、[[スルト]]が空想樹と再接続したうえでペーパームーンまで持っている状況——北欧を焼くだけでなく、さらに“外”へ向かって拡大する可能性である。

  • 〔万物の霊長(前編)〕ムニエル —「けど、虚数観測機であるペーパームーンを、 なんで奴(やっこ)さんは欲しがったりしたんですかね?」 / ダ・ヴィンチ —「んー、足止めとか?」 (この場面を読む
  • 〔此処に、ふたたびの黄昏を(中編)〕ダ・ヴィンチ —「その上、奴はペーパームーンを持っている――― 更に“外”へ向かって拡大する可能性だって高くなる!」 (この場面を読む

回収は決着の副産物として起きる。ダ・ヴィンチが頭部破壊に伴う落下物のなかに虚数羅針盤の存在を確認した、と報告する一行で、二章分にわたる奪還作戦は終わる。

  • 〔終末を告げる巨人(後編)〕ダ・ヴィンチ —「頭部破壊に伴う落下物の中に、 虚数羅針盤……ペーパームーンの存在も確認できた!」 (この場面を読む

→ 章別解説: Lostbelt No.2 無間氷焔世紀 ゲッテルデメルング

Lostbelt No.3 人智統合真国 シン

彷徨海で製作者本人が現れる章である。シオン・エルトナム・ソカリスは、カルデアが使っていたトリスメギストスと、さっきまで好き勝手に使っていたペーパームーンの製作者だと名乗る。そして両技術の関係を明かす——人間を特異点へ送る手段として、彼女はまずペーパームーンによる虚数潜航を提案していた。それに対してマリスビリーが、より確実な手段として肉体を霊子化して転送するレイシフト術式を逆提案してきたのだという。

  • 〔intro.3-2〕シオン —「人間を過去に、いえ、特異点に送る為の技術として、 私はペーパームーンによる虚数潜航を提供しましたが、」 (この場面を読む

つまりカルデアが第一部で使わなかった選択肢が、第二部で唯一の手段になったという構図である。虚数潜航は「慎重さに欠ける」として退けられた側の案であり、時計塔君主がアトラス院へ技術提供するという異例の取引の結果、レイシフトが採用された。シオンはまた、ペーパームーンを奪取されたという記録を見たときエルトナムにあるまじき奇声をあげた、とも述べている。

→ 章別解説: Lostbelt No.3 人智統合真国 シン

地獄界曼荼羅 平安京

羅針盤が演算装置として使われる数少ない例である。特異点へ同行できるサーヴァントを選ぶにあたり、ダ・ヴィンチはペーパームーンを接続して演算した結果、同期しやすい適性サーヴァントは皆無だと結論する。ところがシオンが同じ演算をやり直すと、一度目には出なかった結果が出た。彼女はそれを「何者かの意図を感じざるを得ない結果」と評し、さながら、こっちに来いと招いているかのようなと表現する。装置の出力そのものが、外部からの誘導を疑う材料になった場面である。

  • 〔寛弘五年、平安京〕ダ・ヴィンチ —「ペーパームーンを接続して演算した限りだと、 同期しやすい適性サーヴァントは皆無―――」 / シオン —「あ。じゃなくて、報告。 こちらはペーパームーンを点検中でしたが、」 (この場面を読む

→ 章別解説: 地獄界曼荼羅 平安京

奏章Ⅰ 虚数羅針内界 ペーパームーン

事件は機器の故障として始まる。カルデア職員が読み上げるのはマニュアルの一項目——不明な要因による虚数羅針盤ペーパームーンの性能低下・機能不全。呼び出されたシオンは首を傾げる。この装置はそうそう不調になるようなものではないからである。

  • 〔プロローグ〕カルデア職員C —「『不明な要因による虚数羅針盤ペーパームーンの  性能低下・機能不全』……ね。」 / シオン —「ええ。ペーパームーンは計測能力こそ 超抜級ですが、その機能は極めてシンプル。」 (この場面を読む

このときシオンが持ち出す比喩が、装置の性格をよく表している。一億個のピースでできた、白一色の無地のジグソーパズル。完成品として糊で固められ額に入っているので、見た目は『白一色のポスター』とほとんど変わらず、そのシンプルさゆえに崩れる可能性もほとんどない。しかし定義上それは一億ピースの集合体でしかなく、細部を触ろうとすればピースを一つずつ相手にするしかない——だから内部はブラックボックスだらけで、ダ・ヴィンチですら壊すのが怖くて開けられない。

異常の形も奇妙だった。入力が何もないのに、モニターに特異点反応らしき光が見えている。表示装置の錯覚か、さもなければペーパームーン自体から信号が出ているとしか考えられない——シオンがそう言い切った直後、光が膨れ上がり、一行は装置の内側へ落ちる。

  • 〔プロローグ〕カルデア職員B —「何度確認しても、 ペーパームーンへの入力情報、ありません。」 / シオン —「ペーパームーン自体から 何らかの信号が出ているとしか―――」 (この場面を読む

内界で最初に突きつけられるのは、管理者の権限がまったく通じないという事実である。シオンが名乗って管理権限を検索させると、統括AI[[ラニ=ⅩⅡ]]の返事はヒット0件。仮に管理者であったとしても判断要素を持たない、そうですかと言うだけだ、と突き放される。シオン自身がその理由を引き取る——**自分が管理していたのはペーパームーンという「装置」であって、この世界とAIは自然発生した「中身」**である。装置の設計者は、内側に生えたものの神ではない。

  • 〔聖杯戦争/your starlit〕シオン —「私はシオン・エルトナム・ソカリス。 このペーパームーンという装置を管理していた者です。」「……私が管理していたのは あくまでペーパームーンという『装置』であって、」 (この場面を読む

ラニ=ⅩⅡが説明する表向きの筋書きは、メンテナンスとしての聖杯戦争である。AI聖杯戦争(システム・グレイルウォー)はペーパームーン世界に異常が起きた際にそれを修正・安定化させるための機構であり、言わば世界の最適化(デフラグ)のために行われる大規模な回復儀式だという。五体のAIがマスターを務め、最後の一組が確定したとき、闘争で蓄えられたエネルギーを使って羅針盤を通常状態へ戻す。放置すれば負荷が上がり、二度と正常起動しなくなる可能性もある——だからカルデア側にも協力の動機が生まれる。

  • 〔聖杯戦争/your starlit〕ラニ=ⅩⅡ —「このペーパームーン世界に異常が起こった際、それを 修正し安定化させるためのものだと定義されています。」「システムはそれまでの闘争で蓄えられたエネルギーを 使って、ペーパームーンを通常状態へと戻す―――」 (この場面を読む

この説明が反転するのが章の折り返しである。ラニ=ⅩⅡは、ペーパームーンが動かなくなったのはこの儀式を始めたためだと認める。故障を直すための聖杯戦争ではなく、聖杯戦争を始めたせいで故障していたのである。しかも儀式が終われば装置は動く——ただし「今までとは違う形で」。シオンはそれを、今までとは別の形でペーパームーンを利用するための実験だと言い当てる。

  • 〔瞳の行く先/centrifuge〕ラニ=ⅩⅡ —「ペーパームーンが動かなくなったのは、 この儀式を始めたためです。」「これが終わればペーパームーンは動きます。 今までとは違う形で、ですが。」 (この場面を読む

実験の中身は、この装置の性能をそのまま転用したものだった。ラニ=ⅩⅡはこれを**「全てをそのまま写し取る」というペーパームーンの力と性質を利用し**、人為的にあるものを作り出す実験だと述べる。作られるのはアルターエゴ——本人の中にあった部分的な人格だけを独立して抜き出した存在であり、内界にいるマスターとサーヴァント全員がその産物である。手段は回転と遠心力で、世界を聖杯戦争の力で回し、そこで生じた概念的な遠心力で分離した魂の要素を押しつけ写し取る。シオンはこれを「魂の、遠心分離」と呼ぶ。あらゆるものをそのまま映す平面の月は、映したものを剥がして取り出す装置にもなる。

  • 〔瞳の行く先/centrifuge〕ラニ=ⅩⅡ —「これは『全てをそのまま写し取る』という ペーパームーンの力と性質を利用し、」「ペーパームーンによって表出させられた、 人工アルターエゴです。」 / シオン —「……ありえません。管理者として断言します。 ペーパームーンにそんな機能はありません。」 (この場面を読む

そんな機能はない、という管理者の断言は正しい。この機能は設計されたものではなく、内部に発生した聖杯から生えたものだからである。ラニ=ⅩⅡによれば、あるときペーパームーン内のミクロな領域に聖杯が発生し、それに呼応して彼女という存在が固定化された。彼女は聖杯の力で演算し、このままでは白紙化した地球は滅びる——単純に戦力が足りない——と結論した。無限にアルターエゴを製造して戦力に充てるという計画は、外の世界の滅亡を回避するために内側の世界が独自に立てた対策である。実際、マスターの一人は「かつてこのペーパームーンに 触れたことのある人間の要素を読み込み、」「そこから分離させたアルターエゴです。」(アルターエゴ・インポート)と明かされ、装置に触れた人間の情報がそのまま素材になっていたことが分かる。

  • 〔瞳の行く先/centrifuge〕ラニ=ⅩⅡ —「あるときペーパームーン内のミクロな領域に聖杯が発生。 それに呼応して私という存在が固定化されました。」 (この場面を読む
  • 〔殲滅女神/how to avoid destruction〕ラニ=ⅩⅡ —「これは現実に、かつてこのペーパームーンに 触れたことのある人間の要素を読み込み、」 (この場面を読む

決着後、ラニ=ⅩⅡはこの世界の位置づけを最後に言い直す。ここはミクロ領域に発生した聖杯の力によって概念的な形をとったペーパームーン内の世界であり、カルデアが聖杯を回収すればこの世界を観測する術は失われ、ごく普通にペーパームーンという装置として動くのが外側から見えるだけになる。カーマが途中で言った「仮想世界と言えど、世界は世界。」「概念的には区別がない、ってわけですね。」という指摘と合わせて、装置と世界のどちらが本体なのかは、観測する位置によってしか決まらないという結論になる。

  • 〔純粋である歪/Alter Ego〕ラニ=ⅩⅡ —「ここは、ミクロ領域に発生した聖杯の力によって 概念的な形をとったペーパームーン内の世界。」「ごく普通にペーパームーンという装置として動くのが 外側から見えるだけです。」 (この場面を読む

エピローグでシオンは管理者としての反省を述べる。今回の事件がオーディール・コールの一つであったのは明白だが、知らないうちにペーパームーン内に歪みが溜まっていたことに気づけなかった、と。彼女自身の見立てでは、一行が内界に巻き込まれた原因は、アルターエゴを発生させた最初の「回転」である。

  • 〔エピローグ〕シオン —「まさか知らないうちにペーパームーン内(あ  ん  な  と  こ  ろ)に 歪(ゆが)みが溜まっていたなんて。」「私たちがあのペーパームーン世界に巻き込まれた原因は、 アルターエゴを発生させた最初の回転。」 (この場面を読む

→ 章別解説: 奏章Ⅰ 虚数羅針内界 ペーパームーン

凹型虚数怪理 イマジナリ・トレンチ

この装置が効かなくなる条件が明示される唯一の章である。虚数空間で孤立したノーチラスに対し、ネモは実数空間へ浮上できないと告げる。故障のせいではない。今の虚数空間には深さの概念がない——ここは絶対の深遠で、深さの概念による観測を拒む。ゆえに、虚数空間からの脱出に「浮上」の概念を使うペーパームーンの術式が封じられている。この羅針盤は概念で動いており、したがって概念的な封鎖が効く。

  • 〔第一幕 不可知の暗礁(2/2)〕ネモ —「だから、虚数空間からの脱出に『浮上』の概念を使う ペーパームーンの術式が封じられてるってこと。」 (この場面を読む

事件の全容が判明したあと、スカサハ=スカディはこの状況の重さを総括する。北斎が虚数空間に邪神の神殿を描き上げていれば前哨基地が完成し、少なくとも我々はペーパームーンの破棄を覚悟せねばならなかった——そうなれば汎人類史の救済も夢と消えるところだった、と。異聞帯の王が、カルデアの羅針盤一つを人類存亡の条件として数えている場面である。

→ 章別解説: 凹型虚数怪理 イマジナリ・トレンチ

そのほかの章での運用

奪還後のペーパームーンは、航海の日常業務として画面の隅に出続ける。第五異聞帯ではネモが「ルートは測定できている。 ペーパームーンという羅針盤があるから。」と述べ、ダ・ヴィンチは原初母艦カオスまでの到達時間を「62時間×672試行回数」と算出する。第六異聞帯ではシオンが惑星地表の観測図として提示し、近未来観測レンズ・シバの予測結果と並べて使う——この装置は単独ではなく、他の観測系と組み合わせて読むものになっている。

  • 〔虚空〕ネモ —「―――ルートは測定できている。 ペーパームーンという羅針盤があるから。」 (この場面を読む
  • 〔intro.6-1〕シオン —「これはペーパームーンによる惑星地表の観測図と、 観測レンズ・シバによる予測結果です。」 (この場面を読む

過去へ遡る特殊な航海では、座標にピンを打つという使い方も見せる。クリスマス2023ネモサンタは、1日に1年分を移動し、成功次第ペーパームーンでその座標にピンを打って次回のスタート地点にする、という七日がかりの手順を説明する。羅針盤が航路図であると同時に記録媒体でもあることが分かる例である。

  • 〔DAY7〕ネモサンタ —「1日に1年分を移動し、成功次第、ペーパームーンで その座標にピンを打ち次回のスタート地点とする。」 (この場面を読む

そして日常のブリーフィングでは、異常がないことの確認として名前が挙がる。奏章プロローグとオーディール・コールでマシュは「ペーパームーンには異常が見られません」と報告し、特異点は発見されていないと続ける。この定型句があるからこそ、奏章Ⅰ冒頭の「不調」が異常事態として響く。

  • マシュ —「ペーパームーンには異常が見られません。 現在、特異点は発見されていないようですが……」 (この場面を読む

奏章Ⅳでダ・ヴィンチはオーディール・コールの経過を数え上げ、第一の試練(アルターエゴ)、ペーパームーンと呼ぶ。装置名がそのまま試練の名として台帳に載る形である。また終章直前、シオンは自分の経歴を語るなかでマリスビリーへの関心の薄さを認め、ペーパームーンを届けた時、彼とよく話していれば何かが変わったのかもと後悔を口にする。この装置は、カルデアという組織とアトラス院を結んだ最初の一点でもあった。

  • 〔審判の時へ〕ダ・ヴィンチ —「第一の試練(ア ル タ ー エ ゴ)、ペーパームーン。 第二の試練(ア ヴ ェ ン ジ ャ ー)、疑似東京。」 (この場面を読む
  • 〔終章_序〕シオン —「ペーパームーンを届けた時、彼とよく話していれば 何かが変わったのかも、と後悔している程度です。」 (この場面を読む

読み取れる設定

  • 正体=虚数観測機/虚数羅針盤。通常空間と虚数空間を同時計測できる(ホームズ)。
  • アトラス院の遺産。オフェリア「かつてのアトラス院の遺産、虚数観測機(きょすうかんそくき)・ペーパームーン。指示通り、入手できましたか。」、ホームズ「私がアトラス院で得たのはペーパームーンだけじゃない。」
  • 製作者はシオン・エルトナム。シオン「貴方たちが使っていたトリスメギストスや、さっきまで好き勝手使っていたペーパームーンの製作者。」/「人間を過去に、いえ、特異点に送る為の技術として、私はペーパームーンによる虚数潜航を提供しましたが、」
  • 虚数潜航の必須装備。ゴルドルフ/マシュ「ペーパームーンなくして我々の旅は継続できませんので、その奪還は分かるのですが……」
  • 異聞帯を「地球の地形」として観測する。ダ・ヴィンチ「異聞帯(ロストベルト)であるロシア領ですら『地球の地形』と判定し、観測しているペーパームーンが除外しているんだ。」
  • 航路計算と時間誤差の算定を行う。ダ・ヴィンチ「ちなみに、ペーパームーンによると、この波に乗れば地上との時間誤差は90日分ほどだ。」、アナウンス「ペーパームーン惑星航路図プラスマイナス収束開始。」
  • サーヴァント適性の演算にも使われる。ダ・ヴィンチ「ペーパームーンを接続して演算した限りだと、同期しやすい適性サーヴァントは皆無―――」
  • 他の観測機と併用される。シオン「これはペーパームーンによる惑星地表の観測図と、観測レンズ・シバによる予測結果です。」
  • 奪取対象になる。第二異聞帯でシグルドが奪い、オフェリアが「ペーパームーンという“目”がなければ何もできない。彼らは最早、足をもがれたも同然。」と戦略的価値を語る。
  • 内部に世界が発生した。ラニ=ⅩⅡ「あるときペーパームーン内のミクロな領域に聖杯が発生。それに呼応して私という存在が固定化されました。」/「ペーパームーンという虚数羅針盤の基本軸を再定義します。それこそがこの聖杯戦争のメカニズムです。」
  • 内部世界も「世界」として扱われるカーマ「ペーパームーン世界……仮想世界と言えど、世界は世界。概念的には区別がない、ってわけですね。」
  • 六種のAIが運営している。アーユス「このパーティションは、ペーパームーンを運営している六種のAIたちがそれぞれ集まる場所になっているわ。」
  • 「全てをそのまま写し取る」性質を持つ。ラニ=ⅩⅡ「これは『全てをそのまま写し取る』というペーパームーンの力と性質を利用し、」/「これは現実に、かつてこのペーパームーンに触れたことのある人間の要素を読み込み、」
  • 性能は「単純さ」に由来する。シオン「ペーパームーンは計測能力こそ超抜級ですが、その機能は極めてシンプル。」「計測誤差はあり得ないし、劣悪環境でも故障しない。」「その絶対性から、虚数空間ですら使える夢の羅針盤です。」(奏章Ⅰ)。
  • 内部はブラックボックス。設計・内部構造はアトラス院の「秘匿中の秘匿」であり、根本を弄れるのはシオンだけ。ダ・ヴィンチも壊すのが怖くて開けられないと述べる(奏章Ⅰ)。
  • カルデアでは長く死蔵されていた。ダ・ヴィンチ「結局、ボーダーが出来るまで、『凄すぎるけど使い道が見つからない』」(奏章Ⅰ)。初運用は序のゼロセイル。
  • 異物は映らない。ダ・ヴィンチ「なにより、ペーパームーンの羅針盤にも現れていない『異物』だ。」(LB1)——嵐の壁のように、この装置に映らないことが脅威の指標になる。
  • 【推測】ネモ「だから、虚数空間からの脱出に『浮上』の概念を使うペーパームーンの術式が封じられてるってこと。」から、ペーパームーンの脱出術式は「浮上」という概念に依存しており、概念的な封鎖が効くと読める。

揺れ・矛盾

  • 「装置」なのか「世界」なのかの二層構造。シオンは「私が管理していたのはあくまでペーパームーンという『装置』であって、」と装置性を強調するが、奏章Ⅰでは内部世界そのものがペーパームーンと呼ばれる。ラニ=ⅩⅡ「ごく普通にペーパームーンという装置として動くのが外側から見えるだけです。」が両者を接続するが、外から見た装置と内から見た世界のスケール関係は説明されない。【推測】
  • 停止と再稼働の経緯。ラニ=ⅩⅡ「ペーパームーンが動かなくなったのは、この儀式を始めたためです。」「これが終わればペーパームーンは動きます。今までとは違う形で、ですが。」——一方でシオンは「ペーパームーンという装置も壊れたままでいる。」と述べる。儀式完了後の状態が同一章内で食い違って読める
  • 入手経緯の説明者が異なる。ホームズは自身がアトラス院で得たと語り、シオンは自分が届けたと語る(「ペーパームーンを届けた時、彼とよく話していれば何かが変わったのかも、と後悔している程度です。」)。両者は矛盾しないが、公式な経緯として統合された説明は本文にない。【推測】
  • シグルドの動機が明かされない。第二異聞帯で装置を奪ったのはシグルドだが、なぜそうしたのかは作中で説明されない。ダ・ヴィンチの推測は「んー、足止めとか?」にとどまり、それなら皆殺しの方が早いと反論されて保留される。奪取の理由は最後まで空欄のままであり、以後の章でも埋められていない。
  • 「装置」と「世界」のスケール差。ラニ=ⅩⅡは内界を「ミクロ領域に発生した聖杯の力によって概念的な形をとった」ものと説明し、シオンも「ペーパームーン内(あ  ん  な  と  こ  ろ)に 歪(ゆが)みが溜まっていた」と述べるが、装置の内部にどうやって都市規模の世界が入るのかという物理的な説明は与えられない。カーマの「仮想世界と言えど、世界は世界。概念的には区別がない」が、事実上の唯一の答えになっている。

関連

用語集

引用元の人物

言及の多い章

引用と検証について

FGO全シナリオ(メインストーリー・イベント・幕間・バレンタイン、全151章 1,104,754行)を機械走査し、『ペーパームーン』および別名表記を含む発話を全件収集したうえで構成している。引用はすべてゲーム内テキストの原文(演出タグを除去した表示テキスト)であり、要約・改変を行っていない。原文中の改行は半角スペースに置き換えて一行で示した。話者名の無い地の文・システム表示は「(地の文)」と表記する。編者の解釈のうち原文から確実に読み取れないものには 【推測】 を付す。

付録: 原文引用アーカイブ

原文引用アーカイブ(機械収集・132 本)— 本文で扱わなかった言及もここに残してある

全文コンコーダンス上のヒットは 146 行(同一台詞の分岐重複を統合すると 132 行15 章)。本節にその 全 132 件 を掲載する。

序/2017年 12月26日

  • ホームズ —「ダ・ヴィンチ。 ペーパームーンの使用許可を。」
  • アナウンス —「―――了解した。 虚数観測機(きょすうかんそくき)・ペーパームーン、展開。」

Lostbelt No.1 永久凍土帝国 アナスタシア

  • ホームズ —「幸い、我々にはペーパームーンがある。 この羅針盤は通常空間と虚数空間を同時に計測できる。」
  • ダ・ヴィンチ —「ちなみに、ペーパームーンによると、この波に乗れば 地上との時間誤差は90日分ほどだ。」
  • アナウンス —「ペーパームーン惑星航路図プラスマイナス収束開始。 シャドウ・ボーダー、間もなく実数境域へ入港します。」
  • ダ・ヴィンチ —「というワケで、このペーパームーンに注目~!」
  • ホームズ —「もっとも専心するべき事はシャドウ・ボーダー、 およびペーパームーンの防衛にある。」
  • ホームズ —「だが、こちらに浮上する際、ペーパームーンには 確かに現在の地球の姿が映し出された。」
  • ダ・ヴィンチ —「なにより、ペーパームーンの羅針盤にも 現れていない『異物』だ。」
  • ダ・ヴィンチ —「異聞帯(ロストベルト)であるロシア領ですら『地球の地形』と 判定し、観測しているペーパームーンが除外しているんだ。」

Lostbelt No.2 無間氷焔世紀 ゲッテルデメルング

  • マシュ —「贈呈(ぞうてい)された特級魔術礼装が 虚数観測機(きょすうかんそくき)・ペーパームーンとなります。」
  • ダ・ヴィンチ —「この座標だとペーパームーンによる 虚数移動は危険が伴(ともな)う。」
  • ダ・ヴィンチ —「虚数観測機(きょすうかんそくき)・ペーパームーン、展開! 目的地、スウェーデン南部、ノルヒェーピング付近!」
  • ホームズ —「それが現在の我々、ペーパームーンを利用した 虚数潜航艇シャドウ・ボーダーとその搭乗員という訳だ。」
  • アナウンス —「ペーパームーン惑星航路図プラスマイナス収束開始。 シャドウ・ボーダー、間もなく実数境域へ入港します。」
  • ホームズ —「……などというのは冗談さ。 私がアトラス院で得たのはペーパームーンだけじゃない。」
  • アナウンス —「―――接続完了。同調順調。 虚数観測機(きょすうかんそくき)・ペーパームーン、展開するよ。」
  • ゴルドルフ —「ほら! これが貴様の探しているペーパームーンだ! 持っていけ!」
  • マシュ —「……マスター。敵性サーヴァント、シグルドから ペーパームーンを奪還します!」
  • オフェリア —「かつてのアトラス院の遺産、虚数観測機(きょすうかんそくき)・ペーパームーン。 指示通り、入手できましたか。」
  • オフェリア —「……私のことなんてどうでもいいわ。 ペーパームーンを得た。今、重要なのはそれだけです。」
  • オフェリア —「ペーパームーンという“目”がなければ何もできない。 彼らは最早、足をもがれたも同然。」
  • ダ・ヴィンチ —「虚数観測機(きょすうかんそくき)・ペーパームーンを奪い取った。」
  • ゴルドルフ —「そうだ! こともあろうにペーパームーンをな!」
  • ゴルドルフ —「あの男、野蛮そうだったからな。ペーパームーンを 壊されないよう、柔らかい包装をして渡したのだよ!」
  • ゴルドルフ —「我々はペーパームーンを失い、英霊一騎をも失った。 ああいや、正確には後者は失った訳ではないが修復中だ。」
  • ダ・ヴィンチ —「ペーパームーンの奪還、空想樹の切除、 そして北海への手掛かりの発見。以上が作戦目的だ。」
  • マシュ —「あの……ペーパームーンなくして我々の旅は 継続できませんので、その奪還は分かるのですが……」
  • ダ・ヴィンチ —「ああ。シグルドは我々の命ではなく ペーパームーンを奪いに来た。」
  • ダ・ヴィンチ —「ペーパームーンを脅威と考えるのは、 すでにロシアを失ったクリプターのみだからね。」
  • ゴルドルフ —「その時こそペーパームーンを取り戻す絶好の機会だよ諸君。 この希望的観測、一分(いちぶ)の隙もないと思わないかね?」
  • ダ・ヴィンチ —「そうなんだけどね。 英霊シグルドはペーパームーンが目的だったようだし、」
  • ムニエル —「けど、虚数観測機であるペーパームーンを、 なんで奴(やっこ)さんは欲しがったりしたんですかね?」
  • ダ・ヴィンチ —「ひとつめ。ペーパームーンの奪還。 ふたつめ。空想樹の切除。」
  • ゴルドルフ —「ペーパームーンを奪取された事により我々は窮地にある! 地上走行まで出来ないのでは腹を見せた小動物が如く、」
  • ナポレオン —「ペーパームーンとやらも其処(そ こ)にあるだろうし、 ええと、それに何だっけかな……」
  • (地の文) —「ペーパームーンの奪還!」
  • マシュ —「はい。 ペーパームーンの奪還は最大の目的で、急務です。」
  • ナポレオン —「ペーパームーンとやらを取り戻し、空想樹の情報を得る。」
  • スカサハ=スカディ —「ペーパームーンなる羅針盤については好きにせよ、 もっとも、現在の持ち主がどう言うか次第ではあろうが。」
  • ナポレオン —「最良はすんなりペーパームーンと情報を得る事だが、 そう上手く事が運ぶとは限らん。」
  • ナポレオン —「ここから先がむしろ本命だ。 目的は、ペーパームーンの奪取と空想樹の情報獲得。」
  • シトナイ —「ペーパームーンはシグルドが持ってるもの。 あなたたちって、あの羅針盤を取り戻したいんでしょ?」
  • マシュ —「ペーパームーンも、空想樹の情報も…… どちらにも英霊シグルドが……」
  • ナポレオン —「城内でペーパームーンと空想樹の情報を奪取ってのは、 随分とやり難くなる。奴を倒さなきゃならん。」
  • シトナイ —「シグルドを倒して、 ペーパームーンを取り戻した上で……」
  • マシュ —「ミッションとして空想樹切除が設定されたのは、 ペーパームーンを奪ったシグルドを誘い出すためで―――」
  • ゴルドルフ —「肝心のペーパームーンがなくては、 我々は虚数潜航による移動が不可能なままなのだ!」
  • ゴルドルフ —「シグルドを誘い出す以前の話だ! ペーパームーン奪還と同様の最重要目標である!」
  • ダ・ヴィンチ —「ペーパームーンを奪取し、 北欧異聞帯(ロストベルト)の空想樹の在処について聞き出す。」
  • ダ・ヴィンチ —「なにせ奴は、私たちの羅針盤を持っている。 ペーパームーンをね。」
  • ダ・ヴィンチ —「その上、奴はペーパームーンを持っている――― 更に“外”へ向かって拡大する可能性だって高くなる!」
  • (地の文) —「……不可能を成し遂げた。 それは、虚数空間への干渉を可能とする羅針盤(ペーパームーン)の力?」
  • ダ・ヴィンチ —「頭部破壊に伴う落下物の中に、 虚数羅針盤……ペーパームーンの存在も確認できた!」
  • ??? —「私のペーパームーンがなかったら、 とても帰っては来られなかったんじゃない?」

Lostbelt No.3 人智統合真国 シン

  • ??? —「私のペーパームーンがなかったら、 とても帰っては来られなかったんじゃない?」
  • シオン —「貴方たちが使っていたトリスメギストスや、 さっきまで好き勝手使っていたペーパームーンの製作者。」
  • ダ・ヴィンチ —「ペーパームーンといい、この準備といい、 関(かか)わりがあるにも程がある。」
  • シオン —「人間を過去に、いえ、特異点に送る為の技術として、 私はペーパームーンによる虚数潜航を提供しましたが、」
  • シオン —「ペーパームーンを奪取された、という記録を見た時、 エルトナムにあるまじき奇声をあげてしまいましたが……」
  • シオン —「皆さんは無事ペーパームーンを奪還。 異聞帯の王・スカサハ=スカディと対決し……」
  • ダ・ヴィンチ —「ペーパームーンを設計したのはキミだ。 加えて、そちらのキャプテンはおそらく―――」

Lostbelt No.4 創世滅亡輪廻 ユガ・クシェートラ

  • アナウンス —「ペーパームーン惑星航路図プラスマイナス収束開始。 シャドウ・ボーダー、間もなく実数境域へ入港します。」

Lostbelt No.5 星間都市山脈 オリュンポス

  • ネモ —「―――ルートは測定できている。 ペーパームーンという羅針盤があるから。」
  • ダ・ヴィンチ —「ペーパームーンによる航路だとカオス到着までの時間は 62時間×672試行回数。」

地獄界曼荼羅 平安京

  • ダ・ヴィンチ —「ペーパームーンを接続して演算した限りだと、 同期しやすい適性サーヴァントは皆無―――」
  • ネモ —「いまシオンがペーパームーンを触っている。 その話題について新しい報告があるとの事だ。」
  • シオン —「あ。じゃなくて、報告。 こちらはペーパームーンを点検中でしたが、」

Lostbelt No.6 妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ

  • シオン —「これはペーパームーンによる惑星地表の観測図と、 観測レンズ・シバによる予測結果です。」

奏章プロローグ

  • マシュ —「ペーパームーンには異常が見られません。 現在、特異点は発見されていないようですが……」
  • (地の文) —「でもペーパームーンに異常はないようだけど……」

オーディール・コール

  • マシュ —「ペーパームーンには異常が見られません。 現在、特異点は発見されていないようですが……」
  • (地の文) —「でもペーパームーンに異常はないようだけど……」
  • シオン —「ペーパームーンを届けた時、彼とよく話していれば 何かが変わったのかも、と後悔している程度です。」

奏章Ⅰ 虚数羅針内界 ペーパームーン

  • カルデア職員C —「『不明な要因による虚数羅針盤ペーパームーンの  性能低下・機能不全』……ね。」
  • マシュ —「―――ペーパームーンが不調、ですか?」
  • シオン —「ええ。ペーパームーンは計測能力こそ 超抜級ですが、その機能は極めてシンプル。」
  • カルデア職員B —「何度確認しても、 ペーパームーンへの入力情報、ありません。」
  • シオン —「ペーパームーン自体から 何らかの信号が出ているとしか―――」
  • ラニ=R —「ペーパームーン。」
  • カーマ —「ここが、仮想世界で……あのペーパームーンっていう 装置の中だっていうんですか?」
  • カーマ —「確か、ペーパームーンってやつは 貴女のところから提供されたアイテムでしょう?」
  • シオン —「元々ペーパームーンの基幹部はアトラス院、 正確に言えばエルトナム家に伝わっていたもの。」
  • シオン —「けれどペーパームーンはあくまで『装置』であり、 内部にあるのは最低限のソフトウェアだけです。」
  • シオン —「ペーパームーンの中に こんな世界を作った覚えはありません。」
  • (地の文) —「ペーパームーンが動いているってこと?」
  • アーユス —「この聖杯戦争を実施し、完了することで、 ペーパームーンは正常稼働する。」
  • (地の文) —「ペーパームーン世界の、メンテナンスのため……?」
  • アーユス —「そうじゃなくて、このペーパームーン内にいる全タイプの AIを統括しているのが彼女。私たちの上位AIね。」
  • アーユス —「このパーティションは、ペーパームーンを運営している 六種のAIたちがそれぞれ集まる場所になっているわ。」
  • カーマ —「今までの説明からすると、 このペーパームーンってやつは、」
  • シオン —「仮に、外から何らかの方法で ペーパームーン内部を観測したとしても、」
  • シオン —「私はシオン・エルトナム・ソカリス。 このペーパームーンという装置を管理していた者です。」
  • ラニ=ⅩⅡ —「仮に貴方がペーパームーンの管理者であったとしても、 私はそれに対する判断要素を持ちません。」
  • シオン —「……私が管理していたのは あくまでペーパームーンという『装置』であって、」
  • ラニ=ⅩⅡ —「またペーパームーン内部の産物でないことは確実です。 つまり外からの来訪者であるとしか考えられません。」
  • ラニ=ⅩⅡ —「このペーパームーン世界に異常が起こった際、それを 修正し安定化させるためのものだと定義されています。」
  • シオン —「私たちがこうなる前、確かにペーパームーンは 原因不明の不調に見舞われていました。」
  • ラニ=ⅩⅡ —「逆に言えば、この聖杯戦争が完了しない限り、 ペーパームーンの正常化は難しいでしょう。」
  • (地の文) —「ペーパームーンは大事なものだから」
  • ラニ=ⅩⅡ —「システムはそれまでの闘争で蓄えられたエネルギーを 使って、ペーパームーンを通常状態へと戻す―――」
  • ラニ=ⅩⅡ —「マスターはAIとして、ペーパームーン世界を 正常に戻すという使命があります。」
  • ラニ=ⅩⅡ —「ペーパームーンという虚数羅針盤の基本軸を再定義します。 それこそがこの聖杯戦争のメカニズムです。」
  • シオン —「おそらく、このペーパームーン世界の 『外周』にあたる場所でしょう。」
  • シオン —「確かにペーパームーンは羅針盤であり、 回転する機構も具(そな)えてはいました。」
  • (地の文) —「ペーパームーンのメンテナンスのためじゃ、ない?」
  • ラニ=ⅩⅡ —「ペーパームーンが動かなくなったのは、 この儀式を始めたためです。」
  • ラニ=ⅩⅡ —「これが終わればペーパームーンは動きます。 今までとは違う形で、ですが。」
  • シオン —「この聖杯戦争によってペーパームーンの 動き方が変わる……?」
  • シオン —「つまり―――これは、今までとは別の形で ペーパームーンを利用するための実験だと?」
  • ラニ=ⅩⅡ —「これは『全てをそのまま写し取る』という ペーパームーンの力と性質を利用し、」
  • ラニ=ⅩⅡ —「ペーパームーンによって表出させられた、 人工アルターエゴです。」
  • シオン —「……ありえません。管理者として断言します。 ペーパームーンにそんな機能はありません。」
  • ラニ=ⅩⅡ —「あるときペーパームーン内のミクロな領域に聖杯が発生。 それに呼応して私という存在が固定化されました。」
  • ラニ=ⅩⅡ —「さらにペーパームーン世界とも接続した ドゥルガーの『孔』に取り込ませることです。」
  • ラニ=ⅩⅡ —「『ペーパームーン世界を回転させてアルターエゴを生む』 ための動力の二回分に相当するとわかりました。」
  • ラニ=ⅩⅡ —「これは現実に、かつてこのペーパームーンに 触れたことのある人間の要素を読み込み、」
  • シオン —「ペーパームーンという装置も壊れたままでいる。」
  • ラニ=ⅩⅡ —「ペーパームーンの総合統括AIというだけではない、 世界の破滅に対抗する存在としての私へ。」
  • カーマ —「ペーパームーン世界……仮想世界と言えど、世界は世界。 概念的には区別がない、ってわけですね。」
  • ラニ=ⅩⅡ —「ここは、ミクロ領域に発生した聖杯の力によって 概念的な形をとったペーパームーン内の世界。」
  • ラニ=ⅩⅡ —「ごく普通にペーパームーンという装置として動くのが 外側から見えるだけです。」
  • シオン —「ペーパームーンの不調はどうなりました?」
  • (地の文) —「ペーパームーン……」
  • シオン —「まさか知らないうちにペーパームーン内(あ  ん  な  と  こ  ろ)に 歪(ゆが)みが溜まっていたなんて。」
  • シオン —「私たちがあのペーパームーン世界に巻き込まれた原因は、 アルターエゴを発生させた最初の回転。」

奏章Ⅳ 人類裁決法廷 トリニティ・メタトロニオス

  • ダ・ヴィンチ —「第一の試練(ア ル タ ー エ ゴ)、ペーパームーン。 第二の試練(ア ヴ ェ ン ジ ャ ー)、疑似東京。」

終章

  • シオン —「ペーパームーンを届けた時、彼とよく話していれば 何かが変わったのかも、と後悔している程度です。」

クリスマス2023

  • ネモサンタ —「1日に1年分を移動し、成功次第、ペーパームーンで その座標にピンを打ち次回のスタート地点とする。」

凹型虚数怪理 イマジナリ・トレンチ

  • ネモ —「だから、虚数空間からの脱出に『浮上』の概念を使う ペーパームーンの術式が封じられてるってこと。」
  • スカサハ=スカディ —「少なくとも我々は、ペーパームーンの破棄を 覚悟せねばならなかったろう。」
  • アナウンス —「ペーパームーン惑星航路図プラスマイナス収束開始。 ノーチラス、間もなく実数境域へ入港しますね。」